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■ 仮想通貨が直接交換可能に それを支える中核的テクノロジーがブロックチェーン

経営管理会計トピック

今回は、フィンテックが迫る変革シリーズの第4弾として、日本経済新聞の「経済教室」からブロックチェーン技術についての解説まとめ記事をお届けします。ブロックチェーン技術は、仮想通貨の運用を支える根幹の技術であり、仮想通貨は、「資金決済法」改正により、決済手段として法的裏付けが取られ、財産的価値と価値交換手段として認められましたが、預金のように利子を生みません。法的に完全な「通貨」ではありませんので。

(参考)
⇒「ビットコインなど仮想通貨が「通貨」として閣議決定されるまで -日経新聞まとめ(前編)
⇒「ビットコインなど仮想通貨が「通貨」として閣議決定されるまで -日経新聞まとめ(後編)
⇒「仮想通貨は本物の貨幣になるか 増島弁護士に聞く

しかし、複数種類の「仮想通貨」が直接リアル通貨を介さずに交換できる取引所が開設されるなど、もはや、法的立場がどうあれ、ほぼリアル通貨として経済活動に利用することができます。

2016/8/1付 |日本経済新聞|朝刊 BTCボックス、仮想通貨の直接取引所 ビットコインなど

本記事によると、
・新しい取引所サービスは「BTCボックス・ドット・コム」
・取り扱う仮想通貨は約1兆円という最大の流通額を持つビットコイン、2番手のイーサリアム、開発に日本人が関わるNEMなどが候補に挙がっている
・仮想通貨は600種類以上あるといわれ、最近は決済だけではなく、送金や契約に使えるタイプが注目されている

というわけで、仮想通貨を支えるテクノロジーのお勉強といきましょうか。

 

■ 発想の転換でブロックチェーンが可能にする「低コスト」でかつ「高信頼性」の電子マネーが登場

2016/8/3付 |日本経済新聞|朝刊 (経済教室)仮想通貨の可能性 特許・標準化戦略が重要に 技術革新へ人材不足課題 山崎重一郎 近畿大学教授

「フィンテックと総称される金融とIT(情報技術)の融合による技術革新の波が金融の世界に押し寄せている。
 フィンテックとは、米アマゾン・ドット・コムや米アップルといった巨大ITサービス産業や、高度な技術を持つITベンチャーが、決済、融資、台帳管理といった金融機関の本業を侵食しようとする動きである。金融機関にとってフィンテックは現実味を帯びた脅威だ。長期的視点に立つと、金融機関は自分自身が高度なITサービスを提供する企業に生まれ変わらなければならないだろう。」

20160803_山崎重一郎_日本経済新聞朝刊

やまさき・しげいちろう 57年生まれ。九州大博士(情報科学)。専門は情報技術

<ポイント>
○ブロックチェーンは信頼できる台帳実現
○海外金融機関はフィンテックに莫大投資
○仮想通貨を適正・自由に使える環境整備

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

ブロックチェーンとは「信頼できる台帳」を実現する技術であり、台帳記録は金融業務の要でもあります。金融機関は「信頼できる台帳」の維持管理、つまり、

① 内容の整合性の確保や改ざんの防止
② いついかなる時でも利用できる状態を長期的に維持

するために莫大な台帳管理コストを費やしているのですが、ブロックチェーンは驚くべき発想の転換により、信頼できる台帳の維持管理コストを劇的に削減できる可能性を秘めているところから、従来の電子マネー技術と金融ネットワークの支配構造を根底から変えると見られているのです。

では、ブロックチェーンによる台帳記録の特徴とは?

1.台帳管理における取引情報に対する整合性や非可逆性は、政府や銀行や監査法人のような機関を礎とするのではなく、世界中のおびただしい数のコンピューターのソフトによる絶え間ない検証により確保されており、信頼できる第三者機関を必要としない

2.ブロックチェーンは極めて頑強なシステムを提供でき、仮想通貨「ビットコイン」のブロックチェーンは2009年1月3日の運用開始以来、現在に至るまで一度も停止していない「ゼロ・ダウンタイム・システム」である

この点については、記事によると、
「仮想通貨のソフトを自分のコンピューターにインストール(導入)して起動すると、自動的にブロックチェーンのネットワークに接続される。これにより自分のコンピューターの中でブロックチェーンの分散台帳システムが稼働し始める。ブロックチェーンのネットワークに接続されているコンピューターはどれもすべて対等であり、特別なものは一つもない。どのコンピューターも情報の提供側にも受領側にもなる。こうしたシステムを「ピア・ツー・ピア」型システムという。」

(下記は、本記事添付の、ピア・ツー・ピア型システムのイメージ図を転載)

20160803_ピア・ツー・ピア型システム_日本経済新聞朝刊

仮想通貨のソフトを新たに稼働させたコンピューターには、既に稼働しているコンピューターから、そのブロックチェーンの運用開始から現在までのすべての台帳記録が転送されます。それゆえ、仮想通貨ソフトを新たにインストールしたコンピューターはその瞬間から、元からあった分散台帳システムの一部として機能するようになるのです。

3.ブロックチェーンによる「非可逆的記録」は、いったんそこに記録されると、誰であろうと絶対に書き換えることができません。この非可逆性の実現のためビットコインでは「マイニング(採掘)」と呼ばれる、消費電力が問題になるほどの計算を要する計算競争を利用しています。マイニングは仮想通貨の通貨発行方法と分散管理される記録内容を唯一に定まるよう合意する方法でもあります。

その技術の詳細は下記の過去投稿にて詳しく説明しています。
⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(2)ブロックチェーンを取り上げます 日本経済新聞より
⇒「次の革新「ブロックチェーン」 まず金融に 新ITインフラ、バークレイズなど採用 データ改ざん困難に

では、このようなブロックチェーンが可能にするビットコインなどの「仮想通貨」技術は、従来から考えられていた電子マネーの考え方に対する見方を飛躍的に変えたのでしょうか?

「電子マネーの問題の一つは現物の紙幣やコインと違って二重使用できることだ。この問題を解決するには、ICカードのような特別なハードウエアや信頼できるサーバーが必要だと考えられてきた。」

この電子マネーが抱える特有の難題に対し、ビットコインは、「参加者全員による台帳記録の整合性検査という方法」で鮮やかに解決したのです。

「ビットコイン型仮想通貨の利用者は、スマートフォンに「ウォレット(財布)」と呼ばれるアプリを入れるだけで仮想通貨を送金できる。またビットコイン型仮想通貨は、現金と同様に人から人への流通も可能であるなど、電子マネーの理想像を実現している。」

 

■ 技術革新へ人材不足が課題 研究者や技術者のみならず知的財産の実務を担う法律家まで

米国、英国、中国などを中心に、金融機関はフィンテックに莫大な投資をしており、その総額は100億ドルにのぼるといわれています。特にブロックチェーン技術は、国際的な特許戦略と標準化戦略の戦場の一つになろうとしており、ブロックチェーン関連の特許は、米国や中国の企業などを中心に既に多数存在し、その数は増え続けているのが現状。

そうした仮想通貨が抱える課題と特徴の一端を説明すると、

「岩村充・早稲田大教授は、ビットコインは電力料金という「原価」が存在し発行量が制約されるため、印刷機で発行できる日銀券のような信用貨幣より、金貨のような現物貨幣に似ていると指摘する。」

現物貨幣に近似する特徴として、
① ビットコインは金兌換(だかん)券と同様の量的な制約が存在し、現実の経済活動に必要となる大量の決済には適さない
② 個人のウォレットで管理されるビットコインは、金融資産として運用される銀行口座の「預金」と異なり「死蔵された金貨」のようなものである

こうした問題について、情報技術的に詳細に理解し、新しい提案ができるレベルの研究者や技術者、開発された技術の知的財産化の実務ができる法律家が、教授によると日本には極めて少ないそうです。

一方海外では、
「15年6月の主要国首脳会議(エルマウ・サミット)の宣言を受けて、金融活動作業部会(FATF)から仮想通貨によるテロリストへの資金供与、組織犯罪、野生動植物の違法取引の防止を目的に、仮想通貨と法定通貨の交換所の登録・免許制、顧客の本人確認、怪しい取引履歴の届け出、保存義務などを内容とする報告書が公表された。」

日本でもこの動きに追随するかのように、この5月に「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が成立したこと、今年7月に三菱東京UFJ銀行が、世界最大の仮想通貨取引所を運営する米コインベースに出資しパートナーシップを締結したことは、このシリーズの第3回でも触れさせて頂きました。

⇒「フィンテックが迫る変革(3)銀行経営の変革 - 銀行法改正のインパクトと仮想通貨について

教授によれば、「仮想通貨は未成熟の技術であり、数年単位の長期的視野でみる必要があるが、本格運用への布石は始まっている。」ということです。

 

■ (おまけ)関連書籍についての書評をご紹介

2016/7/24付 |日本経済新聞|朝刊 ブロックチェーンの衝撃 ビットバンク株式会社&『ブロックチェーンの衝撃』編集委員会著 ビットコイン支える新技術

「「ビットコイン」は日本では巨額の資金が消えた事件で有名だが、海外では国際送金や資産保全などの手段として利用が広まっている。本書はビットコインを支える技術について15人の専門家が様々な角度から執筆した。」

本書で語られているブロックチェーン記述のポイントとして、
① この技術がユニークなのは国家や銀行などのシステム管理者が存在しないこと。管理を分散することにより、中央集権的なシステムよりコストが大幅に安くなり、改ざんなども防ぎやすくなる。
② ビットコインから生まれたこの技術を他の業務にも応用しようというのが本書の主張だ。

「現行の国際送金システムは多額の手数料がかかり、証券取引システムにも巨額の投資が要る。ブロックチェーン技術を上手に活用すれば、金融や公証といった様々な社会システムを根本から見直すことができると指摘する。」

馬渕邦美監修(日経BP社・2800円)なり。

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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フィンテックが迫る変革(4)(経済教室)仮想通貨の可能性 特許・標準化戦略が重要に 技術革新へ人材不足課題 山崎重一郎 近畿大学教授http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーFinTech,フィンテック,ビットコイン,仮想通貨,ブロックチェーン,電子マネー,BTCボックス,山崎重一郎,ピア・ツー・ピア,マイニング,エルマウ・サミット,ビットバンク■ 仮想通貨が直接交換可能に それを支える中核的テクノロジーがブロックチェーン 今回は、フィンテックが迫る変革シリーズの第4弾として、日本経済新聞の「経済教室」からブロックチェーン技術についての解説まとめ記事をお届けします。ブロックチェーン技術は、仮想通貨の運用を支える根幹の技術であり、仮想通貨は、「資金決済法」改正により、決済手段として法的裏付けが取られ、財産的価値と価値交換手段として認められましたが、預金のように利子を生みません。法的に完全な「通貨」ではありませんので。 (参考) ⇒「ビットコインなど仮想通貨が「通貨」として閣議決定されるまで -日経新聞まとめ(前編)」 ⇒「ビットコインなど仮想通貨が「通貨」として閣議決定されるまで -日経新聞まとめ(後編)」 ⇒「仮想通貨は本物の貨幣になるか 増島弁護士に聞く」 しかし、複数種類の「仮想通貨」が直接リアル通貨を介さずに交換できる取引所が開設されるなど、もはや、法的立場がどうあれ、ほぼリアル通貨として経済活動に利用することができます。 2016/8/1付 |日本経済新聞|朝刊 BTCボックス、仮想通貨の直接取引所 ビットコインなど 本記事によると、 ・新しい取引所サービスは「BTCボックス・ドット・コム」 ・取り扱う仮想通貨は約1兆円という最大の流通額を持つビットコイン、2番手のイーサリアム、開発に日本人が関わるNEMなどが候補に挙がっている ・仮想通貨は600種類以上あるといわれ、最近は決済だけではなく、送金や契約に使えるタイプが注目されている というわけで、仮想通貨を支えるテクノロジーのお勉強といきましょうか。   ■ 発想の転換でブロックチェーンが可能にする「低コスト」でかつ「高信頼性」の電子マネーが登場 2016/8/3付 |日本経済新聞|朝刊 (経済教室)仮想通貨の可能性 特許・標準化戦略が重要に 技術革新へ人材不足課題 山崎重一郎 近畿大学教授 「フィンテックと総称される金融とIT(情報技術)の融合による技術革新の波が金融の世界に押し寄せている。  フィンテックとは、米アマゾン・ドット・コムや米アップルといった巨大ITサービス産業や、高度な技術を持つITベンチャーが、決済、融資、台帳管理といった金融機関の本業を侵食しようとする動きである。金融機関にとってフィンテックは現実味を帯びた脅威だ。長期的視点に立つと、金融機関は自分自身が高度なITサービスを提供する企業に生まれ変わらなければならないだろう。」 やまさき・しげいちろう 57年生まれ。九州大博士(情報科学)。専門は情報技術 <ポイント> ○ブロックチェーンは信頼できる台帳実現 ○海外金融機関はフィンテックに莫大投資 ○仮想通貨を適正・自由に使える環境整備 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます ブロックチェーンとは「信頼できる台帳」を実現する技術であり、台帳記録は金融業務の要でもあります。金融機関は「信頼できる台帳」の維持管理、つまり、 ① 内容の整合性の確保や改ざんの防止 ② いついかなる時でも利用できる状態を長期的に維持 するために莫大な台帳管理コストを費やしているのですが、ブロックチェーンは驚くべき発想の転換により、信頼できる台帳の維持管理コストを劇的に削減できる可能性を秘めているところから、従来の電子マネー技術と金融ネットワークの支配構造を根底から変えると見られているのです。 では、ブロックチェーンによる台帳記録の特徴とは? 1.台帳管理における取引情報に対する整合性や非可逆性は、政府や銀行や監査法人のような機関を礎とするのではなく、世界中のおびただしい数のコンピューターのソフトによる絶え間ない検証により確保されており、信頼できる第三者機関を必要としない 2.ブロックチェーンは極めて頑強なシステムを提供でき、仮想通貨「ビットコイン」のブロックチェーンは2009年1月3日の運用開始以来、現在に至るまで一度も停止していない「ゼロ・ダウンタイム・システム」である この点については、記事によると、 「仮想通貨のソフトを自分のコンピューターにインストール(導入)して起動すると、自動的にブロックチェーンのネットワークに接続される。これにより自分のコンピューターの中でブロックチェーンの分散台帳システムが稼働し始める。ブロックチェーンのネットワークに接続されているコンピューターはどれもすべて対等であり、特別なものは一つもない。どのコンピューターも情報の提供側にも受領側にもなる。こうしたシステムを「ピア・ツー・ピア」型システムという。」 (下記は、本記事添付の、ピア・ツー・ピア型システムのイメージ図を転載) 仮想通貨のソフトを新たに稼働させたコンピューターには、既に稼働しているコンピューターから、そのブロックチェーンの運用開始から現在までのすべての台帳記録が転送されます。それゆえ、仮想通貨ソフトを新たにインストールしたコンピューターはその瞬間から、元からあった分散台帳システムの一部として機能するようになるのです。 3.ブロックチェーンによる「非可逆的記録」は、いったんそこに記録されると、誰であろうと絶対に書き換えることができません。この非可逆性の実現のためビットコインでは「マイニング(採掘)」と呼ばれる、消費電力が問題になるほどの計算を要する計算競争を利用しています。マイニングは仮想通貨の通貨発行方法と分散管理される記録内容を唯一に定まるよう合意する方法でもあります。 その技術の詳細は下記の過去投稿にて詳しく説明しています。 ⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(2)ブロックチェーンを取り上げます 日本経済新聞より」 ⇒「次の革新「ブロックチェーン」 まず金融に 新ITインフラ、バークレイズなど採用 データ改ざん困難に」 では、このようなブロックチェーンが可能にするビットコインなどの「仮想通貨」技術は、従来から考えられていた電子マネーの考え方に対する見方を飛躍的に変えたのでしょうか? 「電子マネーの問題の一つは現物の紙幣やコインと違って二重使用できることだ。この問題を解決するには、ICカードのような特別なハードウエアや信頼できるサーバーが必要だと考えられてきた。」 この電子マネーが抱える特有の難題に対し、ビットコインは、「参加者全員による台帳記録の整合性検査という方法」で鮮やかに解決したのです。 「ビットコイン型仮想通貨の利用者は、スマートフォンに「ウォレット(財布)」と呼ばれるアプリを入れるだけで仮想通貨を送金できる。またビットコイン型仮想通貨は、現金と同様に人から人への流通も可能であるなど、電子マネーの理想像を実現している。」   ■ 技術革新へ人材不足が課題 研究者や技術者のみならず知的財産の実務を担う法律家まで 米国、英国、中国などを中心に、金融機関はフィンテックに莫大な投資をしており、その総額は100億ドルにのぼるといわれています。特にブロックチェーン技術は、国際的な特許戦略と標準化戦略の戦場の一つになろうとしており、ブロックチェーン関連の特許は、米国や中国の企業などを中心に既に多数存在し、その数は増え続けているのが現状。 そうした仮想通貨が抱える課題と特徴の一端を説明すると、 「岩村充・早稲田大教授は、ビットコインは電力料金という「原価」が存在し発行量が制約されるため、印刷機で発行できる日銀券のような信用貨幣より、金貨のような現物貨幣に似ていると指摘する。」 現物貨幣に近似する特徴として、 ① ビットコインは金兌換(だかん)券と同様の量的な制約が存在し、現実の経済活動に必要となる大量の決済には適さない ② 個人のウォレットで管理されるビットコインは、金融資産として運用される銀行口座の「預金」と異なり「死蔵された金貨」のようなものである こうした問題について、情報技術的に詳細に理解し、新しい提案ができるレベルの研究者や技術者、開発された技術の知的財産化の実務ができる法律家が、教授によると日本には極めて少ないそうです。 一方海外では、 「15年6月の主要国首脳会議(エルマウ・サミット)の宣言を受けて、金融活動作業部会(FATF)から仮想通貨によるテロリストへの資金供与、組織犯罪、野生動植物の違法取引の防止を目的に、仮想通貨と法定通貨の交換所の登録・免許制、顧客の本人確認、怪しい取引履歴の届け出、保存義務などを内容とする報告書が公表された。」 日本でもこの動きに追随するかのように、この5月に「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が成立したこと、今年7月に三菱東京UFJ銀行が、世界最大の仮想通貨取引所を運営する米コインベースに出資しパートナーシップを締結したことは、このシリーズの第3回でも触れさせて頂きました。 ⇒「フィンテックが迫る変革(3)銀行経営の変革 - 銀行法改正のインパクトと仮想通貨について」 教授によれば、「仮想通貨は未成熟の技術であり、数年単位の長期的視野でみる必要があるが、本格運用への布石は始まっている。」ということです。   ■ (おまけ)関連書籍についての書評をご紹介 2016/7/24付 |日本経済新聞|朝刊 ブロックチェーンの衝撃 ビットバンク株式会社&『ブロックチェーンの衝撃』編集委員会著 ビットコイン支える新技術 「「ビットコイン」は日本では巨額の資金が消えた事件で有名だが、海外では国際送金や資産保全などの手段として利用が広まっている。本書はビットコインを支える技術について15人の専門家が様々な角度から執筆した。」 本書で語られているブロックチェーン記述のポイントとして、 ① この技術がユニークなのは国家や銀行などのシステム管理者が存在しないこと。管理を分散することにより、中央集権的なシステムよりコストが大幅に安くなり、改ざんなども防ぎやすくなる。 ② ビットコインから生まれたこの技術を他の業務にも応用しようというのが本書の主張だ。 「現行の国際送金システムは多額の手数料がかかり、証券取引システムにも巨額の投資が要る。ブロックチェーン技術を上手に活用すれば、金融や公証といった様々な社会システムを根本から見直すことができると指摘する。」 馬渕邦美監修(日経BP社・2800円)なり。 (注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します