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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(8)ルウディーのルタバガ法則 - 第一番の問題を取り除くと、第二番が昇進する

本レビュー
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■ ルウディ―のルタバガ法則

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、筆者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、筆者のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページはこちら(英語)

この法則名の正体を知るには、ワインバーグ氏の若かりし頃の学生アルバイト時代のエピソードにまで遡らなくてはなりません。

彼が13歳のとき、ヒルマン・スーパーマーケットの臨時在庫係に就きました。ワインバーグ氏は何が売れて何が売れないかをじっくり観察していました。そして気づいてしまったんです。ルタバガがまったく売れずにずっと陳列棚で飾り物になっていることに。

20171125_ルタバガ

ある日、食品売り場のマネージャー、ルウディ―が食品売り場に立って、新鮮な野菜をカウンターの限られたスペースにどうやって配置しようか悩んでいました。そのルウディ―が若きワインバーグ氏に、何か良案が無いものか尋ねました。

ワインバーグ氏は、その瞬間、突然にコンサルタントに変身したのです。

「ルタバガはこのお店では一番売れない野菜です。もしルタバガに全然スペースを使わないことにして、それを別の野菜の陳列に使ったら、お店はうんと損になるのでしょうか?」

そうですよね、簡単なお話。全然売れないルタバガに与えているスペースは、売れたはずの別の野菜の販売機会を損なっているのでした。管理会計における機会損失(オポチュニティコスト)と同じ問題構造だったのです。

ルウディ―が突然にっこりして、ルタバガを箱にぶち込みながら、「そりゃいい考えだぜ、坊や。」この時、若きワインバーグ氏のコンサルタント魂がくすぐられたのは言うまでもありません。しかし、次の瞬間、思わぬルウディ―の一言で、ワインバーグ氏は衝撃を受けることになります。

「さて坊や、そいつはいい考えだったよ。で、一番人気のない野菜は、今度は何だね。」

 

■ 問題を解決するのに得意になっているとコンサルタントを待っている罠が

コンサルタントになった人、これからなろうとする人は若い時、実際に2つか3つ、問題を解決して、解けた時の快感が忘れられない人だと思います。このおいしい経験が、若きコンサルタントに次の課題に取り組もうとする勇気を与え、さらに、それから2、3回幸運にも続けて問題を解いてしまうと、それからは一生を左右する罠に陥ったも同然。引退するまで、永遠に問題を解き続けなくてはならなくなるのです。

ルウディ―のルタバガ法則

第一番の問題を取り除くと、第二番が昇進する。

ワインバーグ氏の「いい考え」には致命的な欠陥があったのです。最悪の問題を取り除くことはできるが、そうすると、それまでは二番目に最悪だった問題が後に残るのです。問題を解けたときの快感に溺れるあまり、次の問題を招いてしまう。永遠に続くループ。いわゆる無間地獄というやつです。

逆に、このワインバーグ氏が教えてくれた経験則にたいして、こう考えることはできないでしょうか。

コンサルタントとして、時にはあまりに深く依頼主の問題に首を突っ込み過ぎて、それを本当にきれいさっぱり片付けられると信じそうになるかもしれない。しかし、ルウディ―の法則を心のどこかに覚えておけば、常に、次の問題が待ち構えているのだとことに気づくはず。

① 目の前の問題が解けたからと言って、本当にそれですべてが解決したと早合点しない
② 次の課題が出てきたときに、狼狽せずにすぐに臨戦態勢に入れるようになる
③ フェーズやスコープを一区切りし、次の課題対応の体制と期限とコストを準備する必要性を依頼主に落ち着いて進言することができる

「氷山の一角」という言葉があります。

90.2%は海面下に沈んでいます。海面から表出している9.8%の問題を解くと、沈んでいる90.2%の中から次の9.8%が顔をのぞかせます。

20171125_氷山の一角

この経験則、俺は何でも解決できるコンサルタントなんだと、思い上がることを防いでくれる大切な教訓ではないでしょうか。

ハインリッヒの法則
労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。「ハインリッヒの災害トライアングル定理」または「傷害四角錐」とも呼ばれる。(参考:WiKiより)

えっ、私ですか?

そんなに腕っこきのコンサルタントではないので、最初の9.8%の問題ですら完璧に解いたことが無いので勘弁してください。。。(^^;)

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