バックミラーとフォアキャスティングとバックキャスティングの視点で経営を考える

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■ バックミラー経営だけが槍玉にあがるけれど

経営管理のための仕組み構築のコンサルティングサービスを始めてからずいぶん経つのですが、まだバックミラー経営ですら満足に実現できていないクライアントも少なくはなく。
(バックミラーは和製英語ですが。。。)

KPIマネジメントとか、PDCAサイクルというまほーの言葉が醸し出すマヤカシのオーラにその気になって、時間とお金をかけて、重厚な経営管理の仕組みを構築しようとするケースが後を絶ちません。

目標を立てて、実績を集計し、目標と実績の差異を明らかにし、差異を何とか僅少にするための方策を考える。ふつーに考えると、こういう説明をうければ、なるほど、と思い、そういう目標管理プロセスを構築するプロジェクトは何か正義の建前が自然に備わっているようです。

最近では、月次決算も浸透し期中の業績モニタリングのスピード化も当たり前の経営課題になってきました。そこで、常識的に考えて頂きたいのですが、目標と実績の差異が報告されるのは、実績が締められてからどれくらいのリードタイムを要するものでしょうか。

仮に、月次決算が翌月15営業日に固まるとして、そこから改善の打ち手を考え出すとすると、考え出した打ち手を着手する頃には、目標差異が報告されてから、2カ月以上経過している可能性があります。

PDCAのCが出ても、過去実績の目標との差異が明白になるだけ。期末近の第4四半期に、予実差異から見て、予算未達成がおぼろげながらに分かるとしても、それは死亡診断書が出されるだけ。死亡診断書の代わりに、健康診断書を出してもらい、生活習慣病に対する予防措置を前もって考える機会が与えられた方が、ずっと経営判断の足しになると考えていますが、如何でしょうか?

バックミラーで過去実績がきれいに見ることができたとして、直進すべきか、右折すべきか、左折すべきか、一時停止すべきなのかは分からないのです。

 

■ フォアキャスティングを重視した経営はどう変わるか?

また、翌年度のための単年度予算編成を始めるタイミングは前年の何時ごろでしょうか? 仮に、3月決算の会社の単年度予算編成開始は、前年の1月ぐらいから始めるとして、翌期の3月末の着地点を見込んだ予算を作り込むということは、15ヶ月先の市場動向を読みにいく所作が必要となるわけです。

何の工夫もなければ、こういう場合の予算編成の指針は次のようなパターンになることが予想されます。

1)とりあえず、前年の予算と同じにしておく
2)前年の予算策定時と、現時点の状況との目立つ違いだけを前年予算にプラスマイナスする
3)前年予算と当期期末着地点予測の変動率をそのまま1年先に延ばしておく

喜ばしいことに、バックミラー経営からの脱却として、将来予測を重視する経営管理モデルへのシフトを提言させて頂く機会を多く頂戴しています。例えば、ローリング予測業務の実施を推奨しています。常に、毎月、向こう15ヶ月の収益見込のデータ収集と、目標と予測の差異(目標と実績との差異ではない)をどうにかしようとする議論を喚起するのです。

これは現在視点から将来に向かって、

1)過去実績と同じ傾向値(原価率とか成長率など)はそのままに、
2)近い将来に変動するパラメータの変更幅(需要変動、固定費の圧縮など)を反映して、

このままでいくと将来業績がどうなるかの成行予測(なりゆきよそく)を行い、目標値との差異に対する打ち手を先回りして考えるというものです。

従来は、ここまで経営管理モデルが進化すれば御の字と考えていました。

 

■ バックキャスティングで将来業績を考える経営とは?

フォアキャスティングと同じく、将来業績の予測を扱うのは同じなのですが、バックキャスティング経営は、その視点と心の働きの向きが正反対になります。

フォアキャスティングは、現状から出発して、成行予測で将来業績を予想しにいく。そこでキーとなるのは、成行予測値の“精度”になります。

一方、バックキャスティングは、将来時点のこうありたい業績を達成するために、現在時点の計数や施策の何がどれだけ不足しているのかを明らかにするものです。そこで重視されるのは、将来目標を実現するために、現状何が不足しているのかを明らかにする“シナリオ”の確からしさです。

成行予測の精度は、人間の意思は込められていません。機械的に、統計的に当てに行くアルゴリズムの信頼性で勝負します。

バックキャスティングで重要なのは施策と数値の間の“因果関係”とか“相関関係”です。為替感応度とか、価格の弾力性とかを丹念に調べ上げ、人間の意思をもって、どのコントロールレバーをどれくらいの目盛り分動かすと、目標を達成することができるのか。逆に将来目標値から現在に倒してきて、現時点で、どの指標をどれくらい変えないと、将来目標値が達成できないかを明らかにするものです。

これは、最近流行りのAIとかIoTを駆使するだけが解決策ではなく、既存の手持ちのデータだけでもある程度何とかなるものです。興味がわいた方は、どうぞ、私の方までお声掛けください。(^^)

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小林 友昭
小林 友昭
現役の経営コンサルタントです。経営管理の仕組み構築や経営戦略の立案、BIシステムを中心としたIT導入まで手掛けております。
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