松下幸之助(9)いくら熱心でもムダなことやったらいけませんで。 - 偉人の言葉を品質管理と原価計算で考える!

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■ ムダなことをした分だけあなたの努力が無駄になります

いくら熱心でも
ムダなことやったらいけませんで。
それがムダかどうかは、
あなた自身で考えなさい。
これはムダなことかどうか、
一つひとつ検討しなさい。
必ずムダなことをやっているに違いない。

20171104_松下幸之助

(現パナソニック創業者 / 1894~1989)
——————–

製造業で「ものづくり」に携わっていると、松下翁のこの言葉も、違う角度で理解が進むことでしょう。ものづくりをしていると、どうしても一定の割合で規格に合わない不良品が発生することを回避することはできません。どんなに注意していても、発生防止のための手立てを何重にしていても、不良品は発生します。

問題は、

(1)不良率をどこまで下げることができるか?(主に技術的な視点で)
(2)不良品が仮に出たとしても、儲けに影響しないようにできるか?(主に会計的な視点で)

の2つ。

(1)に関しては、カイゼンを積み重ねる従来の日系製造業の強みとして認識されてきました。どこまでも高品質を追求しようとする姿勢が、次のイノベーションを生んだり、現場での程よい緊張感を引き出して組織に規律がもたらされます。

その一方で、ちょっと前までの欧米企業流の原価管理では、あまりに過度な品質を追求すると、品質管理コストが膨大になり、その事業(製品)の採算がかえって悪くなる。つまり、最適な不良率というものが経済計算的に求まるのだ、という立場が重要視されていました。

それが上記の(2)を重視する経営管理・生産管理・品質管理手法と結びつきました。

20180515_品質コスト

● 出典:製造オペレーションに潜む隠れたコストをあぶり出せ!|ものづくりIoTブログ|東洋ビジネスエンジニアリング株式会社

ちょっと、品質管理とか品質コスト管理理論をかじると、このチャートの納得性がとても高いものになるので、この理論の提唱者の意図とは外れて、品質コストの最適点を優先して求める経営管理、現場管理を助長し、そもそもの不良品の発生原因を探ろうとすることを最初から諦める風潮が一部にあります。

生産ライン(工程)の途中途中で、品質チェックポイントを設ければ、そこで炙り出された不良品(不良仕掛品)に、それ以後の加工をせずに済むので、無駄な加工時間、無駄な追加材料費、ごみ箱に捨てざるを得ない設備利用コスト(主に減価償却費)を無くすことができます。

人間の性として、自分が熱心に魂込めてやった作業の内、最初から無駄になるモノが含まれているとしても、それでも一生懸命に目の前の仕事を熱心にやるモチベーションを維持できるものでしょうかね。(^^;)

 

■ やっぱりムダなこと、不良品があることをスタート地点にしちゃいけないんじゃないかな?

残念ながら、上記の品質コスト最適化理論は、目の前の見える範囲のコスト最適化にしか配慮していません。そこには2つの見逃しが存在します。

① 働く人の貢献意欲(言及済み)
② 顧客からの支持(ファンを魅了するモノ・サービスの提供ができているか?)

①について。
自分の仕事の一定量が最初からムダになることが分かっているラインで誰が創意工夫をしようとするのでしょうか? そこで一時的に作られた均衡点(品質コスト最適点)は、いずれ、悪い方向に長期的にはシフトすることは想像に難くありません。

②について。
不良品の返品についての企業の神対応がSNS上でももてはやされる時代になりました。いったん不良品を掴まされて、そのリカバリ対応の誠実さでファンになり、リピート顧客を増やすことができるのなら、他社品に比べて圧倒的に壊れにくい、圧倒的に不良率が低いことは、もっと熱烈なファンを増やすことに貢献しませんか?

やっぱり、品質コスト管理理論を聞きかじって、事前の不良品予防の努力はこれくらいでいいじゃん、という妥協は、結果論として、あまりいい仕事とならず、長期的にはコストアップと顧客離れをもたらすというのが私の持論です。

松下翁がおっしゃる通り、誰でも無駄なことはやっています。無駄をなくす努力が報われる組織と社会であることが、とても健全だと思います。如何でしょうか?

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小林 友昭
小林 友昭
現役の経営コンサルタントです。経営管理の仕組み構築や経営戦略の立案、BIシステムを中心としたIT導入まで手掛けております。
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