無意味な仕事などはない。なぜなら、それが無意味だと知ることができたから。

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■ 世の中には無意味な仕事はどれくらいあるというのか?

傍目から見て、とるに足らない、つまらない仕事というものは俗には、あるある、とよく言われます。しかし、結果的には、無意味な仕事はこの世にはないと断言することができます。それは、どんな仕事も聖職であって、尊いモノである、という信仰心のある話をしたいのではありません。もっと実践的な意味で申し上げています。

ひとつの実体験をお話します。簿記の資格も取って、さあ経理の仕事を頑張ろうと気色ばんだ時、目の前に与えられた仕事は、大量の段ボール3箱位の紙の山。全社の部門別・月次予算実績対比表でした。それを、先輩から口伝で、この部門コードのものは誰それのデスクの上へ届ける、この事業部コードのものは、社内便で誰それ宛に郵送する。そして、封入が終わって、社内便の配達時間を確認したら、その到着日時を予想して、電子メールで先に知らせる。私に与えられた仕事は、貸方借方の知識は全く不要な経理部の仕事でした。

この様な雑用は、“雑用”と割り切って、ただ時間が過ぎるのを待って、黙々とやる、という姿勢も時には大事でしょう。常に気を張っていては疲れるばかりなので。頭を休めながら、でも手だけは動かす、そういう時間があるのも脳の休息のためには、いいことかもしれません。

 

■ どんな作業にも意味を見出すことができる

しかし、私は、何事でも意味を見出さないと“やる気”が出ない性分だったので、この予算実績対比表の社内配布といった月次作業にも何とか意味を持たせようと必死になりました。そうすると、通常では見えないものが自然と見えてくるようになったのです。

まず、目が行ったのは部門コードの採番の仕方。桁数ごとに意味ありコードだったり、空き番や死に番に後から新部門が追加されていたり。組織変遷の跡が見えるようになってきたのです。その時々の市場動向や、経営者の組織変更に対する思いなどに想像を巡らせながら、部門別予実対比表を順番に配布していきました。

また、誰のデスクまで直接届けるか、誰宛てに社内便で郵送するか、その当時のその人が所属していない部門コードの予実対比表がなぜその人に届けられなければならないのか、その意味自体を考えるようになりました。そして、疑問を先輩や上司にぶつけていったのです。そりゃ、うるさがられましたが、こっちも意味を見出そうと必死に聞き出しました。そうすると、部署を異動したけれど、その人に属人的について回る社内プロジェクトに対して部門コードを採番したのだという事実など、ここではこれ以上言及することはできないのはとても残なのだけれど、いろいろな組織内の決まり事や社内政治上の力関係などが手に取るように分かるようになったのです。そういう秘密をひとつずつ開封するたびに、会社をより知れる喜びとともに、湧き上がる知識欲がひとつずつ解消されていくわけです。

たかが予算表の配布、されど予算表の配布でした。

 

■ それでも本当につまらない仕事にぶち当たった時の対応とは?

こういう話を今どきの若い人を指導・教育するときに、思い出話として話してみるのですが、最近の若い人にはピンとくるものがほとんどない様で、反応はとても薄くて残念な気持ちになることが多くなってきています。苦痛の中でとても興味深いものを探し当てた、まさに金鉱を掘り当てた気分満載で、自分が興奮して嬉しかったこと、楽しかったことを、身振り手振りで話すのですが、相手の反応が悪いのです。デジタル全盛の時代に話の素材が合わないのか、悩む時期もありました。

おそらく、見かけ上は意味のない仕事にも、本当は意味があるよ、みたいな教訓めいたお話というのは、現代の若者の働き方の価値観にはそぐわないのでしょう。私は、この種の発見の喜びを別の観点から見直してみることにしました。

最近は、こういう説明の仕方をするように工夫するようになりました。

「今の仕事に意義が見いだせないだって。よかったじゃないか。その仕事が無意味だということを実体験で知ることができたんだ。次はもっと自分に合う適職を、もっと自分を活かせるいい仕事を見つけやすくなるのに、また一歩近づくことができたんだから」

どんなつまらない仕事でも、どんなに自分に合わない仕事でも、やってみて初めて分かることがあります。そして、それが自分にとってつまらない仕事だと気づいたことは、自分にとってかけがいのない宝石のような経験値を積むことができたのです。そのことに気付けただけでも、その一見、つまらない仕事にかけた時間の分だけ、自分の経験値が上がったのです。さあ、次にはもっと自分を伸ばす、自分に合った、自分がもっと楽しいと思える仕事が目の前にやってくるに違いありません。その有り難さに気づくことができるのも、その前に一見してつまらないように見える仕事を経験したからこそなのですよ。(^^)
遠回り? 上等じゃないですか。目標に向かってただひたすらに進むだけが人生じゃない。回り道をしたからこそ得られる、見つかるものこそ、あなたの人生を豊かにするスパイスになる。私はそう信じて疑いません。(^^;)

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