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■ そもそも最初は『儲け』をどうやって計算していたか

会計(基礎編)
人類の経済活動の発展の推移にしたがって会計の技法も進化してきたことは「会計の歴史」でも触れました。そこでは、本格的なビジネスは大航海時代における冒険商人たちの一回限りの新大陸への航海に始まったと説明しました。新大陸と往復した航海のひとつひとつを単独のビジネスとして、一航海あたりの『儲け』を計算していたのでした。
『儲け』を計算する期間は、始まりが「出港」、終わりが「帰港」と認識することが容易でした。航海期間は通常は数年がかり。出航前に何年何か月かかると予めわかるはずもありませんでしたが、わからずとも『儲け』は計算できました(計算期間にこだわる理由は後ほど)。
なぜなら、出港前に王様が航海資金にと拠出したのが1000万円。帰港直後に財宝を売り払って、水夫たちへの報酬と傭船料(ようせんりょう)を差し引いた残りが6000万円。6000万円-1000万円=5000万円となり、王様の『儲け』は航海前に拠出したお金が増えた5000万円分というわけです。
この方法だと、『儲け』の計算期間があらかじめわかっていなくても、結果として不定期となったとしてもなんら不自由を感じることはありません。
このように『儲け』を計算する方法を会計学では大雑把に表現すると、「財産法」とか「資産負債アプローチ」と呼んでいます。
※「資産」とか「負債」という用語は改めて説明します
では、現代社会でも同じ方式で『儲け』を計算してみましょう。あなたは、銀行に1000万円を5年満期の定期預金として預けたとします。年利が5%とすると、毎年支払ってもらえる利息金額は50万円となりますので、5年で合わせて250万円の利息を受け取ることになります。1000万円預けて、5年後に1250万円になって手元に帰ってきました。1250万円-1000万円=250万円ということになります。これは、定期預金の満期が5年なのと、大航海時代のひとつの航海が5年だったことと同じケースと扱えるものとご理解ください。
注)既にお勉強されている方は、単利とか複利、割引現在価値などとか、気になると思いますが、しばらくこの調子の説明にお付き合いください。(^_^;)

■ 「財産法」が使えなくなる時代がやってきた

やがて、産業革命がおこり、ビジネスの形態が皆さんにもイメージのしやすい「紡績会社」とか「鉄道会社」になってくると、半永久的にビジネスが継続するのが大前提になってきます。投資家が拠出した資金がどれくらい『儲け』を生んだか計算するためだけに、いちいち会社を解散(清算)していられませんから。同時に、投資家もそういうことは望みませんでした。頻繁に会社を作ったり解散したりするとその分、手間暇やコストがかかりますので。
そこで、1年に一回、決算といって会社が1年間にいくら儲けたかを帳簿(1年間のお金の出入りが記録されたもの=個人でいうところの預金通帳みたいなもの)を見て確認することにしました。
しかし、困ったことが起きました。会社が営業活動を続けていると資金が不足することがあります。そうすると、投資家から追加的に出資してもらうことになるケースが増えてきました。しかも、会社が大きくなればなるほど、必要な資金も多額になりますので、一人の投資家ではとうてい賄いきれなくなってきました。そこで、投資家がAさん、Bさんと複数に増えていきます。
「いっせいのせっ!」とAさんとBさんが同時に出資するのではなく、違うタイミングで株主になることも考えられます。その場合、決算時点でAさんの投資額が増えた分と、Bさんの投資額が増えた分をそれぞれ「財産法」をつかって差し引きで計算することができなくなりました。下図を参照してください。
会計(基礎編)_儲けの計算方法_v01
4/1から9/30にかけて、1000万円投資額が増えていますが、これはBさんが追加的に出資した金額です。しかし、9/30から3/31にかけて、会社全体で3000万円増えています。Aさんの立場からすると、4/1から3/31までの営業活動で自分の投資が元で儲かった分を知りたいのですが、途中からBさんの投資額が増えているので、これまでの単純な差引計算ではAさんの投資がどれだけ儲かったかわからくなりました。
そこで、AさんやBさんの投資額がそれぞれ、どれだけ増えたか直接計算することを諦めて、とりあえず1年間に会社に入ってきたお金と、そのお金をもらうために使ったお金(会社から出ていったお金)を差し引いて、1年間の会社の『儲け』をとりあえず計算することにしました。
<八百屋さんの例で考えてみる>

  1. AさんやBさんから出資してもらった2000万円できゅうりを買います(なんと高い!)。
  2. 野菜を買いに来た買い物客に5000万円できゅうりを売ります(よくそんな値段で買うなぁ~)。
  3. 5000万円-2000万円=3000万円で、会社全体では3000万円分儲かりました。

このように『儲け』を計算する方法を会計学では大雑把に表現すると、「損益法」とか「収益費用アプローチ」と呼んでいます。
※「損益」「費用」「収益」という用語は改めて説明します
経営者としては、「いったん経営責任として3000万円儲けました。後は、AさんとBさんとで3000万円をどう分けるか、二人で話し合って決めてください」ということになります。
ここまで、『儲け』の計算方法を説明しました。最新の会計ルールでは一体どちらになっているのか、、、別の機会までお楽しみに!
会計(基礎編)_儲けの計算方法

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http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291-150x150.jpg小林 友昭会計(基礎編)■ そもそも最初は『儲け』をどうやって計算していたか 人類の経済活動の発展の推移にしたがって会計の技法も進化してきたことは「会計の歴史」でも触れました。そこでは、本格的なビジネスは大航海時代における冒険商人たちの一回限りの新大陸への航海に始まったと説明しました。新大陸と往復した航海のひとつひとつを単独のビジネスとして、一航海あたりの『儲け』を計算していたのでした。 『儲け』を計算する期間は、始まりが「出港」、終わりが「帰港」と認識することが容易でした。航海期間は通常は数年がかり。出航前に何年何か月かかると予めわかるはずもありませんでしたが、わからずとも『儲け』は計算できました(計算期間にこだわる理由は後ほど)。 なぜなら、出港前に王様が航海資金にと拠出したのが1000万円。帰港直後に財宝を売り払って、水夫たちへの報酬と傭船料(ようせんりょう)を差し引いた残りが6000万円。6000万円-1000万円=5000万円となり、王様の『儲け』は航海前に拠出したお金が増えた5000万円分というわけです。 この方法だと、『儲け』の計算期間があらかじめわかっていなくても、結果として不定期となったとしてもなんら不自由を感じることはありません。 このように『儲け』を計算する方法を会計学では大雑把に表現すると、「財産法」とか「資産負債アプローチ」と呼んでいます。 ※「資産」とか「負債」という用語は改めて説明します では、現代社会でも同じ方式で『儲け』を計算してみましょう。あなたは、銀行に1000万円を5年満期の定期預金として預けたとします。年利が5%とすると、毎年支払ってもらえる利息金額は50万円となりますので、5年で合わせて250万円の利息を受け取ることになります。1000万円預けて、5年後に1250万円になって手元に帰ってきました。1250万円-1000万円=250万円ということになります。これは、定期預金の満期が5年なのと、大航海時代のひとつの航海が5年だったことと同じケースと扱えるものとご理解ください。 注)既にお勉強されている方は、単利とか複利、割引現在価値などとか、気になると思いますが、しばらくこの調子の説明にお付き合いください。(^_^;) ■ 「財産法」が使えなくなる時代がやってきた やがて、産業革命がおこり、ビジネスの形態が皆さんにもイメージのしやすい「紡績会社」とか「鉄道会社」になってくると、半永久的にビジネスが継続するのが大前提になってきます。投資家が拠出した資金がどれくらい『儲け』を生んだか計算するためだけに、いちいち会社を解散(清算)していられませんから。同時に、投資家もそういうことは望みませんでした。頻繁に会社を作ったり解散したりするとその分、手間暇やコストがかかりますので。 そこで、1年に一回、決算といって会社が1年間にいくら儲けたかを帳簿(1年間のお金の出入りが記録されたもの=個人でいうところの預金通帳みたいなもの)を見て確認することにしました。 しかし、困ったことが起きました。会社が営業活動を続けていると資金が不足することがあります。そうすると、投資家から追加的に出資してもらうことになるケースが増えてきました。しかも、会社が大きくなればなるほど、必要な資金も多額になりますので、一人の投資家ではとうてい賄いきれなくなってきました。そこで、投資家がAさん、Bさんと複数に増えていきます。 「いっせいのせっ!」とAさんとBさんが同時に出資するのではなく、違うタイミングで株主になることも考えられます。その場合、決算時点でAさんの投資額が増えた分と、Bさんの投資額が増えた分をそれぞれ「財産法」をつかって差し引きで計算することができなくなりました。下図を参照してください。 4/1から9/30にかけて、1000万円投資額が増えていますが、これはBさんが追加的に出資した金額です。しかし、9/30から3/31にかけて、会社全体で3000万円増えています。Aさんの立場からすると、4/1から3/31までの営業活動で自分の投資が元で儲かった分を知りたいのですが、途中からBさんの投資額が増えているので、これまでの単純な差引計算ではAさんの投資がどれだけ儲かったかわからくなりました。 そこで、AさんやBさんの投資額がそれぞれ、どれだけ増えたか直接計算することを諦めて、とりあえず1年間に会社に入ってきたお金と、そのお金をもらうために使ったお金(会社から出ていったお金)を差し引いて、1年間の会社の『儲け』をとりあえず計算することにしました。 <八百屋さんの例で考えてみる> AさんやBさんから出資してもらった2000万円できゅうりを買います(なんと高い!)。 野菜を買いに来た買い物客に5000万円できゅうりを売ります(よくそんな値段で買うなぁ~)。 5000万円-2000万円=3000万円で、会社全体では3000万円分儲かりました。 このように『儲け』を計算する方法を会計学では大雑把に表現すると、「損益法」とか「収益費用アプローチ」と呼んでいます。 ※「損益」「費用」「収益」という用語は改めて説明します 経営者としては、「いったん経営責任として3000万円儲けました。後は、AさんとBさんとで3000万円をどう分けるか、二人で話し合って決めてください」ということになります。 ここまで、『儲け』の計算方法を説明しました。最新の会計ルールでは一体どちらになっているのか、、、別の機会までお楽しみに!現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します