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■ 有機野菜を楽しく作る 大人気のレンタル農園

コンサルタントのつぶやき

マイファームはレンタル農園を経営している。府中にある農園を覗いてみる。区画ひとつ15平米とたたみ8畳ほどで、年間利用料は7万3500円と、自治体が運営している市民農園よりちょっと高めだが、人気の秘密がある。

● マイファーム人気の秘密1
農具や堆肥が備え付け。利用者は手ブラでOK。

● マイファーム人気の秘密2
同じ区画を継続利用できる。一方で、自治体の農園は一定期間で抽選で利用場所が変更になる。

(利用者の声)
「土づくりが大事なので、1~2年で終わらせるのはもったいない」

● マイファーム人気の秘密3
農薬を使わない有機栽培。とはいえ、素人が無農薬で野菜を作るのは難しい。そこで、

● マイファーム人気の秘密4
アドバイザーに野菜作りを相談。マイファームの農園には必ずアドバイザーがいて、いつでも気軽に農作業の相談ができる。

マイファームの農園には、調理施設もあり、その場で仲間と一緒に、収穫したばかりの野菜を使った料理を楽しむこともできる。

マイファームの体験農園は現在、全国120か所。1万人が利用する。民間のレンタル農園ではシェア日本一。

20151119_西辻一真_カンブリア宮殿

番組公式ホームページより

なぜ貸農園を始めたのか?
「貸農園を運営するにあたり、「楽しい」から入ってもらって、農業のハードルを下げるのが大事。バーベキューや海に遊びに行くのと同じ感覚で農業の世界に入ってほしい。」

京都市下京区にマイファームの本社がある。創業2007年、社員22人。売り上げは右肩上がり。今注目のベンチャー企業だ。特徴はそのビジネスモデル。実は、マイファームの農園は耕作放棄地を再生したもの。全国120か所あるマイファームの農園は全てが元耕作放棄地なのだ。農家の高齢化と後継者不足が原因で、耕作放棄地はこの10年で15%も増加している。全国でその面積を合わせると約40万ヘクタール(埼玉県の面積に匹敵する広さ)もある。レンタル農園にして耕作放棄地を減らす。それがマイファームのそもそもの目的だ。

「一般の消費者の方々が、農業を楽しむ場所に使うことができれば、耕作放棄地を減らす一歩になると貸農園に変えている。」

マイファームには耕作放棄地を抱えた全国の農家から相談が寄せられている。多いときには月に100件を超えることも。

ある耕作放棄地の所有者からの相談。
「ただ持っているだけでも税金はかかってしまうので、マイファームさんに相談して、みんなで楽しめる農園ができたら、地域の方にも喜ばれると思って。」

農地の再生にあたって、まず行うのは土壌の分析。農園オープン前に土壌を改良していく。耕運機で土を耕し、土の中の微生物の働きを活発にする有機肥料を撒く。こうすることで、カリウム等、土壌の中で不足している成分を増やしていく。農園の片隅では、地下水をくみ上げる手押しポンプを設置している。子供たちが、「非日常」を体験し、少しでも農業を楽しんでもらうための工夫の一つだ。

「世の中から見たら耕作放棄地だが、僕から見たら宝の山ですよ! 週末になると賑わってコミュニティができて、そこで一緒に野菜を作ったり、食べたりしている様子が想像できる。めちゃくちゃいい場所になる」

耕作放棄地をレンタル農園で減らせ! 楽しい野菜作りで農業再生!

「他の自治体運営などの貸農園との一番大きな違いは、有機栽培でやろうという所。なぜ有機栽培にしているかというと、子供が良く来るので、農薬をかけて次の日に食べると危ない、そういう危険性の問題から農薬を使わないようにしている。」

(村上氏)
「完全無農薬で大規模農業をやるのは非常に難しいですよね?」
「大規模農業では無農薬は絶対難しいと思います。自分たちが食べる分だけや趣味なら農薬を使わなくてもおいしく育てられる」

「耕作放棄地があることで、既存の頑張っている農家にもデメリットが生じる。虫の巣がいっぱいできてしまう、雑草の種が飛んでしまう、年々衰退していってる感じになってしまう。」

(村上氏)
「どうして、耕作放棄地を農園にしようと思ったのか?」

「楽しい野菜作りをしていきたいということが先だった。それをするにはどこがいいかと考えた時に、既存の頑張っている農家に「大根作りをやめて貸農園に」とは言えない。使っていない所を使うのが貸農園の正しい姿と思い、耕作放棄地になったんです」

「最初は農園ができると、近隣の人たちは、「うるさくなるのでは」とか「車が来るのでは」と、よく言われるんですけど、1年ぐらい経つと仲良くなって、一緒にバーベキューに参加したり、畑の中で一緒に野菜作りをしていたり、そうなっていく。」

マイファーム 荒地からの挑戦: 農と人をつなぐビジネスで社会を変える

■ 「なぜ耕作放棄地が?」 原点は少年時代の疑問

1982年、西辻は福井県に生まれた。父親はサラリーマンで、農業とは無縁の家庭だったが、母親が熱心に家庭菜園をやっていて、西辻も幼い時から野菜作りが大好きだった。やがて高校に上がった西辻、その頃にある異変に気付く。それまで畑だったところが次々と荒れ地になっていったのだ。

「だれも使っていないのなら、もったいないから自分が使いたい。そう思ったのが農業を始めたいと思った最初のきっかけ。」

2002年、京都大学農学部に入学する。大学での研究は野菜の品種改良。たくさん収穫できる作物を作るのが目的だ。しかし西辻は研究に疑問を抱くようになる。農業をする人が減っている。耕作放棄地を何とかしたい。

「農業をする人が増えないといけない。耕作放棄地を使って農業を楽しむ人を増やし、そこから実際に農業をする人を増やす状況を作れば、問題解決の一番いい方法ではないかと」

大学を卒業した翌年、マイファームを2007年に創業する。

「農業は汚くて大変で儲からないという悪いイメージがあるが、そうじゃなくて、楽しいんだよって伝える」

もっと上手に市民農園―4.5坪・45品目 小さな畑をフル活用 (コツのコツシリーズ)

■ ニッポン農業を変える!? 「楽しい野菜作り」体験

ある地主さんから連絡が入り、乏しい資金をやりくりして現地に夜行バスで通うこと8回。交渉がいよいよ大詰めというところで、最後になって農家の女性はこう言った。

「よく考えたんだけど、やっぱり心配だわ。悪いけどこの話はなかったことにしてね。」

帰りの駅のホームで西辻は人目もはばからず、くやし涙を流した。

「地主さんは、「若造が失敗すると周りに迷惑がかかる」と考えたはず。それって、耕作放棄地の状態よりもっと悪くなることがあるのかと。それが理解できなくて困惑し、それとやりきれない思いで人目もはばからず泣いた。」

1年後、ようやく協力者が現れ、2008年に1号農園がオープンした。スタッフのTシャツには「自産自消」の文字が。これは西辻が考えた。『自分で野菜を作って自分で食べる』そんな農業の楽しさを広めることによって、耕作放棄地を減らす。マイファームの農園は全国に広がっていった。

そんな西辻が今始めたのは、農家になりたいという人を育てる農業のビジネススクールだ。2011年設立のアグリイノベーション大学校。西辻は学長で講師の一人でもある。農家になる人を育てて耕作放棄地を減らす、それが狙いだ。受講生は20代~50代、栽培の技術だけでなく、商品化や販売など、農業ビジネスについての授業も。もちろん畑での実習もある。受講料は56万4000円(1年コース)で、開校からこれまでの卒業生は400人以上。

卒業生の一人が奈良県の御所市で、父の残した土地で農業を始めた。作っているのは「大和伝統野菜」。奈良で戦前から作られている地場野菜だ。「紫とうがらし」「大和いも」「ひもとうがらし」など、20種類以上を数えるが、大量生産に不向きで生産農家が減少していた。新米農家にとって最大の悩みは販路。卒業生の野菜を常時売っているのは、地元の直売所の一か所だけ。農家として自立するには、販路の拡大は欠かせない。マイファームの担当者は、販路拡大の相談にも乗っている。

「マイファーマー」とは、マイファーム直営の八百屋。東京・京都・名古屋に3店舗展開し、無農薬・減農薬野菜を中心に販売している。ここでは学校の卒業生が作った野菜を優先的に販売しているのだ。農業を教えているだけではなく、販路を作って農業を続けられるようにフォローしているのだ。

卒業生が作る野菜は普通のお店ではなかなかお目にかかれない珍しいものが多い。例えば、コリンキーという生でも食べられるカボチャなど。

「これから農家さんが追求していってほしいのは、大量生産・大量消費の中からこぼれ落ちたもの。今までなかった新たな野菜を出していく。そういったものを学校としても推薦しているので、変わった野菜が多くなっている」

「よく農家のサポートの方法として、大手スーパーや百貨店が「いいものだったら買います」「新規就農を応援する」と言うが、実際は金額が合わなかったり、量が足りない、安定供給ができない、こういうハードルがあって、農家も「そうだな」という意見になる。それで買ってもらえなくて終わりではすごくもったいない。私たちはベンチャー企業なので柔軟に対応し、野菜を買い取り、最初のしんどい時期を一緒に乗り越える、そういう感覚を持っています」

「母親と野菜作りをしていて、よく話をしていた。「こっちはお母さん、ここは僕」と比べたり、いろいろトライをしていた。自分の幼少期に、いろいろな作物を作って親と一緒に野菜料理を食べたり、一緒に作業しあり、隣の人にお裾分けしたり、そういうことをしてきたことがすごく幸せだった。」

「母親になぜ耕作放棄地があるのか尋ねた時に、普通は「儲からないから」と言う可能性があるが、「楽しくなかったんだよ」と答えた。それはすごいなと思った」

農業再生に挑むコミュニティビジネス:豊かな地域資源を生かすために (シリーズ・いま日本の「農」を問う)

■ 泊まって農業体験も! 北陸の農園レストラン

福井県の西辻の故郷、ここに2年前、農園レストラン「ノラ」がオープンした。地元で採れた野菜や採れたて卵を使った料理を提供している。更に、観光客用に泊まれる客室もある。実はこの「ノラ」、西辻が高校時代に見た耕作放棄地を再生したものだ。今、マイファームは地方の耕作放棄地を再生させ、魅力ある観光資源にしようと試みている。「ノラ」では、定期的に観光客向けに農業体験ツアーを開いている。

「元々、耕作放棄地を全て貸農園にできると思ってはいない。地方は「自然はいっぱいある」と言われるが、産業が無いことがほとんど。「自然がいっぱいあるんだけどね」を最大限生かすにはどうしたらいいか、農園のレストランというのを作って、地元の人々が集まってくる、そういうコミュニティの所に観光客が来たり、そこで調理したものを東京に住んでいる地方出身者が食べて故郷を思い出す、そういうことをしていくのが、一番いいと思って、農園レストラン「ノラ」をつくった。」

「僕自身も味わったんですけど、起業した時は、「すぐに売り上げを上げないと」と思っている。実際は現場の畑に行くと、いくら頑張っても、トマトに「明日できろ」と言ってもできないことに気付いて。自然の速度に委ねているから、この仕事はいい、と気づいた。だから、お客にも「自然の速度にどう寄り添うかが農業の醍醐味だ」と伝えている。」

『農業は人を謙虚にする』

農業ビジネスマガジン vol.10 (“強い農業”を実現するためのビジュアル情報誌)

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番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151119.html

マイファームのホームページはこちら
http://myfarm.co.jp/




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耕作放棄地を体験農園に! 農業の楽しさを広める異色ベンチャー 株式会社マイファーム代表取締役社長・西辻一真 2015年11月19日 TX カンブリア宮殿http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭TV番組レビューカンブリア宮殿,マイファーム,西辻一真,貸農園,耕作放棄地■ 有機野菜を楽しく作る 大人気のレンタル農園 マイファームはレンタル農園を経営している。府中にある農園を覗いてみる。区画ひとつ15平米とたたみ8畳ほどで、年間利用料は7万3500円と、自治体が運営している市民農園よりちょっと高めだが、人気の秘密がある。 ● マイファーム人気の秘密1 農具や堆肥が備え付け。利用者は手ブラでOK。 ● マイファーム人気の秘密2 同じ区画を継続利用できる。一方で、自治体の農園は一定期間で抽選で利用場所が変更になる。 (利用者の声) 「土づくりが大事なので、1~2年で終わらせるのはもったいない」 ● マイファーム人気の秘密3 農薬を使わない有機栽培。とはいえ、素人が無農薬で野菜を作るのは難しい。そこで、 ● マイファーム人気の秘密4 アドバイザーに野菜作りを相談。マイファームの農園には必ずアドバイザーがいて、いつでも気軽に農作業の相談ができる。 マイファームの農園には、調理施設もあり、その場で仲間と一緒に、収穫したばかりの野菜を使った料理を楽しむこともできる。 マイファームの体験農園は現在、全国120か所。1万人が利用する。民間のレンタル農園ではシェア日本一。 (番組公式ホームページより) なぜ貸農園を始めたのか? 「貸農園を運営するにあたり、「楽しい」から入ってもらって、農業のハードルを下げるのが大事。バーベキューや海に遊びに行くのと同じ感覚で農業の世界に入ってほしい。」 京都市下京区にマイファームの本社がある。創業2007年、社員22人。売り上げは右肩上がり。今注目のベンチャー企業だ。特徴はそのビジネスモデル。実は、マイファームの農園は耕作放棄地を再生したもの。全国120か所あるマイファームの農園は全てが元耕作放棄地なのだ。農家の高齢化と後継者不足が原因で、耕作放棄地はこの10年で15%も増加している。全国でその面積を合わせると約40万ヘクタール(埼玉県の面積に匹敵する広さ)もある。レンタル農園にして耕作放棄地を減らす。それがマイファームのそもそもの目的だ。 「一般の消費者の方々が、農業を楽しむ場所に使うことができれば、耕作放棄地を減らす一歩になると貸農園に変えている。」 マイファームには耕作放棄地を抱えた全国の農家から相談が寄せられている。多いときには月に100件を超えることも。 ある耕作放棄地の所有者からの相談。 「ただ持っているだけでも税金はかかってしまうので、マイファームさんに相談して、みんなで楽しめる農園ができたら、地域の方にも喜ばれると思って。」 農地の再生にあたって、まず行うのは土壌の分析。農園オープン前に土壌を改良していく。耕運機で土を耕し、土の中の微生物の働きを活発にする有機肥料を撒く。こうすることで、カリウム等、土壌の中で不足している成分を増やしていく。農園の片隅では、地下水をくみ上げる手押しポンプを設置している。子供たちが、「非日常」を体験し、少しでも農業を楽しんでもらうための工夫の一つだ。 「世の中から見たら耕作放棄地だが、僕から見たら宝の山ですよ! 週末になると賑わってコミュニティができて、そこで一緒に野菜を作ったり、食べたりしている様子が想像できる。めちゃくちゃいい場所になる」 耕作放棄地をレンタル農園で減らせ! 楽しい野菜作りで農業再生! 「他の自治体運営などの貸農園との一番大きな違いは、有機栽培でやろうという所。なぜ有機栽培にしているかというと、子供が良く来るので、農薬をかけて次の日に食べると危ない、そういう危険性の問題から農薬を使わないようにしている。」 (村上氏) 「完全無農薬で大規模農業をやるのは非常に難しいですよね?」 「大規模農業では無農薬は絶対難しいと思います。自分たちが食べる分だけや趣味なら農薬を使わなくてもおいしく育てられる」 「耕作放棄地があることで、既存の頑張っている農家にもデメリットが生じる。虫の巣がいっぱいできてしまう、雑草の種が飛んでしまう、年々衰退していってる感じになってしまう。」 (村上氏) 「どうして、耕作放棄地を農園にしようと思ったのか?」 「楽しい野菜作りをしていきたいということが先だった。それをするにはどこがいいかと考えた時に、既存の頑張っている農家に「大根作りをやめて貸農園に」とは言えない。使っていない所を使うのが貸農園の正しい姿と思い、耕作放棄地になったんです」 「最初は農園ができると、近隣の人たちは、「うるさくなるのでは」とか「車が来るのでは」と、よく言われるんですけど、1年ぐらい経つと仲良くなって、一緒にバーベキューに参加したり、畑の中で一緒に野菜作りをしていたり、そうなっていく。」 マイファーム 荒地からの挑戦: 農と人をつなぐビジネスで社会を変える ■ 「なぜ耕作放棄地が?」 原点は少年時代の疑問 1982年、西辻は福井県に生まれた。父親はサラリーマンで、農業とは無縁の家庭だったが、母親が熱心に家庭菜園をやっていて、西辻も幼い時から野菜作りが大好きだった。やがて高校に上がった西辻、その頃にある異変に気付く。それまで畑だったところが次々と荒れ地になっていったのだ。 「だれも使っていないのなら、もったいないから自分が使いたい。そう思ったのが農業を始めたいと思った最初のきっかけ。」 2002年、京都大学農学部に入学する。大学での研究は野菜の品種改良。たくさん収穫できる作物を作るのが目的だ。しかし西辻は研究に疑問を抱くようになる。農業をする人が減っている。耕作放棄地を何とかしたい。 「農業をする人が増えないといけない。耕作放棄地を使って農業を楽しむ人を増やし、そこから実際に農業をする人を増やす状況を作れば、問題解決の一番いい方法ではないかと」 大学を卒業した翌年、マイファームを2007年に創業する。 「農業は汚くて大変で儲からないという悪いイメージがあるが、そうじゃなくて、楽しいんだよって伝える」 もっと上手に市民農園―4.5坪・45品目 小さな畑をフル活用 (コツのコツシリーズ) ■ ニッポン農業を変える!? 「楽しい野菜作り」体験 ある地主さんから連絡が入り、乏しい資金をやりくりして現地に夜行バスで通うこと8回。交渉がいよいよ大詰めというところで、最後になって農家の女性はこう言った。 「よく考えたんだけど、やっぱり心配だわ。悪いけどこの話はなかったことにしてね。」 帰りの駅のホームで西辻は人目もはばからず、くやし涙を流した。 「地主さんは、「若造が失敗すると周りに迷惑がかかる」と考えたはず。それって、耕作放棄地の状態よりもっと悪くなることがあるのかと。それが理解できなくて困惑し、それとやりきれない思いで人目もはばからず泣いた。」 1年後、ようやく協力者が現れ、2008年に1号農園がオープンした。スタッフのTシャツには「自産自消」の文字が。これは西辻が考えた。『自分で野菜を作って自分で食べる』そんな農業の楽しさを広めることによって、耕作放棄地を減らす。マイファームの農園は全国に広がっていった。 そんな西辻が今始めたのは、農家になりたいという人を育てる農業のビジネススクールだ。2011年設立のアグリイノベーション大学校。西辻は学長で講師の一人でもある。農家になる人を育てて耕作放棄地を減らす、それが狙いだ。受講生は20代~50代、栽培の技術だけでなく、商品化や販売など、農業ビジネスについての授業も。もちろん畑での実習もある。受講料は56万4000円(1年コース)で、開校からこれまでの卒業生は400人以上。 卒業生の一人が奈良県の御所市で、父の残した土地で農業を始めた。作っているのは「大和伝統野菜」。奈良で戦前から作られている地場野菜だ。「紫とうがらし」「大和いも」「ひもとうがらし」など、20種類以上を数えるが、大量生産に不向きで生産農家が減少していた。新米農家にとって最大の悩みは販路。卒業生の野菜を常時売っているのは、地元の直売所の一か所だけ。農家として自立するには、販路の拡大は欠かせない。マイファームの担当者は、販路拡大の相談にも乗っている。 「マイファーマー」とは、マイファーム直営の八百屋。東京・京都・名古屋に3店舗展開し、無農薬・減農薬野菜を中心に販売している。ここでは学校の卒業生が作った野菜を優先的に販売しているのだ。農業を教えているだけではなく、販路を作って農業を続けられるようにフォローしているのだ。 卒業生が作る野菜は普通のお店ではなかなかお目にかかれない珍しいものが多い。例えば、コリンキーという生でも食べられるカボチャなど。 「これから農家さんが追求していってほしいのは、大量生産・大量消費の中からこぼれ落ちたもの。今までなかった新たな野菜を出していく。そういったものを学校としても推薦しているので、変わった野菜が多くなっている」 「よく農家のサポートの方法として、大手スーパーや百貨店が「いいものだったら買います」「新規就農を応援する」と言うが、実際は金額が合わなかったり、量が足りない、安定供給ができない、こういうハードルがあって、農家も「そうだな」という意見になる。それで買ってもらえなくて終わりではすごくもったいない。私たちはベンチャー企業なので柔軟に対応し、野菜を買い取り、最初のしんどい時期を一緒に乗り越える、そういう感覚を持っています」 「母親と野菜作りをしていて、よく話をしていた。「こっちはお母さん、ここは僕」と比べたり、いろいろトライをしていた。自分の幼少期に、いろいろな作物を作って親と一緒に野菜料理を食べたり、一緒に作業しあり、隣の人にお裾分けしたり、そういうことをしてきたことがすごく幸せだった。」 「母親になぜ耕作放棄地があるのか尋ねた時に、普通は「儲からないから」と言う可能性があるが、「楽しくなかったんだよ」と答えた。それはすごいなと思った」 農業再生に挑むコミュニティビジネス:豊かな地域資源を生かすために (シリーズ・いま日本の「農」を問う) ■ 泊まって農業体験も! 北陸の農園レストラン 福井県の西辻の故郷、ここに2年前、農園レストラン「ノラ」がオープンした。地元で採れた野菜や採れたて卵を使った料理を提供している。更に、観光客用に泊まれる客室もある。実はこの「ノラ」、西辻が高校時代に見た耕作放棄地を再生したものだ。今、マイファームは地方の耕作放棄地を再生させ、魅力ある観光資源にしようと試みている。「ノラ」では、定期的に観光客向けに農業体験ツアーを開いている。 「元々、耕作放棄地を全て貸農園にできると思ってはいない。地方は「自然はいっぱいある」と言われるが、産業が無いことがほとんど。「自然がいっぱいあるんだけどね」を最大限生かすにはどうしたらいいか、農園のレストランというのを作って、地元の人々が集まってくる、そういうコミュニティの所に観光客が来たり、そこで調理したものを東京に住んでいる地方出身者が食べて故郷を思い出す、そういうことをしていくのが、一番いいと思って、農園レストラン「ノラ」をつくった。」 「僕自身も味わったんですけど、起業した時は、「すぐに売り上げを上げないと」と思っている。実際は現場の畑に行くと、いくら頑張っても、トマトに「明日できろ」と言ってもできないことに気付いて。自然の速度に委ねているから、この仕事はいい、と気づいた。だから、お客にも「自然の速度にどう寄り添うかが農業の醍醐味だ」と伝えている。」 『農業は人を謙虚にする』 農業ビジネスマガジン vol.10 (“強い農業'を実現するためのビジュアル情報誌) -------------------- 番組ホームページはこちら (http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151119.html) マイファームのホームページはこちら (http://myfarm.co.jp/)現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します