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■ 個人投資家に限らず、企業財務値を分析するためのデータ収集方法とは

管理会計(基礎編)

どちらかと言えば個人投資家向けの記事でしたが、それは翻ってみれば、企業財務担当者やIR担当者の仕事ぶりの裏から評価するものでもあります。今回は、個人投資家がお目当ての投資対象検討企業の財務情報をどう入手して、自身で分析できる形で手中に収められるかまでを、記事中にも取り上げられているファミリーマートを例に説明していきたいと思います。セブンを選ばせて頂きましたのは、小売・外食系の企業ならば、月次統計を開示している典型例として相応しいと考えたからです。

2016/6/4付 |日本経済新聞|朝刊 投資機会、開示資料で把握 足元の業績、月次も参考に

「6月は3月期企業の株主総会シーズン。決算が出そろい、個人投資家でも上場企業から直接、株式投資に役立つ情報を得るチャンスが増える。決算内容や経営戦略について、理解を深める手立てを探った。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

上記の新聞記事では、企業財務数値の入手方法、裏返すと企業が外部に開示している財務情報を次のように分類しています。

(下記は、同記事添付の開示される会社資料一覧を転載)

20160604_5月~6月に開示される会社資料_日本経済新聞朝刊

この整理表では、次の5つを代表的なディスクローズ資料と位置づけています。

(1)月次統計
(2)決算短信
(3)決算説明会資料
(4)有価証券報告書
(5)中期経営計画

その他、上記の添付表には、

① 経営陣らによる説明会、工場見学
② ネットを活用した情報発信
③ 株主優待、総会を利用

も記載されています。

本稿では、財務分析を主目的として、ディスクローズ資料にどんなものがあるのか、その特徴をまずは大雑把に把握することを目的に、次のような整理で簡単な解説をつけていきます。

(1)月次統計
(2)決算短信
(3)決算説明会資料
(4)有価証券報告書
(5)アニュアルレポート
(6)事業報告書(株主総会招集通知に同封)
(7)中期経営計画
(8)CSR報告書

 

■ 開示が強制か任意かは使う人には関係ない。でも位置づけは大事かもしれない

(1)月次統計

「公約の実現に向け企業は、どのように日々稼ごうとしているのか。大まかな戦略を知った上で、足元の業績動向を知りたいときは、毎月発表される月次資料が参考になる。小売りや運輸など、内需関連で積極的に開示する企業が多い。
 ファミリーマートは毎月10日前後に、既存店の1日当たり売上高や客単価の増減率、出店・閉店数などを開示している。ANAホールディングス、日本航空は全路線の提供座席数と搭乗率を公表。訪日外国人客(インバウンド)の動向や業績の先読み材料になる。」

3年中計の達成度を知るには1年本決算数値、1年決算の進捗率を知るには四半期決算数値、そして、四半期決算数値の予測をするためには、日次や月次の営業活動指標の分析が必要です。月次統計は、その提出が規制産業においては法定のものと、所属する業界団体の統計のための任意のものと、その個別企業の積極的な情報開示誌姿勢によるものの3つに大別されます。

自動車の場合は、毎月、日本経済新聞に、国内販売、国内生産、輸出、海外生産の4つの数字が発表されているのですが、あれは業界(JAMA – 一般社団法人日本自動車工業会)が取りまとめているものです。

小売・サービスの場合は、客数(客単価)、売上(日販)、店舗数(出店数や既存店売上高)の分析数値を月次で任意開示する例が多くあります。

ファミリーマートの月次営業実績報告

20160605_ファミリーマート_月次経営報告

(2)決算短信

「東京証券取引所が定めた統一書式で、企業の貸借対照表と損益計算書が最も早く開示される。
 日本個人投資家協会の木村喜由理事は「真っ先に確認すべきポイントは(1)売上高(2)営業利益率(3)配当性向(4)中期ビジョンだ」と話す。(4)を除くと、決算短信の1枚目に掲載されている。」

決算短信(けっさんたんしん)は、株式を証券取引所に上場している企業が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報です。個別企業が盛って内容を濃く追記している部分もありますが、基本的には形式が決まっているので、競合企業との横並び比較にも役立ちます。あくまで証券取引所の自主規制に基づく開示で、

・通期決算短信
決算期末後45日以内に開示されることが適当とされ、30日以内の開示がより望ましいとされている
・四半期決算短信
金融商品取引法に基づく四半期報告書の提出日よりもある程度前に開示することが適当とされ、目安としては決算期末と同等以上でかつ、30日以内が望ましいとされている

ということで、連結損益計算書、連結貸借対照表など、ほとんど有価証券報告書と同等の開示内容で且つ、速報性があるので大変重宝します。ただし、要注意なのが、会計監査人(監査法人)による会計監査を経て開示されたものではないという点。過去に、ソフトバンクなどが会計監査による記載の大幅修正で、有価証券報告書との乖離が財務分析上、決して無視できない大きさになった例もありました。

ファミリーマートの決算短信

20160605_ファミリーマート_決算短信

いちいち、対象企業のホームページで探すのは鬱陶しい。関連企業の決算短信を手軽に次々と検索したい、そういうニーズに対しては、次のリンクをご紹介します。

TDnet 適時開示情報閲覧サービス

野村證券 | 決算短信

使い勝手は、人それぞれですが、筆者は、野村證券の方を多用しています。

(3)決算説明会資料

「決算短信は統一書式のため各企業を比較しやすい半面、掲載されているデータは直近2年分だけ。数字が並ぶ書式には味気なさも漂う。そこで企業は個人向けにカラー刷りの決算説明会資料に工夫を凝らす。決算発表直後の説明会はアナリスト向けが中心だが、配布資料や動画は企業のホームページで入手できる。」

通常は、決算短信を東証に投げ込むタイミングと同時に、決算発表説明会をプレスやアナリスト向けに行います。その際に使われるプレゼン資料は、基礎数字は決算短信と同様ですが、対計画比の未達理由分析、今期業績予想や事業戦略の目玉など、良くも悪くも盛りだくさんな内容で提供されています。

ファミリーマートの決算説明資料

20160605_ファミリーマート_決算説明資料

このブログでも、見せるチャートとして、ご紹介する頻度が一番高いように思います。

 

■ ここからは重厚な報告資料が目白押し

(4)有価証券報告書

「アナリストは有価証券報告書を重視する。企業は決算後3カ月以内に金融庁に提出しなければならない。3月期企業は6月30日が期限だ。短信より内容が細かく企業集団の全容や経営陣の履歴、社員の平均給料、年金債務まで載っている。
なかでも今年は株主の分布状況に注目が集まる。年明け以降の株安でアベノミクス相場が転機を迎え、外国人などが日本株の持ち高を大きく変えている可能性があるからだ。例えば、西武ホールディングスでは昨年以降、大株主の米投資ファンド・サーベラスが保有株を売却した。「物言う株主」の存在は株主総会で論点になりやすい。」

これは法定文書になり、
提出根拠法令:金融商品取引法 第24条
提出様式及び内容の根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令

に基づいており、各事業年度終了後、3か月以内の金融庁への提出が義務づけられています。開示内容が財務諸表だけでなく、事業内容や役員、株式政策といったテキスト情報は元より、設備投資、従業員、受注・生産高、配当、借入金明細、売掛金明細、年金関連情報、税効果会計明細など、おそらく財務分析するのに一番の充実ぶりだと考えています。

ファミリーマートの有価証券報告書

20160605_ファミリーマート_有価証券報告書

これも、決算短信と同様に、調べたい企業のホームページにいちいち飛ぶのが面倒くさいと思います。これには、法定の検索システムがあります。

EDINET

使い勝手に対する評判は必ずしも高くないのですが、その昔は紙だけで、しかも有料で購入していました。それから比べれば、ものすごい進歩です。ダウンロードも、PDF形式やXBRL形式などが使えます。

(5)アニュアルレポート

「「年次報告書」とも呼ばれ、企業が年度末にディスクロージャー(情報公開)という観点から、世界の株主や投資家、金融機関などの関係先に配布する、経営内容についての総合的な情報を掲載した冊子をいいます。これは、当初、日本では、グローバル企業が主に海外の株主や投資家などに向けて英文(英語版)で作成していましたが、今日では日本語版も作成されるようになっています。」
(出展:アニュアルレポートとは|金融経済用語集 – iFinance

これは任意の資料で、企業体から積極的にIR活動として作成・開示されてきました。その位置づけから、個別企業によって体裁や項目が不統一なので、横並び比較は難しいのですが、かなりのテキスト情報量となり、その企業のあらましを知る上では、最も内容が濃いものだと考えています。

ファミリーマートのアニュアルレポート

20160605_ファミリーマート_アニュアルレポート

(6)事業報告書(株主総会招集通知に同封)

会社法に基づき、定時株主総会の招集の通知に際し、株主へ監査を経た事業報告として提供しなければならない法定資料です。計算書類が「貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの」として、いわゆる財務情報を取扱うのに対し、事業報告書は会社の事業の状況(非財務情報)を取扱うものです。監査役設置会社の場合、監査役の監査を受けなければならないのですが、会計監査人の監査は不要となっています。
 厳密には、財務数字は計算書類でということなのですが、今は印刷物として一緒になっていることが多いです。

根拠条文
会社法 第435条乃至第438条
会社法施行規則 第118条乃至第127条

筆者の使い方としては、
① アニュアルレポートや決算説明資料の要約版
② 特に、株主政策(配当や株主分布、個人的には株主優待など)を知る
というあたりでしょうか。

ファミリーマートの事業報告書

20160605_ファミリーマート_事業報告書

 

■ 最後に財務数値を含むこともあるけど財務数値の理解に必要な情報源とは

(7)中期経営計画

「中長期の視点で企業の理解を深めるには、中期経営計画が有効だ。事業戦略や業績、株主還元の目標が明示されている。第一三共は3月、21年3月期までの5カ年計画を発表。がん治療薬などを中心に連結営業利益を3割近く伸ばす。総還元性向(純利益に占める配当、自社株買いの比率)は100%以上を維持する。
 大和ハウス工業は、過去最高となる不動産投資7000億円を含め、3年間で9000億円を投資する。東ソーは約30年ぶりに中計を打ち出し、3年間でM&A(合併・買収)に300億円を投じる。業種や規模は違っても、数値目標は投資家との「公約」だ。」

そもそも中計の法的位置づけは明確に規定がなく、あくまで任意文書に過ぎません。さらに、その企業の成長ステージと勝負する市場によっては、3年が中期なのか、5年が適切なのか、誰も上から目線で決めることはできません。

筆者が中計資料を見る時のポイントは次の3つ。
① 将来の事業モデルをどう展開しようとしているのか
② 手元資金(場合によっては新規調達資金)の使途は何か
③ 適切なKPIの選定と実現可能な目標設定をしているか

これはよく、コンサルティングの場面でもクライアントから質問されるのですが、中計の初年度の財務目標値と、単年度予算とはどう違うのか(どう違わせるべきなのか)?

ここで詳しく解説すると、小職の商売のネタばらしになるので、ざっくりとだけ申し上げると、中計は、3~5年スパンの先行投資の回収計算、単年度予算は、SCM(サプライチェーン)やPSI(Production – Sales – Inventory)に関するオペレーショナルな活動計画と切り分けています。計画策定時期のタイムギャップだけが、両者の数字の違いではありません。そして、両者を一致させる方が管理は楽だけど、そもそもの起源が異なる数字を無理矢理一致させて、社内の計数管理プロセスを混乱させるならば、両者は別のものとして扱った方がいい。これが筆者による四半世紀以上の管理会計経験からの見解です。

それから、中計の数字がコミットメント(公約)かどうかという問題。これは、日産・ルノーのゴーン氏が日本に最初に持ち込んで普及させたコンセプトになるのですが、これには筆者はNOの立場です。その理由は、商売ネタなので、ココでは割愛。(^^;)

ノー・サービスだと読者にも悪いので、関連過去投稿を下記に紹介しておきます。

⇒「中計、目標から公約へ 変わる位置づけ、株価も反応 企業統治指針の導入契機
⇒「(決算トーク)ナブテスコ 中計の数字目標やめようか - いやいや、御社は中長期の投資収益性の事後評価が大切です!

昨今の、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードに伴う過剰防衛と誤用が目に余ります。(^^;)

(8)CSR報告書

「企業が、環境や社会問題などに対して企業は倫理的な責任を果たすべきであるとするCSR(企業の社会的責任)の考え方に基づいて行う、社会的な取り組みをまとめた報告書のこと。持続可能性報告書とも呼ばれる。環境、労働、安全衛生、社会貢献などに関する情報や、事業活動に伴う環境負荷などを幅広く公開する。近年、企業によるCSRへの取り組みが盛んになるにつれ、企業価値の向上などの視点から注目され、CSR報告書を発行する企業が増えている。」
(出典:「CSR報告書」とは – ビジネス – 緑のgoo

ここには、マテリアルフロー会計や、環境会計など、ちゃんと財務数字も記載があります。また、儲けるための事業戦略以上に、社会に存在価値を認めてもらえるための企業戦略を読み解くのに大変重宝します。

最近では、財務情報、企業戦略情報を含めた「統合報告書」を作成するのがブームになっています。

<参考>
日経ビジネス ONLINE|世界350社が発行「統合報告書」って何?
絶対に読んでおきたい、日本の統合報告書15事例(2015)

(→ファミリーマートも15例に入っています)

各企業が発行するCSRレポート、環境報告書、統合報告書、サステナビリティレポートなどを企業名や業種、キーワード等で検索し、閲覧がしたい場合は、下記サイトをどうぞ!

【CSR図書館.net】CSRレポート、環境報告書、統合報告書の検索・閲覧サイト

もはや、どうやって財務データを入手するか、その方法に関する情報価値は無くなりました。それゆえ、筆者の手作業領域における財務データ収集ツールを惜しげもなくここに開陳できるのです。問題は、その先の入手した財務情報からどういう分析結果を導くか。さらに、その分析結果からどういう打ち手(施策)を考えつくことができるか。それが筆者のお仕事の中心なんですね。もしご興味があれば、問い合わせ欄からメールで気楽にお尋ねください。(^^;)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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財務分析データの収集方法 (事例)ファミリーマートのディスクロージャー情報を使ってhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/03/9313ed6460f7d58b8e62d9b27fdfc19d-e1428166718340.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/03/9313ed6460f7d58b8e62d9b27fdfc19d-150x150.jpg小林 友昭財務分析(入門編)中期経営計画,有価証券報告書,財務分析,スチュワードシップ・コード,IR,決算短信,開示資料,ディスクロージャー,ファミリーマート,月次統計,決算説明会資料,アニュアルレポート,事業報告書,CSR報告書,EDINET,TDnet,コミットメント,ーポレートガバナンス・コード,統合報告書■ 個人投資家に限らず、企業財務値を分析するためのデータ収集方法とは どちらかと言えば個人投資家向けの記事でしたが、それは翻ってみれば、企業財務担当者やIR担当者の仕事ぶりの裏から評価するものでもあります。今回は、個人投資家がお目当ての投資対象検討企業の財務情報をどう入手して、自身で分析できる形で手中に収められるかまでを、記事中にも取り上げられているファミリーマートを例に説明していきたいと思います。セブンを選ばせて頂きましたのは、小売・外食系の企業ならば、月次統計を開示している典型例として相応しいと考えたからです。 2016/6/4付 |日本経済新聞|朝刊 投資機会、開示資料で把握 足元の業績、月次も参考に 「6月は3月期企業の株主総会シーズン。決算が出そろい、個人投資家でも上場企業から直接、株式投資に役立つ情報を得るチャンスが増える。決算内容や経営戦略について、理解を深める手立てを探った。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 上記の新聞記事では、企業財務数値の入手方法、裏返すと企業が外部に開示している財務情報を次のように分類しています。 (下記は、同記事添付の開示される会社資料一覧を転載) この整理表では、次の5つを代表的なディスクローズ資料と位置づけています。 (1)月次統計 (2)決算短信 (3)決算説明会資料 (4)有価証券報告書 (5)中期経営計画 その他、上記の添付表には、 ① 経営陣らによる説明会、工場見学 ② ネットを活用した情報発信 ③ 株主優待、総会を利用 も記載されています。 本稿では、財務分析を主目的として、ディスクローズ資料にどんなものがあるのか、その特徴をまずは大雑把に把握することを目的に、次のような整理で簡単な解説をつけていきます。 (1)月次統計 (2)決算短信 (3)決算説明会資料 (4)有価証券報告書 (5)アニュアルレポート (6)事業報告書(株主総会招集通知に同封) (7)中期経営計画 (8)CSR報告書   ■ 開示が強制か任意かは使う人には関係ない。でも位置づけは大事かもしれない (1)月次統計 「公約の実現に向け企業は、どのように日々稼ごうとしているのか。大まかな戦略を知った上で、足元の業績動向を知りたいときは、毎月発表される月次資料が参考になる。小売りや運輸など、内需関連で積極的に開示する企業が多い。  ファミリーマートは毎月10日前後に、既存店の1日当たり売上高や客単価の増減率、出店・閉店数などを開示している。ANAホールディングス、日本航空は全路線の提供座席数と搭乗率を公表。訪日外国人客(インバウンド)の動向や業績の先読み材料になる。」 3年中計の達成度を知るには1年本決算数値、1年決算の進捗率を知るには四半期決算数値、そして、四半期決算数値の予測をするためには、日次や月次の営業活動指標の分析が必要です。月次統計は、その提出が規制産業においては法定のものと、所属する業界団体の統計のための任意のものと、その個別企業の積極的な情報開示誌姿勢によるものの3つに大別されます。 自動車の場合は、毎月、日本経済新聞に、国内販売、国内生産、輸出、海外生産の4つの数字が発表されているのですが、あれは業界(JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会)が取りまとめているものです。 小売・サービスの場合は、客数(客単価)、売上(日販)、店舗数(出店数や既存店売上高)の分析数値を月次で任意開示する例が多くあります。 ● ファミリーマートの月次営業実績報告 (2)決算短信 「東京証券取引所が定めた統一書式で、企業の貸借対照表と損益計算書が最も早く開示される。  日本個人投資家協会の木村喜由理事は「真っ先に確認すべきポイントは(1)売上高(2)営業利益率(3)配当性向(4)中期ビジョンだ」と話す。(4)を除くと、決算短信の1枚目に掲載されている。」 決算短信(けっさんたんしん)は、株式を証券取引所に上場している企業が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報です。個別企業が盛って内容を濃く追記している部分もありますが、基本的には形式が決まっているので、競合企業との横並び比較にも役立ちます。あくまで証券取引所の自主規制に基づく開示で、 ・通期決算短信 決算期末後45日以内に開示されることが適当とされ、30日以内の開示がより望ましいとされている ・四半期決算短信 金融商品取引法に基づく四半期報告書の提出日よりもある程度前に開示することが適当とされ、目安としては決算期末と同等以上でかつ、30日以内が望ましいとされている ということで、連結損益計算書、連結貸借対照表など、ほとんど有価証券報告書と同等の開示内容で且つ、速報性があるので大変重宝します。ただし、要注意なのが、会計監査人(監査法人)による会計監査を経て開示されたものではないという点。過去に、ソフトバンクなどが会計監査による記載の大幅修正で、有価証券報告書との乖離が財務分析上、決して無視できない大きさになった例もありました。 ● ファミリーマートの決算短信 いちいち、対象企業のホームページで探すのは鬱陶しい。関連企業の決算短信を手軽に次々と検索したい、そういうニーズに対しては、次のリンクをご紹介します。 ● TDnet 適時開示情報閲覧サービス ● 野村證券 | 決算短信 使い勝手は、人それぞれですが、筆者は、野村證券の方を多用しています。 (3)決算説明会資料 「決算短信は統一書式のため各企業を比較しやすい半面、掲載されているデータは直近2年分だけ。数字が並ぶ書式には味気なさも漂う。そこで企業は個人向けにカラー刷りの決算説明会資料に工夫を凝らす。決算発表直後の説明会はアナリスト向けが中心だが、配布資料や動画は企業のホームページで入手できる。」 通常は、決算短信を東証に投げ込むタイミングと同時に、決算発表説明会をプレスやアナリスト向けに行います。その際に使われるプレゼン資料は、基礎数字は決算短信と同様ですが、対計画比の未達理由分析、今期業績予想や事業戦略の目玉など、良くも悪くも盛りだくさんな内容で提供されています。 ● ファミリーマートの決算説明資料 このブログでも、見せるチャートとして、ご紹介する頻度が一番高いように思います。   ■ ここからは重厚な報告資料が目白押し (4)有価証券報告書 「アナリストは有価証券報告書を重視する。企業は決算後3カ月以内に金融庁に提出しなければならない。3月期企業は6月30日が期限だ。短信より内容が細かく企業集団の全容や経営陣の履歴、社員の平均給料、年金債務まで載っている。 なかでも今年は株主の分布状況に注目が集まる。年明け以降の株安でアベノミクス相場が転機を迎え、外国人などが日本株の持ち高を大きく変えている可能性があるからだ。例えば、西武ホールディングスでは昨年以降、大株主の米投資ファンド・サーベラスが保有株を売却した。「物言う株主」の存在は株主総会で論点になりやすい。」 これは法定文書になり、 提出根拠法令:金融商品取引法 第24条 提出様式及び内容の根拠:企業内容等の開示に関する内閣府令 に基づいており、各事業年度終了後、3か月以内の金融庁への提出が義務づけられています。開示内容が財務諸表だけでなく、事業内容や役員、株式政策といったテキスト情報は元より、設備投資、従業員、受注・生産高、配当、借入金明細、売掛金明細、年金関連情報、税効果会計明細など、おそらく財務分析するのに一番の充実ぶりだと考えています。 ● ファミリーマートの有価証券報告書 これも、決算短信と同様に、調べたい企業のホームページにいちいち飛ぶのが面倒くさいと思います。これには、法定の検索システムがあります。 ● EDINET 使い勝手に対する評判は必ずしも高くないのですが、その昔は紙だけで、しかも有料で購入していました。それから比べれば、ものすごい進歩です。ダウンロードも、PDF形式やXBRL形式などが使えます。 (5)アニュアルレポート 「「年次報告書」とも呼ばれ、企業が年度末にディスクロージャー(情報公開)という観点から、世界の株主や投資家、金融機関などの関係先に配布する、経営内容についての総合的な情報を掲載した冊子をいいます。これは、当初、日本では、グローバル企業が主に海外の株主や投資家などに向けて英文(英語版)で作成していましたが、今日では日本語版も作成されるようになっています。」 (出展:アニュアルレポートとは|金融経済用語集 – iFinance) これは任意の資料で、企業体から積極的にIR活動として作成・開示されてきました。その位置づけから、個別企業によって体裁や項目が不統一なので、横並び比較は難しいのですが、かなりのテキスト情報量となり、その企業のあらましを知る上では、最も内容が濃いものだと考えています。 ● ファミリーマートのアニュアルレポート (6)事業報告書(株主総会招集通知に同封) 会社法に基づき、定時株主総会の招集の通知に際し、株主へ監査を経た事業報告として提供しなければならない法定資料です。計算書類が「貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの」として、いわゆる財務情報を取扱うのに対し、事業報告書は会社の事業の状況(非財務情報)を取扱うものです。監査役設置会社の場合、監査役の監査を受けなければならないのですが、会計監査人の監査は不要となっています。  厳密には、財務数字は計算書類でということなのですが、今は印刷物として一緒になっていることが多いです。 根拠条文 会社法 第435条乃至第438条 会社法施行規則 第118条乃至第127条 筆者の使い方としては、 ...現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します