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■ 「創作性」や「有形物」の制約無しでデータやプログラムをどうやって権利保護するか?

経営管理会計トピック

本稿は、日本経済新聞に掲載された記事から、AIやIoT時代到来を前提に、いわゆる知的財産権(著作権、特許権など)をどう考えるべきか、つらつらと思いをつづったものです。筆者は基本的に、クリエイティブ・コモンズへの賛同者ではありますが、従来の著作権法などの枠組みでは、AIやIoTが取り扱うデータ自体の権利保護や、そもそもプログラムの一種であるAIの法的建付けはどうなっているのか、興味津々であります。

(参考)
⇒「AI、IoT時代の知的財産権(前編) - 深層学習やIoTで得た情報の権利は誰のもの? 日本経済新聞より

ここにきて、経産省・特許庁が飛び道具を持ち出して、AI、IoT関連データの保護に対して迅速な対応を見せています

2016/9/26付 |日本経済新聞|朝刊 IoTデータ、保護強化へ「営業秘密」に 経産省・特許庁、AI盗用 訴訟起こしやすく

「モノとインターネットがつながるIoT技術などで使われるビッグデータについて、経済産業省と特許庁は「営業秘密」として保護を強化する。ビッグデータを分析する人工知能(AI)の技術についても、盗まれて悪用された際に使用差し止め訴訟を起こしやすくする。これまで曖昧だったデータや分析技術の法的な位置づけを明確にして、関連ビジネスを進めやすくする。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

当局が10月に次世代の知的財産制度に関する検討会を開き、AIプログラムや、IoTやAIで取り扱うデータの保護について検討するそうです。まずその議論のベースとして、IoTやAIがどのように位置づけられているかというと、

・IoTでは、何十兆個とも言われている膨大な数のセンサーやカメラを用いて、産業機械や自動車などからデータや画像を大量に収集する
・AIがそれらのデータの分析を行う

現行の日本法では、このようにして得られたデータや分析技術そのものは、数字の羅列に過ぎないので、

① 「創作性」が求められる著作物としては認められにくい
② 仕組みや機能を詳しく書き込む特許としては保護を受けにくい
③ 「所有権」の対象は、民法では有形物に限定されている

ため、IoTで集められたデータやAIプログラムそのものをどう守るかが課題となります。そこで、経産省と特許庁は、データやAIが企業の「営業秘密」であることを明確にすることで、知的財産権の保護対象に位置づける方策で攻めるようです。

(下表は、本記事添付の「経産省・特許庁はデータやAIを「営業秘密」で守る」を引用)

20160926_経産省・特許庁はデータやAIを「営業秘密」で守る_日本経済新聞朝刊

ただし、営業秘密として守られるには「世に知られていない」ことが必要条件となります。TポイントやSuica等で集められた消費行動情報など、企業間でデータを共有する横の連携が増加すればこの条件を満たさず営業秘密として守ることも困難になると思われます。

そこで、経産省・特許庁は、データ共有がなされたケースでも権利保護がきちんとなされるように、

新聞記事によりますと、
「データを共有する際に交わした契約を破り、勝手にデータを使ったり開示したりする行為を不競法に違反する「不正競争行為」に位置づける方向で検討する」
「現在、不正競争行為は、有名なブランド名を勝手に使う行為や、商品の形を模倣する行為などで、これらに新たな行為を追加することになる。追加するためには不競法の改正も必要になる。」

という飛び道具で対処する基本方針を固めました。

 

■ AIプログラムを世界はどうやって権利保護しているのか?

同記事によりますと、
「AIを巡っては2015年11月に米グーグルが画像や音声の認識などに使うマシンラーニング(機械学習)のソフトを無償で公開した。こうした機械学習を用い、大量のデータを読み込んで賢くなったAIの「学習済みモデル」が今後はIT(情報技術)や製造業など幅広い分野で中核的な技術となる。
 経産省は検討会での議論を経て、AIの学習済みモデルの保護を強化する方針だ。具体的には不競法上の「指定技術」に加えることを検討する。指定を受けた技術は、不正に取得されて悪用された場合に、被害を受けた企業が使用差し止め訴訟を起こしやすくなる。」

(参考)
グーグル、画像・音声認識分野のAIをクラウドで公開|WIRED

「クラウド部門への注力を進めるグーグルは、「TensorFlow」のオープンソース化に引き続き、『Google フォト』の画像認識技術やAndroidフォンの音声認識支援技術などを支えている機械学習技術を公開する。」

更に最近の報道では、クラウドサービスにAIによるデータ解析サービスの強化を盛り込んだものに再編することも発表されました。

2016/9/30付 |日本経済新聞|夕刊 グーグル、クラウド再編 企業向け、新ブランドを設立 AIでデータ解析強化

「米グーグルは29日、企業向けクラウド事業を再編すると発表した。IT(情報技術)インフラからアプリまですべての関連サービスを「グーグルクラウド」という新ブランドに統合する。人工知能(AI)を活用したデータ解析サービスも拡充する。クラウド市場で先行する米アマゾン・ドット・コムや米マイクロソフトを追撃する。」

(下記は、同記事添付の、この新戦略を発表するグリーン上級副社長の様子を撮った写真を引用)

20160930_新戦略を発表するグリーン上級副社長(29日、サンフランシスコ)_日本経済新聞夕刊

一方はオープン化で、もう一方は不正競争防止法による権利保護強化。テクノロジーとビジネスモデルの競争戦略上、どっちが有利に転ぶのでしょうかね。

 

■ IoTでやり取りされるデータの流通市場が生まれる!?

同記事は、
「経産省と特許庁は検討会の開催と並行して、大手企業約1000社を対象に、企業内でのデータ保護の方法や他社とデータを共有する際の契約方法についても実態を調査。企業の取引実態に合ったルール見直しを進める考えだ。」

という文言で締められており、これからデータ取引の形態・契約形式を調査して、実態に即した云々、と言っているのですが、参考になる民間企業の動きはどうなっているのでしょうか。

2016/10/1付 |日本経済新聞|朝刊 オムロン、IoTデータ取引へ研究会

「オムロンは、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」で集まるデータの取引に向けた研究会を発足する。来年春までに通信大手など5~6社と立ち上げ、データの取引所設立を目指す。工場設備や家電などの膨大なデータを買えれば企業の研究開発などに活用できる。オムロンはデータ収集に使うセンサーの大手で、取引所設立でIoTの普及に弾みを付ける。
 オムロンが計画する「センシングデータ流通市場(仮称)」は、企業などがIoTで得たデータを市場が決めた価格で取引する。研究会で取引所創設に向けた課題を洗い出して参加者を募る。」

下記は、オムロンが、自由民主党IT戦略特命委員会にて「IoTの世界におけるセンシングデータ流通市場の重要性」(2016年3月24日)として公表した資料に基づきます。

(1)米国GEの取り組み事例の紹介

GEは、自社のIoTプラットフォーム(インダストリアル・インターネットというコンセプトが具体化されたもののひとつ)にて、得られた知見・ノウハウ・データそのものを他社に販売したり、そうしたプラットフォームの使用料を徴収したりすることでマネタイズするビジネスモデルの構築を考えています。そこでは、いかに多くのサービスがGEが用意するIoTプラットフォームに乗っかるかが勝負となります。

20161002_欧米企業は、自社ビジネスを起点に巨大P/Fを構築中

 

(2)第五期科学技術基本計画で、日本もP/F構築に着手

下記にあるように、日本も11分野におけるデータの流通と実際にやり取りをするプラットフォーム(P/F)構築構想に着手しました。

20161002_日本も、第五期科学技術基本計画で、P/F構築に着手

ここで重要なのが、想定されているIoTサービスプラットフォーム構築対象となる上記11分野の横のデータ連携。必要なユーザが、必要な時に、必要なセンシングデータを取り出せる環境作りです。それは、テクノロジーであったり、法整備であったり、そもそものデータ交換・流通の仕組みであります。

20161002_システム間連携の肝は、個別P/Fに閉じたデータの流通

 

(3)センシングデータ流通市場(SDTM:Sensing Data Trading Market)

データを必要としているユーザと、データを提供してもよいと考えているデータ保有者をマッチングさせ、必要なセンシングデータの流通を可能にするデータ交換市場を立ち上げようとする試みになります。

20161002_センシングデータ流通市場(SDTM)

詳細なマッチング方式は下図の通り。オムロンもここはしっかりと特許を取った「Senseek」でビジネスモデルを構築しようとしています。ここは、「プラットフォーマー」になることが勝利の方程式とみなされて随分と時間が経っていますが、そうした試みに日本企業が取り組んでいる事例の1つ。この投稿の前編でも言及しましたが、こうした「モノづくり」+「おもてなしサービス」の融合こそ、日本企業の得意とするところです。

20161002_センシングデータの取引実行を制御する「Senseek」

最後に、冒頭の新聞記事の紹介で触れました「営業秘密」について、記事より引用させて頂きますと、

「商品の競争力につながる独自の製造方法・素材や、販売方法のようなノウハウなどで、外部に知られず秘密にされているもの。不正競争防止法によって定義されていて、営業秘密として認められるためには

① 秘密として管理されている(秘密管理性)
② 利用価値がある(有用性)
③ 世に知られていない(非公知性)

の3つの条件を同時に満たしている必要がある。
 米コカ・コーラが特許化せず、秘中の秘としているコーラのレシピなどが代表例だ。
 発明内容を世に広く知らせることで技術利用料を得る「特許」と並んで、企業の知的財産戦略の両輪と位置づけられている。」

GEがやろうとしていることは、
① P/F提供にあたっての課金ビジネス
② P/Fでやり取りされているデータの売り買い
③ P/F運営で取得・蓄積したノウハウの売り買い
の3つになります。

「営業秘密」として、不正競争防止法で制御できるのは、秘匿されたノウハウやデータ、AIプログラムとなります。いったん市場流通したノウハウやデータは、一般公開されてしまうので、このスキームのままでは、権利保護は難しいように思えます。

複製や上書き修正が容易な、模倣可能性が高いデジタル知財権は、それ専用の法律を策定する方がいいと思うのですが。時代の変遷に伴い、権利保護する対象の形態や特性は変わり得るものです。従来の有体物かつ所有権が前提の権利保護の形式にこだわっていては、AI・IoT時代の知財権の有効活用で海外に遅れてしまうのではと思うのですがね~。(^^;)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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AI、IoT時代の知的財産権(後編)ー 深層学習やIoTで得た情報を営業秘密で守る道があった! 日本経済新聞よりhttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーAI,GE,IOT,SDTM,Senseek,TensorFlow,オムロン,クリエイティブ・コモンズ,センシングデータ流通市場,ビッグデータ,不正競争防止法,営業秘密,知的財産,著作権■ 「創作性」や「有形物」の制約無しでデータやプログラムをどうやって権利保護するか? 本稿は、日本経済新聞に掲載された記事から、AIやIoT時代到来を前提に、いわゆる知的財産権(著作権、特許権など)をどう考えるべきか、つらつらと思いをつづったものです。筆者は基本的に、クリエイティブ・コモンズへの賛同者ではありますが、従来の著作権法などの枠組みでは、AIやIoTが取り扱うデータ自体の権利保護や、そもそもプログラムの一種であるAIの法的建付けはどうなっているのか、興味津々であります。 (参考) ⇒「AI、IoT時代の知的財産権(前編) - 深層学習やIoTで得た情報の権利は誰のもの? 日本経済新聞より」 ここにきて、経産省・特許庁が飛び道具を持ち出して、AI、IoT関連データの保護に対して迅速な対応を見せています。 2016/9/26付 |日本経済新聞|朝刊 IoTデータ、保護強化へ「営業秘密」に 経産省・特許庁、AI盗用 訴訟起こしやすく 「モノとインターネットがつながるIoT技術などで使われるビッグデータについて、経済産業省と特許庁は「営業秘密」として保護を強化する。ビッグデータを分析する人工知能(AI)の技術についても、盗まれて悪用された際に使用差し止め訴訟を起こしやすくする。これまで曖昧だったデータや分析技術の法的な位置づけを明確にして、関連ビジネスを進めやすくする。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます 当局が10月に次世代の知的財産制度に関する検討会を開き、AIプログラムや、IoTやAIで取り扱うデータの保護について検討するそうです。まずその議論のベースとして、IoTやAIがどのように位置づけられているかというと、 ・IoTでは、何十兆個とも言われている膨大な数のセンサーやカメラを用いて、産業機械や自動車などからデータや画像を大量に収集する ・AIがそれらのデータの分析を行う 現行の日本法では、このようにして得られたデータや分析技術そのものは、数字の羅列に過ぎないので、 ① 「創作性」が求められる著作物としては認められにくい ② 仕組みや機能を詳しく書き込む特許としては保護を受けにくい ③ 「所有権」の対象は、民法では有形物に限定されている ため、IoTで集められたデータやAIプログラムそのものをどう守るかが課題となります。そこで、経産省と特許庁は、データやAIが企業の「営業秘密」であることを明確にすることで、知的財産権の保護対象に位置づける方策で攻めるようです。 (下表は、本記事添付の「経産省・特許庁はデータやAIを「営業秘密」で守る」を引用) ただし、営業秘密として守られるには「世に知られていない」ことが必要条件となります。TポイントやSuica等で集められた消費行動情報など、企業間でデータを共有する横の連携が増加すればこの条件を満たさず営業秘密として守ることも困難になると思われます。 そこで、経産省・特許庁は、データ共有がなされたケースでも権利保護がきちんとなされるように、 新聞記事によりますと、 「データを共有する際に交わした契約を破り、勝手にデータを使ったり開示したりする行為を不競法に違反する「不正競争行為」に位置づける方向で検討する」 「現在、不正競争行為は、有名なブランド名を勝手に使う行為や、商品の形を模倣する行為などで、これらに新たな行為を追加することになる。追加するためには不競法の改正も必要になる。」 という飛び道具で対処する基本方針を固めました。   ■ AIプログラムを世界はどうやって権利保護しているのか? 同記事によりますと、 「AIを巡っては2015年11月に米グーグルが画像や音声の認識などに使うマシンラーニング(機械学習)のソフトを無償で公開した。こうした機械学習を用い、大量のデータを読み込んで賢くなったAIの「学習済みモデル」が今後はIT(情報技術)や製造業など幅広い分野で中核的な技術となる。  経産省は検討会での議論を経て、AIの学習済みモデルの保護を強化する方針だ。具体的には不競法上の「指定技術」に加えることを検討する。指定を受けた技術は、不正に取得されて悪用された場合に、被害を受けた企業が使用差し止め訴訟を起こしやすくなる。」 (参考) ● グーグル、画像・音声認識分野のAIをクラウドで公開|WIRED 「クラウド部門への注力を進めるグーグルは、「TensorFlow」のオープンソース化に引き続き、『Google フォト』の画像認識技術やAndroidフォンの音声認識支援技術などを支えている機械学習技術を公開する。」 更に最近の報道では、クラウドサービスにAIによるデータ解析サービスの強化を盛り込んだものに再編することも発表されました。 2016/9/30付 |日本経済新聞|夕刊 グーグル、クラウド再編 企業向け、新ブランドを設立 AIでデータ解析強化 「米グーグルは29日、企業向けクラウド事業を再編すると発表した。IT(情報技術)インフラからアプリまですべての関連サービスを「グーグルクラウド」という新ブランドに統合する。人工知能(AI)を活用したデータ解析サービスも拡充する。クラウド市場で先行する米アマゾン・ドット・コムや米マイクロソフトを追撃する。」 (下記は、同記事添付の、この新戦略を発表するグリーン上級副社長の様子を撮った写真を引用) 一方はオープン化で、もう一方は不正競争防止法による権利保護強化。テクノロジーとビジネスモデルの競争戦略上、どっちが有利に転ぶのでしょうかね。   ■ IoTでやり取りされるデータの流通市場が生まれる!? 同記事は、 「経産省と特許庁は検討会の開催と並行して、大手企業約1000社を対象に、企業内でのデータ保護の方法や他社とデータを共有する際の契約方法についても実態を調査。企業の取引実態に合ったルール見直しを進める考えだ。」 という文言で締められており、これからデータ取引の形態・契約形式を調査して、実態に即した云々、と言っているのですが、参考になる民間企業の動きはどうなっているのでしょうか。 2016/10/1付 |日本経済新聞|朝刊 オムロン、IoTデータ取引へ研究会 「オムロンは、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」で集まるデータの取引に向けた研究会を発足する。来年春までに通信大手など5~6社と立ち上げ、データの取引所設立を目指す。工場設備や家電などの膨大なデータを買えれば企業の研究開発などに活用できる。オムロンはデータ収集に使うセンサーの大手で、取引所設立でIoTの普及に弾みを付ける。  オムロンが計画する「センシングデータ流通市場(仮称)」は、企業などがIoTで得たデータを市場が決めた価格で取引する。研究会で取引所創設に向けた課題を洗い出して参加者を募る。」 下記は、オムロンが、自由民主党IT戦略特命委員会にて「IoTの世界におけるセンシングデータ流通市場の重要性」(2016年3月24日)として公表した資料に基づきます。 (1)米国GEの取り組み事例の紹介 GEは、自社のIoTプラットフォーム(インダストリアル・インターネットというコンセプトが具体化されたもののひとつ)にて、得られた知見・ノウハウ・データそのものを他社に販売したり、そうしたプラットフォームの使用料を徴収したりすることでマネタイズするビジネスモデルの構築を考えています。そこでは、いかに多くのサービスがGEが用意するIoTプラットフォームに乗っかるかが勝負となります。   (2)第五期科学技術基本計画で、日本もP/F構築に着手 下記にあるように、日本も11分野におけるデータの流通と実際にやり取りをするプラットフォーム(P/F)構築構想に着手しました。 ここで重要なのが、想定されているIoTサービスプラットフォーム構築対象となる上記11分野の横のデータ連携。必要なユーザが、必要な時に、必要なセンシングデータを取り出せる環境作りです。それは、テクノロジーであったり、法整備であったり、そもそものデータ交換・流通の仕組みであります。   (3)センシングデータ流通市場(SDTM:Sensing Data Trading Market) データを必要としているユーザと、データを提供してもよいと考えているデータ保有者をマッチングさせ、必要なセンシングデータの流通を可能にするデータ交換市場を立ち上げようとする試みになります。 詳細なマッチング方式は下図の通り。オムロンもここはしっかりと特許を取った「Senseek」でビジネスモデルを構築しようとしています。ここは、「プラットフォーマー」になることが勝利の方程式とみなされて随分と時間が経っていますが、そうした試みに日本企業が取り組んでいる事例の1つ。この投稿の前編でも言及しましたが、こうした「モノづくり」+「おもてなしサービス」の融合こそ、日本企業の得意とするところです。 最後に、冒頭の新聞記事の紹介で触れました「営業秘密」について、記事より引用させて頂きますと、 「商品の競争力につながる独自の製造方法・素材や、販売方法のようなノウハウなどで、外部に知られず秘密にされているもの。不正競争防止法によって定義されていて、営業秘密として認められるためには ① 秘密として管理されている(秘密管理性) ② 利用価値がある(有用性) ③ 世に知られていない(非公知性) の3つの条件を同時に満たしている必要がある。  米コカ・コーラが特許化せず、秘中の秘としているコーラのレシピなどが代表例だ。  発明内容を世に広く知らせることで技術利用料を得る「特許」と並んで、企業の知的財産戦略の両輪と位置づけられている。」 GEがやろうとしていることは、 ① P/F提供にあたっての課金ビジネス ② P/Fでやり取りされているデータの売り買い ③ P/F運営で取得・蓄積したノウハウの売り買い の3つになります。 「営業秘密」として、不正競争防止法で制御できるのは、秘匿されたノウハウやデータ、AIプログラムとなります。いったん市場流通したノウハウやデータは、一般公開されてしまうので、このスキームのままでは、権利保護は難しいように思えます。 複製や上書き修正が容易な、模倣可能性が高いデジタル知財権は、それ専用の法律を策定する方がいいと思うのですが。時代の変遷に伴い、権利保護する対象の形態や特性は変わり得るものです。従来の有体物かつ所有権が前提の権利保護の形式にこだわっていては、AI・IoT時代の知財権の有効活用で海外に遅れてしまうのではと思うのですがね~。(^^;) (注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します