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会計リテラシーとは(2)複式簿記で表現される数字だけを見て管理会計やっていると言えるのか?

管理会計(基礎)
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■ 会計数字を見て、どこまで遡行することができるか?

会計数字と聞いて、どんなもののイメージが頭に思い浮かびますか? 例えば、「売上高」が代表例のひとつでしょうか? 会計上の売上高は、お客様に財/サービスを提供するというビジネス上の取引を行い、いろんな収益認識基準と収益測定基準に基づいて、その取引から、いつのタイミングで、いくらの売上高を計上するかが決まります。煎じ詰めれば、会計基準以降だけを見て、会計リテラシーが、管理会計が、と言っていては所期の管理目的を達成することはできないと断言します。

(1)ビジネス上の取引
      ↓
(2)会計基準による選別
      ↓
(3)会計取引として計上

逆に、財務諸表に計上されている「売上高」は、何らかの会計基準を適用して作成された数字です。結果からどうしてその売上高になるのか要因分析する際、第一に、どういう会計基準にしたがってその売上高が計上されたのかを、明らかにします。次に、その元となるビジネス上の取引(顧客にモノを販売する等)の実態、いつ、誰に、いくらで、どういう方法で(実物を輸送して、帳簿上だけ、前受金を月別で取り崩して等)、ということを明らかにしていきます。

つまり、「会計リテラシー」とは、財務諸表・決算書に落ちてくる数字がどういう会計ルール(会計基準)でそういう数字になったのか、その数字の元となる取引の正体がなにか、を理解し、逆残でその会計数字になった、その成り立ちを時間軸で、かつ要因別に説明できることなのです。

ちなみに、「認識」と「測定」について補足説明。
「認識」は、いつの会計取引とするか、「When」を決めるやり方、
「測定」は、いくらの金額の会計取引とするか、「How much」を決めるやり方
を定めたものなのです。

(参考)
⇒「企業会計の基本的構造を理解する(1) 会計取引の計上に必要な「認識」と「測定」について

 

■ 管理会計として、会計数字の成り立ちのどこまでを見通すことができるか?

制度会計は、ビジネス上の取引を「会計基準」というフィルターで会計取引に純化して、その集合体を財務諸表・決算書として、皆が分かりやすい形で公開することに主眼を置きます。説明を先取りしますが、管理会計より、制度会計のほうが、「会計基準」による会計取引の抽出に責任が重大なので、ここに特化した担当者も多いですし、会計監査におけるチェックの核心部分のひとつとなっています。

管理会計は、当然、制度会計が担保する「会計基準」も横目で見ながら、一般的にはもう少し源流により近い所まで遡行していきます。結果としての会計仕訳がいくらになったかより、どうしてその会計仕訳の元となるビジネス取引が形成されたかの要因分析とその対策を考えるのが管理会計の目的だからです。

制度会計はより会計基準を厳格に取り扱い、会計期間ごと、企業ごとの比較可能性の担保に心を砕きます。管理会計は、ビジネス取引と会計取引の結びつきの理解に心を砕きます。どちらが先かとか上だとかという話ではないのです。

管理会計(基礎編)会計リテラシーの本質 なぜ、だからを数字で考える!

管理会計という切り口で会社の数字を色々と斟酌していくと、必ず源流のビジネス取引を見に行く必要があります。会計数字の視点から、どうしてそういう結果が導かれたかを考え、ビジネス状況から会計業績にどうはねるのかを同時に考えるのです。「会計リテラシー」を突き詰めれば、突き詰めるほど、一般的な会計領域からどんどん離れたところのビジネスロジックと計数管理の妙を経験することに自然となるのです。

マーケティング→R&D→商品企画→商品設計→PSI→CRM→会計実績

会計数字を追っかければ追っかけるほど、マーケティングやR&Dのことを理解しなくてはならないのです。このジレンマを共感してもらえるかどうか本当に不安なのですが。。。

筆者の実体験からすれば、これまで出会った尊敬すべき管理会計屋の人たちは、押しなべて、マーケティングやテクノロジーのことに造詣が深い人ばかりでした。

【結論】
管理会計視点から「会計リテラシー」を高めようと挑むのならば、マーケティングやテクノロジーを数字で捉える感覚の鋭敏な人になる必要がある。こう思う次第であります。(^^)

(連載)
⇒「会計リテラシーとは(1)数字を見て素直に疑問が浮かび上がってくるか?
⇒「会計リテラシーとは(2)複式簿記で表現される数字だけを見て管理会計やっていると言えるのか?

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