■ その言い方、残念ですがあなた自身の評判を落としています!
今回は、「コミュニケーション編」として、ビジネスマンとしての意思伝達のスキルについてお話したいと思います。
繰り返します。引用もありますが、これはあくまで読書感想文なので、本当に書いてあることを確認したい人は、実際に本書を手に取ることをお勧めします。簡単に短時間で読めますよ!
21.人の話を聞くのが苦手
ビジネスにおけるコミュニケーションを出世キャリアから見た時のポイントは、スムーズ、話のうまさ、効率というものではありません。それは、「コミュニケーションする相手やそれを見ている周りの人が、あなたに対してどんな印象を持つか」です。
「話し上手は聞き上手」という言葉があります。出世キャリアなら、コミュニケーションすることで、相手やまわりから、「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせることが肝要です。我勝ちに「伝える」のではなく、「聞く」態度こそ、一緒に仕事をしたいと思わせる印象につながりやすいものです。
「耐えて聞く」というのは、組織秩序を守ることにもなります。上司がしゃべって、部下が聞く、圧倒的に上から下への言葉を投げかける時間が多いはずです。コミュニケーションのポイントはどう伝えるかではなくて、どう耳を傾けるか、です。
そうしたアピールとして、メモを取ることが大変重要です。相手に対して、「あなたの言うことをちゃんと聞いていますよ」という暗黙のメッセージになりますし、その上、聞いたことを漏らさす記述していれば、後から思い起こしたり、分からないことを調べたりする手段ともなります。
(コンサル同業のお話。超有名大学出身で頭も大変キレるAさん。クライアントとミーティングをしてもメモを一切取らず。でも会話の中身は頭に入っているし、最適な解決策も提案してきます。それでも、クライアントからリプレース(プロジェクトの途中でメンバー交代させること)を要求されてしまいました。クライアントからは、真剣に自分の話を聞いてくれていないように見えるAさんに不信感を持ってしまったとのこと。くわばらくわばら。)
22.自分の意見を主張してディベートする
筆者も大学時代、ディベートサークルを創設し、他人と意見を戦わせ、勝利する快感を覚えた口です。学生時代はそういう自己満足でも良かったのですが、社会人になると。。。
人間は、自分の意見が通ると気持ちが良く、通らないと気分が悪いものです。そこで。交渉で自分の意見を通そうとします。この交渉、ほとんど会話で行われることから、相手を屈服させ、自分の意見を通させる、そうした弁論術を駆使して、我を通すことになります。
ここで、雄弁に相手を論破した自分を想像してみてください。はたから見て、そんな自分はどのように見えますか? 筆者ならば、そんな人と一緒に仕事をしたくないし、そんな人の部下でいることに耐えられません。
いえいえ、自分の意見を通すことがいけないと言っているわけではありません。
表面的な、討論・議論上の理屈だけで勝った、負けたは本当の勝者・敗者を決めるものではありません、といいたいのです。
気持ちよく相手の意見を自分と同調させることができる、そのためのテクニックならどれだけ駆使しても、誰も傷つくことなく、勝者も敗者も生まれません。そして結果は、みんなが意見をひとつに合わせて、同じ目標に向かって進むことができるようになります。
「君と話すと早い」とは、しゃべるスピードが速いわけでも、いつも正論を吐いてすぐさま相手を打ちのめす、ことを意味していません。「相手の意見を忖度(そんたく)して、相手に寄り添い、相手の思うように結論を導く」ことを意味しています。誰が言いだしっぺかなんてどうでもいいじゃありませんか。要はあなたが考えていることが相手も「最もだ」を感じてくれて、結果として自分の思い通りに事が運べばいいわけです。
23.自らのプレゼンテーションに酔う
おそらく、多くの人は、自分の意見を大勢の前で発表し、相手に話している、相手が黙ってあなたの声を聴いている、その状態自体に陶酔し、爽快感を得て満足しているかもしれません。
しかし、ビジネスシーンではそれだけではいけません。いや、それこそ絶対だめです。
プレゼンの目的は、自分の意見を発表することではありません。
① 関係者と情報を共有すること
② 上位者(上司やお客様)に意思決定(承認)をもらうこと
③ 協業者とブレインストーミングをしてよりいいアイデアを出すこと
ビジネスでのプレゼンの主体は自分ではなく、いつも相手(聴衆)にあります。自分の意見を通すのではありません。聞き手の意見や承諾を引き出すのです。情報の共有ですら、相手が何を知りたいと思っているのか、聞き手の興味関心事にヒットしないプレゼンは失敗なのです。
24.空気が読めない
元々、私生活では「KY」な筆者ですが、さすがにビジネスシーンではその本性を押さえています。この本では、会議の場での「KY」を次の4つにまとめています。全く同感です。
(1)段取りのKY
ワイワイガヤガヤ、意見を出し合って、さあ、これから意見の集約、決を採ろうとした時に、「そういえば、●●って■■なんじゃないの?」と話を振り出しに戻す人がいます。
(2)無理解のKY
人の意見に対して、トンチンカンな意見で否定をし始める人がいます。大抵は、その種の発言する人は発話のタイミングで分かります。誰かが何かについての発言が終わった瞬間に、内容も聞かず、理解しようともせず、間髪入れず自分の意見を滔々(とうとう)と話し始めていますから。
(3)テーマのKY
議論の主題とはずれている発言を繰り返す人がいます。「来期どのように進めていこうか」と計画系の話をしているのに、「今期は●●がダメだった」と過去の反省をずっと続けている人がこれにあたります。
(4)ベクトルのKY
議論も煮詰まって、ほぼ全員が「左」と思っているのに、どうしても「右」と言い張る人がいます。
(このベクトルのKYについては、一概にそれだけで悪いとは言えません。筆者が事業会社に在籍していたころの会議はほとんどこれでした。筆者と他の出席者の見えている地平線、問題意識が最初からずれているのです。それでは、いくら意見集約しても、常に自分が少数意見となります。これは、ベクトルを自分の思う方向にどうやって持っていくか、例えば、自分でファシリテーション(司会役みたいなもの)を買って出るとか、事前の説明資料を丹念に準備するとか、誰がキーマンで事前に根回ししておくべきか、等というアクションをとるだけで、このKYに陥ることは未然に防ぐことができます。これに気付いた頃にはもう会社は辞めていましたが、、、(^^;))
25.口では話せるのに文書が書けない
ここでは、しゃべりがうまいのか、文章力があるのか、そういうことではなく、「言行不一致」のことを説明したいと思います。最近は、若手コンサルタントが作った資料、それも筆者が作成を指示したものをレビューする機会が多いのですが、残念なケースがあまりに多すぎて閉口することが多々あります。
まず、「資料」を読んでもさっぱり何が言いたいか初見で分からないのです。そこで、同じ資料をプロジェクターに投影して、相手に説明させます。そうすると、資料に書いてあることと違うこと、または資料を読んだだけでは理解できない説明が飛び出します。これを筆者はプレゼン資料の「言行不一致」と呼んでいます。
このテーマだけで一冊の本が書けそうなのですが、ポイントをひとつだけ上げるとすると、「資料は文章構成、レイアウト、配色、すべてがその作成者の脳ミソの写し鏡である」ということ。資料の作成者(プレゼンテーター)が、主題についてどう考えているか、前提知識はどれだけあるか、それを誰向けにどう伝えれば十分と思っているか、すべてが透けて見えるのです。自分が作成した資料を他人に見せることは、裸で街中を歩き回るのと同じくらい恥ずかしいものがさらけ出されると考えておくべきです。
口頭では、勢いとジェスチャーと熱意でごまかせても、資料は残念ながら、その人の脳ミソがすべて複写されています。自分が資料を作成する際、自分じゃない脳ミソの持ち主が読んでも分かる資料にするにはどうすればよいか、それしか筆者は考えていませんが。。。
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