■ こだわり繁盛店、御用達 影で支える“ニクい”企業
客からの注文は、NetにFAXに留守番電話、どんなチャネルにも対応する。そして、業界最高水準のクリーンルームで精肉を加工。その加工の特注仕様がスゴイ! 豚バラ肉の加工だけを取ってみても、「端の脂だけの部分はいれない」「30g脂少なめ」「厚さ3ミリ、2ミリ、1.5ミリ」。串打ちは串の種類にまで個別対応している。下味付け、チャーシュー作り、手がかかる下準備も手掛ける。取扱い肉1000種類以上。首都圏の飲食店1万7000軒に肉を配達している。
その配達時間は早朝から。店のカギを預かり、自分たちで開錠して店の冷蔵庫に肉をしまう。「お客が出勤してすぐに仕込みに入れるようにしています」
(番組公式ホームページより)
200gの鶏肉から配送。なんと注文1000円以上から配送料は無料にしている。お得意様なら、ささみ5本、480円でも無料配送! 配送車208台で東京、神奈川、千葉、埼玉、1都3県をカバーしている。
■ 個人飲食店を応援!急成長の食材ビジネス!
小さな町の食堂。そこの特製ハンバーグをプレコフーズと一緒に開発した。使うひき肉の種類から配合まで試行錯誤しながら。1994年、プレコフーズ設立。顧客50軒から1万7000軒に。95%以上が“個人店”。一番少ないお客は月に1万円も発注してこない店もある。小さな小さなお店の集合。設立当初は社長自ら営業に飛び回った。「10軒飛び込み営業すれば3軒はお客様にしていました」
小さな個人店を支えることで、プレコフーズは急成長し、今や年商118億円。食品卸業界では考えられない急成長ぶり。
MCが訪ねる。
「大手との取引の方が効率的なのでは?」
「小さな飲食店は「価格より品質」。何らかの差別化を図らないと大規模チェーン店と戦えない。大規模チェーン店は(取引で)“単価”しか言ってこないが、(小さな飲食店は)品質や加工方法などを重視しているお客が結構いる」
MCがさらに続ける。
「大手と組むよりも小口の顧客相手に心を込めた商いを続けたい、これはまさしくじんとくる言葉だけど、難しいんじゃないですか?」
「普通やらない金額ですよね、(月に)1万円とか2万円だと。ですので、本当は500円の注文でも配送するが、分かりやすく「1000円から納品」と言っている」
MCから。
「本当は、ささみ3本から無料配送なら赤字のハズ?」
「大口配送だと“点”になる。うちの場合はトラックを1つの場所に停めたら、そこで5,6軒納品する。その効率性を考えなければ「1000円から納品」はできない。その“面”を構築するのがこれまでやってきた仕事です」
新規顧客開拓のやり方。既に顧客が密集している地域、例えば新橋など。その近辺で顧客をさらに増やし、配送密度を上げようという作戦。営業の殺し文句はもちろん「配送料は1000円以上取ってもらえれば無料で、小ロットでいけます」
「“面”を攻めることによって配送のために動く量が格段に減る。10メートル歩くよりも、車を停めて2,3軒両隣に配送した方が間違いなく効率もいい。軒数を増やしていくことを常に目指している」
■ 小さな飲食店を大事にする“原点”はどこにあるのか?
「僕の育ちにあるのかもしれません。僕が社長になったのが約20年前。その前は町の鶏肉屋から一般の肉屋になっていました」。両親が切り盛りしていた家族経営の鶏肉屋。その店は戸越銀座商店街にあった。転機があったのは、近所に小さなスーパーができたこと。スーパーができた途端に人の流れが変わってしまって、1日12~13万円売れていたのに、1万8千円しか売れなくなった。そこで、それまで細々とやっていた飲食店への営業として、飛び込み営業を始めた。
地道な営業を続けていると、こんな声が。「豚肉こんな風に切って持ってきてくれたらおたくから取ってもいいんだけど」「ささみ3切れでも届けてくれるなら持ってきなよ」個人店の店主が口にしたのは大手の卸では絶対に聞いてもらえない細かい要望だった。
「町場の小さな飲食店はその店ならではのメニューがあるし、その飲食店には飲食店の事情がある」その手間のかかる要望に一件一件対応し、取引先を増やしていった。その裏には店先に立ち続けた母親、シズ子のこんな教えがあったからと言う。
「母が教えてくれたことは、「商いは“飽きない”だよ」「商売を飽きちゃいかんよ」と。「たったささみ1本100円、それを売るために5分、10分と世間話しながら売っていく。小さな積み重ねかもしれないけど、その積み重ねをしなきゃいけない」と」
- 「商売とはどんな小さな取引の相手でも“飽きない”でコツコツと続けること
その精神はプレコフーズに連綿と引き継がれている。配送センターの担当者が得意先の顔見知りの店長にその店にふさわしい商品のセールスも行っている。顧客のことを知り尽くしたプレコの配達で、得先の店長いわく、「何か面白い商品があったら持ってくるように言っている。まめに持ってきてくれる。そういう時にこっちから欲しいものがあれば「こういうのある?」と聞いたりする」。それはいわば御用聞きのような存在。
顧客との人間関係も重視するプレコでは配達スタッフは全員が正社員として採用されている。当然仕事に対する責任感も強くなる。
■ ルートセールスマン、町を走る!
「“配送マン”ではなくて“ルートセールスマン”でやってまして、本当にお役様のケアから、やりがいが本当にある。“おすすめ商品”を買ってもらうのが一番うれしいかもしれない」とルートセールスマンのうちの一人の弁。
MCが尋ねる。
「“配達”ではなく、“ルートセールス”というコンセプトをどうやって考えついたんですか?」
「昔は配送マンと呼んでいた。ここ5年くらいで、“ルートセールスマン”と呼び方を変えた。“ルートセールスマン”は1ルートに60~120軒のお客を持っている。これはただの配送だと配送して終わり。お客様の要望に応えるためには、よりコミュニケーションをとって、そういうコミュニケーションがあるからこそ、お客様も離れないし売り上げもより上がる」
MCがさらに尋ねる。
「“昔の商店街”がプレコのベースのように思えるが?」
「出身が町の鶏肉屋、一商店ですから。そこから20年経ってこうなっていますが、基本精神はそこにある。お客様との一つ一つのコミュニケーションなくして信頼関係は生まれない。だからカギもお預かりできるし」
MCより。
「商売とは小さな積み重ねである、というのが刷り込まれているんですかね?」
「家業だから1階がお店で2階に住んでいる。そんな環境でずっと育ってきた。父母が小売りをしているのをずっと見ている。そういう商売の有り様、大切さを見てきたので、例えば飲食店がどんなに小さくても月1万円からでも、そういうお客を一つ一つ大事にしてきた結果なんですね」
■ 野菜に、魚まで! ギョッと驚く新展開!
農家と組んでオリジナルブランド肉を開発。「総州古白鶏」。餌に広葉樹の樹液を配合している。ヘルシーで歯ごたえの良さが自慢の肉質。脂肪と臭みが少ない秘密は餌にある。独自に配合した天然飼料を与えることで肉質がアルカリ化するからだそうだ。
「安くいい鶏を飲食店に納品できる。飲食店が個客を囲い込んでいける、そういう手伝いをしている」
自社で解体まで行い、できるだけ新鮮な状態で店に配送。そういうブランド肉は、その他に、
「匠の大山鶏」
「三元豚白王」
「美桜鶏」
と3種類ある。
「自社解体で店に届くまでの時間が短いのが一番のプレコの強み」「普通のお肉屋さんにはできない」
4年前に、大田市場の卸業者を買収。野菜を売買できる権利を取得。野菜の配送にも手を出した。既に2000軒の顧客を持つまでに成長。順調に取扱いエリアを拡大している。
また、築地市場、世界屈指の魚市場にもプレコの看板がかかっていた。プレコは2014年に築地市場の仲卸「嘉徳」を買収。魚を買い付ける権利も手にした。強力な配送網を持つプレコフーズ傘下となり、老舗企業にも劇的な変化があったという。
「築地は本来、「売ってやるぞ」目線。今買わなかったら売ってやらない。全くそういうものは無くなりました。お客様のニーズになるべくお応えする、そして皆さんにいい魚を届けようと」
魚も肉同様にお客の要望に応じて様々な形に加工していた。例えば、鯛を切り身にして真空パックにしてほしいいう注文にも対応。そして新たに結成された鮮魚配送チームが運ぶ。プレコフーズグループの年商はいまや128億円(2014年度)になっている。
MCが尋ねる。
「なぜ鮮魚も取り扱うことに?」
「食肉のお客様が1万7000軒ある。ここに野菜も鮮魚もニーズがあることは分かっていた。“生鮮3品”を鮮度よく安全な商品を届ける食品卸がない。築地には“築地のルール”があって、築地の商習慣がある。大田市場には大田市場の、野菜には野菜のルールがある。そして加工方法も違えば取り扱い方も違う。この3つすべて納品できる体制は結構難しい。そのためには築地の仲卸を買収するしかなかったし、大田もM&Aから入っていった」
MCが続けて尋ねる。
「生鮮3品で年商はどこまで伸びる?」
「見込みで、600~700億円のマーケットは絶対存在するだろうと。東京の飲食店の30%をうちの客にしたい。首都圏では顧客を3万軒に、というのが今の目標」
「一番好きな言葉は「意志あるところに道は開ける」。1つ好きなことを決めて、その道でコツコツやることが大事。社員に言うのは、「1日1センチの努力を続けなさい。一年間で365センチの台に乗っている巨人になる。その1日1センチの努力が大切です」
プレコグループは飲食店の経営にも乗り出している。その真の目的とは?
「飲食店の大変さやノウハウ、そういったことを蓄積しながらそれをお客様にフィードバックしていくというのが目的」
究極は小さな飲食店にいかに貢献できるか。その信念に揺らぎはない。
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