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眠れる“資源”を宝に変える!新ビジネスSP インフォマート社長・村上勝照 ビースタイル社長・三原邦彦 2015年12月3日 TX カンブリア宮殿

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■ 中小飲食店に美味しさ革命 取扱高1兆円の黒子企業!

コンサルタントのつぶやき

中小飲食店と地方の名産品の生産者をマッチングするインターネットサイト「インフォマート」。中小飲食店の経営者を、通常なら巡り会えないような名産品の生産者と引き合わせ、新たなビジネスを生み、今、外食産業に革命を起こしている。インフォマートは、レストランや居酒屋など、食材を買いたい飲食店と、売り手である全国の生産者や食品メーカー、食品卸をネットでつなぎ、様々な食品を取引できる会員制サイト。

ある居酒屋が旬の食材を提案してください、とネットに書き込むと、全国から1日に33件の書き込み(売り込み)がある。とある飲食店の経営者、「パソコン1台あれば、商品を見つけるのもインターネットでできるので助かる」。そんなインフォマートの存在は、食材の売り手にとっても革命的だという。魚沼産の豚肉生産者は、以前なら地元のみで販売していたところ、銀座の有名店にも豚肉を販売できるようになったのだ。

このインフォマートの商談システム会員数は全国で既に9000社。食品業界の商談会で聞いてみると、地方の中小企業にとってもインフォマートは革命的だという。

外食産業に革命を起こし、急成長するインフォマートは、現在年商、約50億円、社員285人。社員を前に、村上勝照社長は、2020年に770億円の年商を目標にし、ライバルはGoogleだという。

20151203_村上勝照・三原邦彦_カンブリア宮殿

番組公式ホームページより

ところが、村上氏の仕事現場を訪ねてみると、ネットを使い倒す敏腕経営者かと思いきや、キーボード操作は一本指打法。なんでも、起業した時はパソコンすら持っていなかったという。

「パソコンは触ったことなかったし、ワープロも触ったことが無かった。だから、派遣の人にパソコンのスイッチの入れ方を教えてもらった。」

いろんな意味でも無謀ともいえる村上。実は異色の経歴の持ち主だ。1961年山口県生まれの村上は、宇部商業時代に甲子園ベスト8の経験を持つ元高校球児。脱サラして、様々な会社を立ち上げたがうまくいかない。そして村上はいつしかここにこう決める。

「最初は「会社を作って儲けたい」と考えていたが、いろいろ考える中で、“世の中に役に立つような事業”でなければダメなんじゃないかとか、自分は専門分野がないので、世の中の役に立って、できれば誰もしていない事業を」

そのヒントを得たのはこんなやり取りがきっかけ。物産展で地方の食品を売り込んでいたある知人から、「いろんな食材を東京に売り込みたいが、出張費もバカにならないし、やりたくてもやれないんだよね」。その後出会った百貨店の食品担当者にその話をしてみた。すると、「地方の特産品は人気があるんで我々も売りたいんですが、いい商品をうまく探し出せなくて、、、」

「これは売る方も困っているし、買う方も困っていると感じて、これを整理してお互いをつなぐことができると、「世の中に喜ばれる仕事になる」「人のためになる」のではないかと」

それは1990年代後半。1996年:Yahoo! JAPANがサービス開始、1997年:楽天市場が開設した直後のインターネット黎明期、パソコンを触ったこともなかった村上だが、その将来性をいち早く察知し、一枚の紙に思いついたビジネスモデルを書きとめた。それは、困っている売り手と買い手をつなぐ企業間に特化したマッチングサイト。

「本当にいっぱい企業が集まれば、絶対にいけるという単純な発想だった」

そして、1998年、インフォマートを設立した。村上はまだ誰も走らない道を走り始めた。それから17年、インフォマートは東証マザーズから東証1部へ市場変更を果たした。s外食産業が喜ぶ様々な差サービスを作り続け、今やその取扱高は1兆円に迫る。

村上社長に村上龍氏が問いかける。
「コロンブスの卵みたいなもので、そういうマッチングビジネスがあるといいなということを、“気づいた人”は他にもいたのでは?」

「そうですね、「売り手と買い手を結び付けたい」という思いは考えていく中であったが、何で結びつけるのかが重要だと思って、その当時、自分がキーワードにしていたのが「誰もやっていない」だったので、いろいろ調べてみるとインターネットだけが「誰もやっていない」というところにたどり着いた。インターネットは今後伸びていく、“通信の手段”ということは分かっていた。」

村上龍氏がさらに、
「ご自身ではパソコンすら持っていなかったのに、インターネットには可能性があるとどうやってお分かりになったんですか?」

「当時、いろいろ新聞を見ていると、キーワードは「インターネット」という記事が毎日出てきていた。日経流通、日経産業、日経新聞と経済3紙を購読していた。」

インターネットに精通していなかった村上社長がその可能性に気付いたのは、新聞の切り抜きからだった。

「何が流行して、何が会社として大きくなるのか、どんな事業がいいのか、全く分からなかったので、とりあえず自分の興味があるものをスクラップして傾向を見てみようと。どんな会社が伸びているのかを毎晩スクラップして蓄積していた。」

村上龍氏が聞く。
「生産者も地方の中小企業だったり生産者だったりして、買う方もものすごく大きなチェーン店ではなく、零細な主体が中心なのはネットの本質のような気がするんですよね。力とか情報が無い人たちが連携して。」

「そこが“インターネットならでは”だと思う。そういう事例をたくさん作れるように今後も頑張りたい。」

村上龍氏が続ける。
「しつこいですが、失礼なのですがパソコンを持っていなかった人がそこまでお分かりになったのはどうしてか疑問です」

「若い時は「お金を稼ぎたい」「いい車に乗りたい」という欲望もあったが、だんだん苦労していく間に、そういう風に考えなくなって、結局やりたいことは、「世の中に役立つ、誰もやっていない事業をやればいい」と、そういう発想になんとなく切り替わっていった。それは全部、お客のニーズから「あったほうがいいね」とか、「作ってほしい」から作り上げてきたので、自分自身がITで思いついたというより、“お客の声をITに生かしている”という方が正しいのかもしれない。」

■ 週3日パートが開発リーダー 主婦感動の急成長ビジネス!

和食店を経営する老舗醤油メーカー、岡直三郎商店(1787年創業)で醤油の新製品開発に携わっているのが相原美智子さん。江戸時代から続く木桶で仕込む伝統的な手法で醤油を作り続けていた。そんな会社で商品開発リーダーを務めているが、実は、週3日勤務のパートなのだ。その実像は一歳半になる女の子の育児に追われるママだ。出産前は大手酒造メーカーで商品開発を手掛けていた。そのスキルを活用した働き方。その時給は1900円。こういう働き方は、主婦にとっても割のいい、以前のスキルを生かせる職に就けるだけでなく、スキルの高い人材を高給で雇う余裕が無い中小企業にとっても、うれしい雇用形態なのだ。これぞ願ったり叶ったり。

主婦を戦力として使いこなす。それを可能にしたのがビースタイルという会社だ。ビースタイルは企業に対して主婦が働ける求人を開拓。それを主婦専用の求人サイトに掲載し、企業と主婦を結びつける。その求人サイトが今急拡大中の「しゅふJOB」だ。得意分野のある主婦なら時給2000円台も珍しくない。あらゆる主婦にとって魅力的な主婦向け求人が1万件以上掲載されている。

しかし、これまで、主婦向けの求人は成り立たないと、タブー視されてきた。その理由は、企業が敬遠する子育て主婦の働く条件。週2日から3日で、急に子供が熱を出したり体調を崩したりしたときにも柔軟に対応することが必要になる。働ける時間も短く、育児などで不測の事態も起きやすい。主婦は職場に組み入れにくく、派遣業界もその求人を諦めていた。しかし、ビースタイルは驚くべき手法で主婦の雇用を生み出している。

例えば、とある住宅の構造を審査する会社では、ある主婦が週2日で水曜日と金曜日の午前10時から午後4時までという勤務を実現している。このような働き方を可能にするのは、同じ仕事をパート同士がシェアして、時間が来たらバトンタッチ。この事例では、週5日フルタイムの仕事を、主婦4人でシェアしている。ビースタイルが主婦の働ける時間をジグソーパズルのように組み立てる主婦の雇用形態を提案したのだ。

こうした今までにない主婦の働き方を可能にし、主婦と企業を結びつけたのがビースタイルの三原邦彦社長。1970年、東京生まれ。1996年、大学卒業後、大手の人材派遣会社の入社し、凄腕営業マンとして活躍する人材派遣のプロだった。そんな三原が主婦と企業を結びつける手法を考え付いたのは、かつて一緒に働いていた優秀な女性が退職して結婚・出産後、週3日、スーパーでレジ打ちをしているということを知ったことがきっかけ。三原は主婦が働くことの現実を初めて知る。

「すごく優秀で、英語が流暢で秘書経験もあった人が、「そういう仕事ができない」と全然違う仕事をしていた。出産がハードルだと思う。出産をして子供を産み育てることはとても素晴らしいことだが、でもその素晴らしいこと自体が女性の“足かせ”になったり、自己表現を奪われてしまうことはとても残念。」

そして、三原は決意する。

「主婦が能力を生かし、自由に働ける仕組みをつくる」

三原は2002年、ビースタイルを設立。業界のタブーを壊すべく動き出した。条件の複雑な主婦に対して詳細に勤務可能条件をヒアリング。主婦をどうやって使うのか分からない企業をしらみつぶしに回り、主婦の働き方を提案していった。そこで活躍するのが三原が開発した企業内の仕事の内容を分析するシステム「業務分析システム コンパス」だ。これを使い、各部署ごとに曜日や時間帯ごとに業務内容を精査する。例えば、月初めだけ忙しい部署に、その時だけ主婦パートを使うことを提案する。今や主婦層を使うビースタイルの提案は大企業にまで浸透。採用企業は4000社を超え、そこで働く主婦は述べ4万人を超えた。三原の地道な努力が企業を変えたのだ。

ちょっと大げさだけど、村上氏が、
「少子高齢化の中で、労働力不足が叫ばれる中で、主婦という貴重な(人的)資源を掘り越したのは雇用革命だと思いますよ」

「どの企業も「週5日フルタイム」という“働く枠組み”を壊せなかった。なので、結局「結婚・出産」で生活スタイルが変わると「ごめんなさい」と、ライフスタイルが変わっちゃうと、うちの会社は、その生活スタイルに合う仕事のスタイルは取れないので「ごめんね」と、仕事を離れていったケースが多かった。」

起業したての頃は、お金が無いので、PCも自作して、自転車で営業回りをしていたという。

「創業時にあったのは、“時間”と“心”と“体”だけ。」

「主婦のマッチングビジネスで何が難しいかというと、お客である企業の“働く場所が無い”状態に“働く場所を作る”ところからスタートして、そこで働かしてもらい「お金を頂く」。商売としては、とてつもなく面倒なことをやっていた。」

主婦の働く場所を作り、そこに主婦を派遣する。そういう三原の努力を支えたのは手紙だった。

「一番は、大手の会社に対する営業活動がとても大変で、大手の会社の中で「味方につけて一番強い客は誰だ」と考えた時、「社長だな」と。でも大手の社長はなかなか会ってくれないので、とにかく手紙を書きまくった。「女性がこれからは優秀になる」「企業にも経済的なメリットがある」と、「様々な問題の新しい解決方法を一度聞いてください」と。これが意外に会ってくれた。大事なことは「事実を作ること」。例えば「インターネットで物を買う」。最初に始まった時は「インターネットでは物を買わない」「買ったら怖い」「何が届くか分からない」と言われていたが、今は当たり前のように買う。企業側自身の「主婦の派遣は問題ない」という事実をつくる。結果として、働く女性としても、家庭と仕事の両立で能力を発揮できることが普通になる。そういう“事実”を作り続けることで、初めてマーケットができる。」

「やはり「タブーや聖域はなし」という視点が大事。これが本質的に正しい方向性であれば自信を持ってアイデアを出す。人間は何かしら“できない理由”をいっぱい考えがちだが、“できない理由”は行動してから考えるべき。とにかく「これが正しい」というものを実行してしまう。必ずその実行してきたことが結果として出る。」

■ ビジネスで世の中を変えろ! 急成長&大感動のベンチャー

とある飲食店で抜群の人気を誇るメニューが繁盛店を支える。そうした人気メニュー開発を支えるのがインフォマートの「メニュー評価サービス」だ。どう改良すれば売れるのか専門家チームで評価し、改良を支援してくれる。

外食産業の悩みを解決する様々なサービスで急成長を遂げているインフォマート。その最大のビジネスは意外なところに。お店のバックヤードにあったのはたくさんの伝票。の運品伝票や支払いの請求書。多くの飲食店は、この膨大な伝票の処理に手を焼いてきた。日々の打ち込み業務が非常に大変。しかもその会社が何店舗も店を持っていれば、その本部はとんでもないことに。部屋は店舗から集まってきた伝票の山。実はインフォマート、この飲食店が悩んでいる膨大な伝票をどうにかすることに驚異的な方法で成功を収めている。それがこのすべての伝票のやり取りをネット上で済ませてしまう「インフォマート電子化システム」だ。今や3万社が利用し、このシステム上で取引される取扱高はなんと1兆円。

村上社長いわく、
「世の中の企業の請求書はほとんど紙だと分かったので、我々が得意な分野なので、そこになんとか食い込みたいと今頑張って動いている。」

一方、主婦専用の求人サイトを運営する三原も、4月に新会社「シフト」設立して新たな挑戦に乗り出していた。取り組んでいるのが「ホワイトアロー企業」の選定作業。ホワイトアロー企業とは、出産後も女性が働き続けられる、仕事と家庭の両立がしやすい企業のこと。三原たちは実際に候補となる企業に足を運び、女性たちが働く環境を確認。働き方に悩む女性たちのホワイトアロー企業への転職を支援しているのだ。

「10年後、20年後にライフスタイルが変わっても、働き続けられる会社を紹介したい。最終的には日本中が結婚や出産が弊害にならない、そんな社会をつくり続けていきたい。」

村上龍氏いわく、
「マッチングビジネスの雄がお二人そろったが、お二人に共通しているのは、誰もやらなかったことをやったということ。」

(三原氏)
「やはり「主婦の人材ビジネスをやる」というのは、業界でもタブーだったし、我々がうまくいかなければ、他社も「うまくいかないからやめた方が」となる。社会的意義は大いにあります。「もうやるしかない」」

(村上氏)
「“世の中の役に立つだろう”という思いでやってきた。」

(村上龍氏)
「Evernote共同創業者のフィル・リービン氏が、起業したいという正当な理由というのは1つだけ。世界を変えたいと思えるかということ。」

(三原氏)
「“何を起業するのか”が重要。起業が目的ではない。例えば、私は起業して会社を経営することで、「社会に影響を与える」ことを自己表現として選択した。これは「歌を歌う」ことと変わらない。「1万人のコンサートをする」と「4万人の雇用をつくる」は、影響を与えることではほぼ一緒。となれば、自分自身の自己表現として、起業は「誰を幸せにしたいのか」という前提があって、初めてうまくいく。」

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番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151203.html

インフォマートのホームページはこちら
https://www.infomart.co.jp/

ビースタイルのホームページはこちら
http://www.bstylegroup.co.jp/

しゅふJOBはこちら
https://www.b-stylejob.jp/




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