■ 断崖絶壁で、あがく!
ブロードウェイミュージカル「王様と私」の初演までの4ヵ月の密着取材で、俳優・渡辺謙の生き様を浮き彫りにする! そういう感じの番組でした。
ラストサムライで演じた際にはほとんど話せなかった英語も今は自由に操る。そんな渡辺謙に、「硫黄島からの手紙」の演技を見たブロードウェイきっての売れっ子演出家からミュージカル「王様と私」の主人公のオファーがきた。
「ルーキーに戻らせられたって感じ。あがいていることがすべてだと思っているから。」
(映画:王様と私の初演の)ユル・ブリンナーの演技がイメージの底にずっとあり、払しょくできずに苦しんでいる。謙は些細なしぐさにも納得はしない。自分の王様を演じられるようになるまで。
(番組ホームページより)
「俳優・渡辺謙には、若い頃から貫き通してきた流儀がある。それは“断崖絶壁であがく”がごとく精一杯仕事に向き合うことだ。渡辺は次のように語る。
『とりあえず安全なところで自分のこう安全でひっかかりやすいところにやっていくというよりかは、精一杯手を伸ばして足を伸ばして、自分の体のどこまでそういうものをひっかけてしかも上まであがっていけるかということをトライしないと、僕はいけないと思うんだよね。まあ言ってみれば崖をよじ登るみたいに。そうやってあがいているのが全てだと思っているので。』」
■ 試す、捨てる、試す、捨てる!
「とにかく試すんですよ、その可能性を試す。元より俳優とは恥をかく商売と思っているから。捨てて、塗り替えて、捨てて、塗り替えてってする。ある種の勇気を持っているやつが最後には勝っていうか」
謙の言葉には繰り返しによる強調が多い印象を持ちました。本当に自分の演技について粘っこく、しつこく考えているんだと思いました。ある種の執着がないと、どんな道でも究められないというか、そういういい意味での粘着性を感じました。
(番組ホームページより)
「渡辺が芝居をするとき、大切にしていること。それは、日々新しい何かを試し続けることだ。より「面白い芝居」とは、どんなものか。渡辺は、まず思いついたこと、その時の感情を素直に表現してみる。そして次に同じ場面を演じるときにはそれを惜しげもなく捨てて、また新しい芝居を繰り出す。そうすることで、より『面白い芝居』へと時々刻々と塗り替えていく。」
新しいもの得るために、古い自分を捨てる、過去のキャリアを捨てる。次のチャレンジにこれまでに獲得したものを惜しげもなく手放す。その繰り返しが今の渡辺謙の演技となる。言うは簡単ですが、どんな職業にも「成功体験」が糧となって仕事をするということがあります。私の現在の職業である経営コンサルタントも、「昔の事業会社での実務経験」「昔やったプロジェクトでの他社事例」を使って仕事をすることが常です。過去の自分を捨てて新しい自分を探す勇気。勇気という言葉に重みがありました。
「全部どこかで一度捨てないと。次の役には向かっていけない。キャリアを捨てないと、また一から始められない。このキャリアをまた持ってここに行ったって何の役にも立たない」
『挑み続ける勇気』
■ プロフェッショナルとしてのこだわり
自炊。自分の体が欲するものを敏感に感じて補給するのが渡辺流。もう一つは、大好きな花を目に着くところに飾ること。「やっぱり、つぼみが膨らんで、咲いて、散って、というのが時間の流れなんだよね」。活け替えるまでの一週間、生活のリズムを作ってくれる。
「舞台のため、自宅から外出して稽古場に向かって、実際に稽古をする。その一日が自分にとって既にライブなわけ。無駄なものが無いといったら変だけど、一日というものを積み重ねていくしかないんですよ」
『あがくことがすべて』
初演の2週間後。トニー賞の主演男優賞のノミネートに名があがった。
プロフェッショナルとは?
「あきらめないことだよね。とにかく何があろうが
与えられたものに関してはあきらめないこと。
その与えられた環境の中で与えられた自分の状況の中で
ベストを尽くすということ。それができるかできないか。
ということじゃないかと思いますね。」
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→再放送:5月30日(土)午前0時55分~午前1時43分(金曜深夜) 総合
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