コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(15)専門家の問題 - コンサルタントは専門家ではない、問題解決者である

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■ クライアントに入りやすいのは専門家としてだけど。。。

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページはこちら(英語)

潜在的なクライアント(依頼主)に出会って、商談を進めていけばいくほど、クライアントが抱える特定の問題を見事に解決するための●●専門家として、招聘されることは、コンサルティングサービス契約を成約させやすい入り方に違いありません。クライアントの方も、特定のお困りごとを見事に解決してくれそうな専門家が見つかって胸をなでおろしているはずです。しかし、プロジェクトが始まって少し経つと、、、思惑が外れでガッカリということも少なくはありません。

 

■ 寓話:取締役会議室の像

このことについて、ワインバーグ氏は一つの寓話を持ち出して、我々の理解を深めようとしてくれています。

元ネタは、「群盲象を評す」で有名な、数人の盲人が象の一部だけを触って感想を語り合う、というインド発祥の寓話で、ジャイナ教、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教などで教訓として使われているものであると思われます。

(本書P40-41より筆者翻案のうえ要約抜粋)

やじきた株式会社の6月の取締役会を始めようと12Fの一番大きな役員会議室を使おうと、専務取締役が入口の戸を開けようとしても、びくともしません。近くの森から一頭の象がやってきて会議室の中に入り込み、入口の戸を塞いでいるのでした。

戸の下から覗いてみた監査役は、象の脚の影を見て、「何か木が生えているようだよ。林業の専門家を呼んできた方がいい」と言いました。呼ばれてきた林業の専門家がカギ籠手を使って無理やり入り口を少しばかり開けたところ、象は横っ腹で戸に寄りかかって、戸をまた完全に閉めてしまいました。林業の専門家は、「どうも木ではないようです。巨大なクジラのようです」と言いました。

そこで、取締役会のメンツはクジラ学の教授を呼んでみてもらったところ、教授は「役員会議室を水浸しにすれば、クジラを泳いで部屋を出てこられるだろう」と言いました。専門家のアドバイスにしたがって会議室を水で一杯にしてみたところ、象は戸に空いた穴から鼻を突きだして水を全て吹き出してしまいました。その鼻を見たクジラ学の教授は、「あれはクジラではない。大きな蛇です」

今度はヘビ学の教授が呼ばれて、役員会議室の入り口をひとしきり観察し、「火のついた松明を放り込むといい。そうすればヘビは驚いて出てきます」と言いました。しかし、象は放り込まれた松明の火を即座に足で踏み消してしまいました。

取締役会の面々は、とりあえず泥水と燃えカスで汚れた会議室の入り口を清掃させようと、清掃員を呼んで掃除させました。清掃員は作業を終えて、どうしてこんなになったかを尋ねました。事情を聴いた清掃員は、ピーナッツをポケットから出して、扉の隙間から象に差出したところ、象はたいそうお腹がすいていたので、次々と差し出されるピーナツに誘き出されるように、役員会議室から出てきました。

それで事無きを得たわけですが、取締役会の面々は、清掃員にどうして像だと分かったのかを尋ねました。彼は、「いや、別に象だってわかっていたわけじゃありませんよ。ただ、森みたいでクジラみたいでヘビみたいだっていうから、そうじゃないかと思っただけです。ただのセオリーみたいなもので、役員会議室の入り口をこれ以上破壊するより、ピーナッツを試した方がいいと思っただけです」

 

■ 背の立たないところでコンサルタントはどうするか?

皆さんの会社の役員会議室にもしも象がいたとしたら、皆さんはどんな分野の専門家をお呼びになられるでしょうか?

もっともむずかしい問題というものは、きれいにレッテルを貼った箱に入ってやってきはしない。箱に入ってやってくることもあるが、そのときは間違ったレッテルがついてくる。だからこそむずかしいのだ。

ワインバーグ氏いわく、コンサルタントというものは、4回中3回は、専門外の問題を解いてくれと頼まれてしまう存在なのだそうです。つまり、非専門家であるクライアントには、コンサルタントがあたかも専門家であるように見えるというだけのことなのだと。しかし、出来の良いコンサルタントならば、どっち道、大概の問題を処理できてしまいます。なぜなら、出来の良いコンサルタントは、何らかの専門家であると同時に、問題解決者であるからです。

専門家として特殊技能により目の前の問題に対処できるわけではなく、問題解決者として、自らの専門性とは何ら関係なく、どんな分野の問題でも汎用的に解決できる方法論でもって、目の前の問題を解決するものなのだそうです。

このコメントについては、残念ながら、私自身のコンサルティングスタイルというか、独自のこだわりの点から、私は100%首肯することはできません。(^^;)

私は、グレイヘアコンサルタントを自認しており、専門外のどんな問題でも、正しい事実認識と、適切なロジカルシンキングのスキルがあれば、何でも解決します、と断言するファクトベースコンサルタント(ロジックコンサルタント)を胡散臭い目で見ているからです。

しかし、経験主義に陥り、何でも実際に現場を知っていないと、偉そうに他人に口出しすることはできない、と頑迷に言い切るつもりもありません。実体験による現場感覚を持っていた方が、類似事例の勘所を事前に知ることができ、あとは個別事例に適応すべく、応用を効かせる(スパイスを効かせる)ことができる若干の想像力があれば、問題を解くのに効率的であると申し上げているわけです。

アルキメデスがこういったとされています。

「私に支点を与えよ。さすれば地球をも動かして見せよう。」

だから、地球質量は 5.972 × 10の24乗kgで、なるべく短いテコになるよう支点から作用点までを 1m、アルキメデスが100kgの力を出せるとすると、テコの総延長は、600万光年の長さになってしまうのですが。。。(^^)

本当に、ロジックコンサルタントに600万光年(光の速さで移動して600万年かかる距離・長さという意味)のテコを用意して、地球を動かしてもらうのですか???

ほんのちょっと、経験値と想像力を持つ、グレイヘアコンサルタントに相談しませんか?(^^;)

本シリーズは、この後、コンサルタントが背の立たない深いところに立った場合、どうやって切り抜けるか、結構汎用的とされる方法論が紹介していきます。それは、グレイヘアコンサルタントが身に付ければ、頭でっかちの誰かよりも、問題解決をもっと早く、安く、上手くやれるものであると思いますがね。(^^;)

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小林 友昭
小林 友昭
現役の経営コンサルタントです。経営管理の仕組み構築や経営戦略の立案、BIシステムを中心としたIT導入まで手掛けております。
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