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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(38)そこにはないものを見る方法 - 問題に意識を向けすぎない

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■ そこにはない道具を見つけることができるか

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このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

外部リンク G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページ(英語)

コンサルタントは、あらかじめ、自分が持っている(準備している)ソリューションを上手に使いこなすか、現場現場で即興の急ごしらえのソリューションを作り上げるか、どちらかのタイプに分かれるようです。

苦情を集計する何らかの道具が見当たらないことこそ品質に問題があることの兆候だったのである。苦情を集計するというのは、高品質ソフトウェアを作り出すプロセスの一部である。もしプロセスのその部分が欠けているとしたら、自分が品質の悪いものを作りだしつつあることにきづくことは難しい。
G.W.ワインバーグ著「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」(P78)

ワインバーグ氏は、現代風にはいわゆるITコンサルタントだったので、数多くのシステムのコンサルティング業務に従事していました。彼の時代はまだアナログだったので、地図や設計図を壁に貼り出し、問題個所にピンを止めることで、問題の所在を探る手法を好んで使用していました。

参考記事 コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(29)金槌の法則 レパートリーが狭すぎると危険です!

とあるコンサルティング業務の案件でも、ワインバーグ氏はこの手法を用いて、依頼者が提供するソフトウェアの問題点の所在を探ろうと、ピン止め作業に没頭していました。その時、クライアントの一人がワインバーグ氏にこういったのです。

「どうして先生は、そんなにうちのやり方に否定的なのです。うちのプログラマたちのいいところは見たくないんですか」

■ そこにはないものから推理するマインドを忘れない

ワインバーグ氏は、この問いかけでハッと我に気づきます。

またしても私は、そこにないものに気づきそこなっていたのだ。私はあまりにも問題に目を向けすぎ、反問題、つまり存在していそうで実は存在していない問題を見落としていた。
同書(P79)

ワインバーグ氏のピン止めソリューションは確かにソフトウェアの課題発見については大いに役立つソリューションでした。しかし、あまりに偉大なソリューションであるために、その効果に目がくらみ、そのソリューション - 実際はソリューションを使っている際のワインバーグ氏の意識の問題が本質なのですが - の違う使い方、換言すると、そのソリューションに別の使い道があって、別の発見をもたらせてくれることに気が付いていなかったのでした。

それは、分析対象のソフトウェアがいかに優れているかを発見するためのツールとしても、このピン止めのソリューションは使えるのでした。

自分の誇るソリューションの効果が大きすぎれば大きすぎるほど、ちょっとした視点をずらして、物事を俯瞰的にかつ多面的に見ることを妨げてしまう傾向があることは、コンサルタントのみならず、真理を追究したい人、課題を解決したい人、全般に当てはまる注意事項といっても過言ではないと思います。

■ 他者に学ぶ、謙虚になる、応用する、はすべて同じこと

どんなコンサルタント、ビジネスパーソンでも、それなりの業績を残せば、それは自信につながり、他者からの信頼を築くことになり、自分をより磨くためのモチベーション向上にもつながります。

しかしその一方で、どんどん自分が成長すればするほど、自分が発見する前に、書籍から、伝聞から、ビジネス相手から対面で、学ぶことの方が多くなるのではないでしょうか。

新しい道具などというものはめったにないが、古い道具を使う新しい方法はある。
同書(P79)

ワインバーグ氏はこれに気づき、ピン止めの技法を、どのような問題が発生しているかを知るために使い始めましたが、やがて、どの問題がどのくらいの面倒を引き起こしているかを示すことにも気づくことになります。そして、そこからソフトウェアの問題分布図を作成し、ボールディングの逆行原理を適用することで、そのソフトウェアの課題解決策を見つけることを容易にしました。

バカもはさみも使いよう

おっと失礼しました。皆さんも、謙虚に、そして頭を柔軟に、「適用」「応用」「工夫」の気持ちを忘れずにお仕事を進めてください。^^)

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