To-Do リストで管理するか、カレンダーで管理するか
年の瀬も迫り、2019年も終わろうとしています。経営コンサルタントの仕事術として、マイブームの「To-Do リスト」の活用法についてお話しようと思います。
最近、仕事のタスク管理として、「To-Do リスト」ではなく、「カレンダー方式」をお勧めしているものを目にするようになりました。従来型の「To-Do リスト」では、
- 納期と所要時間が分かりにくい
- 残タスクから心理的ストレスを受ける(ツァイガルニク効果)
- 現在時点の進捗度が分からない
という欠点から、カレンダー方式でのタスク管理、タイムマネジメントが最近流行ってきました。もちろん、そうした指摘は合理的で、カレンダー方式によるタスク管理の効果性はその通りだと思います。
ダメ押しというか、横文字系の人が、Harverd Business Review 誌上で言うんだから間違いない、とする向きもあります。
カレンダー方式の有効性は認めつつ、世界で一番シンプルな「To-Do リスト」だってなかなか捨てたもんではないよ、というのが今回のテーマです。
世界で一番シンプルなTo-Do リストは、物理的にひとつにする
まず大事なのが、「To-Do リスト」の物理的な管理です。物理といっても、Physics のことではありません。その「To-Do リスト」は、世界に一つだけの存在にしてください、というメッセージです。つまり、私のパソコンにも、あなたのパソコンにも、同じプロジェクトやチームの「To-Do リスト」があって、継続的に同期化を図るという運用をするということのないように、という意味です。
同期化や最新化の作業には、オーバーヘッドの余計な作業工数がかかるだけでなく、何が最新で、何が適正かが分からなくなる混迷の元、諸悪の根源以外の何物でもないからです。最も簡単なのは、ホワイトボードやフリップチャートという物理的に1個しか存在しないものの上に記載するのが簡単です。それゆえ、「物理的」という言葉を用いています。
これほどICTが発達している現代、テレワークが当たり前になっているので、例えば、Google ToDo 等のアプリを活用しても構いません。共有設定にして、ひとつのTo-Do リストだけをメンテすることを心がけましょう。
下記に、簡単に手に入るツールを紹介しているページを紹介しておきます。^^)
ここで物理的に一つ、というルールは、他人とあなたの「To-Do リスト」を共有することに限りません。誰とも共有する自分自身だけのための「To-Do リスト」だとしても、一つだけというルールは適用されます。
何かおかしいことを言っていますか? 例えば、ビジネスとプライベートの「To-Do リスト」を別々に管理しているかもしれませんし、複数のプロジェクトや仕事を兼務している場合、タスクを管理する単位ごとに「To-Do リスト」を作成しているのではありませんか?
では、問います。その複数ある「To-Do リスト」に書き込まれているタスク間の優先順位や確保時間の割り当てはどうやっているのですか?
あなたの時間という共通リソースを最適に割り当てることが目的で「To-Do リスト」を作成しているのですよね。だから、割り振るべき共通リソース単位で作るからこそ、シンプルで事を済ますことができるんです。
結局、複数の「To-Do リスト」を管理している時点で、自分の頭の中に目に見えない「To-Do リスト」を作成して、脳内で優先順位付けをしているにすぎないのです。だったら、それを可視化してしまいましょう。たった一つの「To-Do リスト」に全部書き出してしまいましょう。
これこそ、仕事管理術の極意であり秘訣である、「一元管理」と「可視化」なのです。
世界で一番シンプルなTo-Do リストの構成要素は2つだけ
次に大事なのが、「To-Do リスト」に書き出す項目を何にするかです。簡単にタスク管理をしたいからこそ、「To-Do リスト」を使いたいはずです。ですから、属性 = タスクを分類・識別する要素 は、可能な限り少ないほうが簡単に管理ができます。ここは、思いきって、属性は一切考慮しないことにしましょう。
世界で一番シンプルな「To-Do リスト」には、納期も、優先度も、所要時間も、タスク種別も、起票者も、重要性ランクも、緊急性ランクも、もちろん備考欄もナシです。項番(No.)と件名の2つだけです。
どうしても、仕事とプライベートの識別子が必要ですか。AプロジェクトとBプロジェクトの区分けをしたいですか? 何のために区分が必要なんでしょう? グループ化して関連するタスクだけを抽出したいから?
種類分けのメリット・デメリットと、必要性がどこから生じるのかの原因を落ち着いて考えてみてください。
- タスク間の優先順位付けを明確にするため、 一つの「To-Do リスト」に集約する
- 一つに集約すると、項目数が多くなって一覧が難しいので、グループ化したい
- 分類には複数の視点があるので、分類方法について工夫する必要がある
ここですでに わな に嵌っています。Aプロジェクト、プライベート、Dさんからの依頼、というのは、区分の基準がそれぞれ異なります。すなわち、種類分けは複数存在します。よって、完全な種類分けというのは、そのすべての組み合わせの数だけ存在します。それらをすべて「To-Do リスト」に反映していては、シンプルで有効なタスク管理を最初からあきらめているのと同義なのです。
どうしても、見た目で種類分けをしたい場合は、「件名」にキーワードとして識別子を埋め込みます。
1 | 田中さんに来週の会議のアジェンダをメールする(チーム) |
2 | 夕飯の材料である豚肉細切れ500gを買って帰る(P) |
3 | 【購買PJ】仕入先マスタのクレンジング機能の要件定義書のドラフト作成 |
4 | 【購買PJ】総合テスト計画書の草案提出を木下さんにリマインドする(12/20) |
5 | 来期の定例会議フォーマットの改善案を作成する<業務改善PJ> |
上記の例では、(チーム)(P)【購買PJ】<業務改善PJ>という識別子を件名に埋め込んでいます。これなら見た目で識別できますし、なんだったら、テキストエディタツールでも、Excelでも、テキスト検索かければ、一発で探し当てることができます。
項番は上から順番に、最優先として対処するものとして並べていきます。この数字は、もちろんタスクを1件ずつ識別するためのコードでもありますが、その数字の大小に「優先度」という意味合いを持たせています。
では、次回、その「優先度」に着目した実際の運用方法についてみていくことにします。
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