■ 「捨てる」勇気と「自責」の念が課長には大事!
このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。
佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト
この節は、「在任中に何を成すか」についての3回シリーズの最終回になります。
1)在任中に何を成すか、自分でデッドラインを引く
2)在任中に何を成せるか、課内のことを部下に聞いて知る
3)在任中に何がなせるか、ひとつひとつのタスクに落とす
佐々木さんによると、在任中に成すべきことを決めたら、
① どういうプロセスで仕事を成功させるか具体的なイメージを持つ
② 計画性を持って仕事を進める(上手くいかない時のコンティンジェンシープランを持つ)
ことが大事だと指摘されています。
さあ、在任中にやるべきタスクを具体化したら、必ず課長がぶち当たる壁があるとも。それは、課の業務の中でプライオリティを付けなければならないということです。
新規事業までいかなくとも、何らかの「成すべきこと」を達成するには、課全体の仕事のやり方を変えなければならないはずです。
そこで、業務別にプライオリティをつけ、重要度の低い仕事はやめるか、やるとしても達成度を6割とか8割の水準で完成させるという調整が必要になります。
佐々木さんは、かの有名な「パレートの法則」を引き合いに出して、「重要な仕事の2割をやれば、全体の仕事の8割が達成できる」「2割の重要な仕事に、もてる資源を振り向ける」べきと指摘しています。
大事なことは、その課にとって、何が重要なことかを見極めること。そして、従来の仕事から、何を捨てるか(やらないか)を決断することだと言います。
ここが佐々木さん流の説明の仕方なのですが、何かを捨てられない人は、「他責」の人と一刀両断されているところです。
「会社は武器をすべて用意すべきだ」と考えている人は「他責」の人なのです。こういう人は、「武器を与えてくれない会社が悪い」「結果を出してくれない部下が悪い」という考え方をします。これでは、課長職は務まりません。
課長たるもの、「自責」の発想をしなければなりません。与えられた条件のなかで、「では、何をすべきか?」と知恵を絞って、自らの力を頼って実行していくのです。
仕事のプライオリティを付け、自信で工夫して何かを成す。そういう決断力と判断力が課長には必要ということです。でもそれって、その人の「人となり」「特質」「性格」や「心の持ち方」だけの問題なのでしょうか?
そう考えてしまうと、課長になれる性格の人しか課長になれない、ということになります。それでは、課長たる人格形成の訓練をどうするか、という問題認識になってしまいます。
私はそうは思いません。課長に昇格させようと会社が思う人材は、すでに課長職が務まりそうだと会社が認識したから。その認識はどこから来るか? それは、それまでの自身の職務経験です。会社がそう認識してくれるまでに、既に訓練されているはずなのです。私も若いころは、「どうしてあの人が課長なんだろう? 自分の方が業務に精通しているのに」とバカにしていた上司や先輩がいました。だけど、この歳になって、ある程度の職位に就いた頃から、感じ始めたものがあります。
「なんとなく、業務はこうすすめたら成功確率が高くなるという直観が働くようになった」
それは、その職務に精通している、業界知識を豊富に蓄えている、そういう一芸に秀でたもののように、簡単に目に見える能力ではありません。『直観』は、左脳で明確に言語化できないから、『直観』なのです。そして、経験から言うと、私自身の判断・決断の8割は、『直観』によるものです。
自分なりに、内在する『直観』の正体を突き止めようと、何度も試みましたが、うまく言葉にすることができません。かろうじて感じたことは、
① こうすれば上手くいくのではないかという参照できる事例を多く経験した
② こうすればうまくいくのではないかという想像力が働くようになった
ということです。
部下の気持ちを考え、お客の真意を考え、上司の方針の裏に潜む意図を汲み取る。高度な心理戦に耐えられるようになると、課長が務まるのではないかと、最近よく思うのであります。(^^)
コメント