アリストテレス(5)私は、敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。

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■ 「克己」ってそんなに難しいものですか?

I count him braver who overcomes his desires than him who conquers his enemies; for the hardest victory is over self.

私は、敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者の方を、より勇者と見る。自らに勝つことこそ、最も難しい勝利だからだ。

20170830_アリストテレス

(古代ギリシアの哲学者 / 紀元前384~紀元前322)
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自分の欲望を克服するというくだりは、「克己(こっき)」という言葉が想起されます。

「克己(こっき)」
自分に打ち勝つこと。心の中に起こる衝動・欲望を意志の力によっておさえつけること。(大辞林 第三版)

そもそもは、論語の顔淵篇にある「子曰く,克己復礼を仁となす」が語源。心の中にある私欲(エゴイズム)を克服して、天理(本来的に人に備わる道徳性)に立ち戻るとする朱子学による禁欲主義による論説が広く流布しています。禁欲主義という風に小さく捉えるなと説く荻生徂徠の学説もあり、古来から議論が盛り上がっているものの一つです。

私も、心の中にある堕落とか享楽を欲する感情を頭ごなしに「悪」とし、滅するものと断じる立場にはありません。そういう感情や情動も含めて人間です。私の専門領域である管理会計においても、動機づけ、モチベーション管理目的で、業績評価制度設計を行います。

仮に、売上高粗利率(ROS)を営業マンのKPIと定めた時、3月決算会社において、1月早々にROSが目標値をいったん上回った営業マンがそれ以降の営業活動を停止し、ずっと出先の喫茶店で暇つぶしをしている、といった類の話はよく耳にするものです。

この例は、目標設定するKPIの選択が不適切な場合、導かれる行動も誤ってしまうという事例で引かれることが多いのですが、この会社の目標管理制度の設計者の頭の中の前提には、営業マンはすべからく売上金額(受注高)最大化のために行動するのは当たり前という思い込みがあるのです。

その上で、利益率をさらに上昇させたいと考えたため、ROSをKPIとして前面に出したところ、上記のような営業マンを多数生み出すこととなったのです。人を動かすための情報会計としてのKPI設計は、動かしたい人の情欲すべてを網羅的に把握したうえで作業を進める必要があります。

つまり、業績評価制度は、人間そのものを相手にしたいわゆる「人間学」を修めていないと、小手先の管理会計知識だけでは、組織運営に活かせる、人を動かす計数管理制度はつくれないですね。

そして、「克己」という言葉に対する自己勝手解釈ですが、享楽的な部分も含めて、自身の内面を真摯に向き合い、人生の目的を達成するために、自分にご褒美を与えながら、上手く自分の感情ですらパラメータとして操作可能なようにコントロールしていきましょうというもの。決して、ダークサイドの欲望は全否定せずに、それすらも手なずけることを目的とします。

さてさて、「勇者」といえば異世界から召還されて、「魔王」を倒す英雄のことを指す言葉ではなかったですっけ?(^^;)

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小林 友昭
小林 友昭
現役の経営コンサルタントです。経営管理の仕組み構築や経営戦略の立案、BIシステムを中心としたIT導入まで手掛けております。
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