■ 知識は血肉になると知恵となる!
It is the mark of an educated mind to be able to entertain a thought without accepting it.
受け入れずして思想をたしなむことができれば、それが教育された精神の証である。
(古代ギリシアの哲学者 / 紀元前384~紀元前322)
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「知識」は下界からその人の内面世界に取り込まれます。そのままリファレンスデータとして蓄積されたり、従来から保有していた考え方(その人の脳内になる情報処理のくせ)をバージョンアップされたりする効用が認められます。「知識」というものは取込めば取り込むほど、その人の情報処理のスピードアップや効率アップ、正答率を高める効果が一般的には認められています。それゆえ、昨今のAIの解答精度を高めるために、より多くの情報(ビックデータ)が必要となり、データ保有権・アクセス権を握ったものが、次代の産業界の覇権を握るともいわれています。
こうした機械学習、深層学習の理論通り、AIがどんどん賢くなるのなら、マイクロソフトが開発した人工知能「Tay(テイ)」が、一部の悪意のある人間が、ナチス礼賛に関する情報をインプットし続けたおかげで、過激な反ユダヤ主義を吐くようになってしまったことをどのように捉えるべきでしょうか。Tayはその影響を鑑みてサービスを閉鎖しました。
● Microsoftの人工知能は、なぜ虐殺や差別を支持するようになったのか|Yahoo ニュース
知恵(ウィズダム)は、仏教用語の「智慧」から来たものと解すれば、「物事をありのままに把握し、真理を見極める認識力」というふうに捉えることができます。
「智慧」は、
智:世俗諦を知り分けるもので、世間的真理、世の中で真理だと思われていること
慧:第一義諦(真諦)を悟るものとして、心所(心のはたらき)の一つであり、事物や道理を識知・弁別・判断する精神作用のこと
下界からのインプット情報から真実をする「智」と、自分の内面にある何が正しいかを悟る「慧」。この両者の絶妙な配合の下に、その人個人特有の「知恵」が形成され、人の世で個性のある人生を送る根本となるわけです。
この二元論を是としていただければ、実は、冒頭にあるアリストテレスの言葉も理解することができます。わざわざインプット情報を受け入れるということに意識を振り向けなくても、正しい判断をすることができる。アリストテレスはこれを「教育」の賜物で磨かれた精神と表現していますし、仏教では、ずばり「慧」と表するもの。
あなたの中にはどんな「智慧」が潜んでいますか?
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