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ホテルも飲食も格安!進化する「福利厚生サービス」の秘密 ベネフィット・ワン社長・白石徳生 2015年11月12日 TX カンブリア宮殿

TV番組レビュー
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■ 割引施設は90万件! 驚きの会員制サービス

コンサルタントのつぶやき

稲刈り体験が会社の福利厚生で。従来の福利厚生といえば、保養施設に代表される会社が従業員のために行うサービスだった。この稲刈り体験に参加する人たちが勤務しているそれぞれの会社が福利厚生を代行会社に委ねている。今時は福利厚生を自前でやらず、代行で社員にサービスを提供するところが増えているのだ。その代行サービスこそ今夜の主役。名前は「ベネフィット・ステーション」。サービス内容は、之だけのジャンルで割引を受けられる。ホテルにレジャー施設、グルメに人間ドックなど。利用できる割引施設はなんと90万件。

ベネフィット・ステーションを利用している加入企業は5250社。リコーもそのひとつだ。企業が払う費用は、社員一人当たり、月380~1050円の会費を負担する。リコーは5年前に全社員1万2000人が会員になった。

(リコー給与厚生グループ 西野さん)
「社員数が多く、いろいろなニーズがあるので、それに応えてくれるサービスだと思う。」

利用できる宿泊施設は国内だけで、なんと3万4000件。その1軒、「ホテル軽井沢1130」。宿泊料金(1泊2食付)は、通常1万3300円のところ、会員価格は8800円。その他、スポーツジムに英会話スクール、映画館にレンタカーにレストラン。。。

ベネフィット・ステーションを運営するのは新宿に本社を置くベネフィット・ワン。会員数は727万人。この業界の最大手だ。企業で働く人とあらゆるサービスを結びつけたのは、ベネフィット・ワン社長、白石徳生さん。

20151112_白石徳生_カンブリア宮殿

番組公式ホームページより

「ベネフィット・ワンの安い理由は2つある。一つは卸売価格(ホールセールプライス)。たくさんの会員がいるので購買力がある。そのスケールメリットで安くできる。もう一つあるのは、「余っているサービス」を売ること。例えば「レストラン50%オフ」、「ホテルのスイートルーム60%オフ」で提供できるのは、これは実は、余っている部屋を確保したから。在庫だから。稼働率の変動が日本はすごく激しい。絶対に売れない部屋や時期がある。その時に50%オフにしている。」

(筆者注:固定設備の初期投資額や年間維持費は固定費。売れ残りがあると、この固定費を賄う収入が不足する。そこで、多少の赤字覚悟でも、稼働率を上げれば、または在庫をバーゲンセール価格で売れば、支出済みの固定費が少しでも回収できるため、サービス提供者側も採算に対してプラスになる。せっかくの管理会計ブログだから、これくらいの補足説明はしておかないとね!)

サービスを提供する側も受ける側も嬉しいシステムを作った。

「創業当初の主力商品だったのが、1000円の会費で、1泊2000~3000円のホテルに泊まれる割引サービスだった。「なんでこんなに安く泊まれるのか」「実際は予約できないんじゃないの?」なんか、インチキみたいなところから始まった。」

右肩上がりの成長を続けるベネフィット・ワン。現在時点で727万人の会員数を今年度中に900万人にすると意気込む。進化する福利厚生代行。割引サービスの舞台裏に迫る。

(村上氏)
「福利厚生を代行サービスに依頼している企業の割合はどれくらいあるのか?」

「ざっくり40%ぐらいがアウトソーシングをしていて、残りの60%ぐらいが自分たちで保養所を持ったりしている」

(小池さん)
「割引の対象となる施設は90万件ということで、分野が多岐にわたっていったのはどうしてか?」

「日本の大手企業は何でも社員に福利厚生として提供してきた。大手企業の代わりに福利厚生を提供するので、幅広くならざるを得なかった。おそらく、個人向けサービスのほとんどが福利厚生というコンセプトの中に入る。サービスを何でも扱っている会社です。主要なホテルのレストランの割引はこの1,2年で急激に増えた。最初は「うちは割引しない」というホテルが多かった。最近は、コンセプトが理解され、急激に広がっている。」

(小池さん)
「昔は、ブランドイメージを意識して、高級料亭さんとかホテルさんとか割引はちょっと、、、という感じでしたものね」

「安くしたいが、安くする言い訳が必要。その時に、福利厚生はいい言い訳になる。「しょうがない、福利厚生だったら」と。あるホテルで、「なぜ隣の客だけ安いんだ」と言われても、「福利厚生の会員だから」と言える。」

(筆者注:そうすると、ブランドイメージの毀損を免れることができる)

■ 福利厚生代行サービス 追い風は「金融危機」

今年行われた就職意識調査では、就職企業を決めた理由として、
1位:社会貢献度が高い  31%
2位:職場の雰囲気が良い  28.8%
3位:将来性がある  27.9%
4位:仕事内容が魅力的  27%
5位:福利厚生が充実している  26%
6位:大企業である  23.5%
7位:有名企業である  22.7%
8位:給与・待遇が良い  20.8%

と、給与・待遇より、福利厚生で就職先を決めたと答えた学生の方が多かった。

そこで大企業を中心に、福利厚生の充実の名の元で作ったのが保養所。白石さんはパソナに就職し、若いころから起業を夢見ていた。思いついたのが「福利厚生代行サービス」。社内ベンチャーの企画があり、応募すると見事優勝。そのご褒美がベネフィット・ワンの起業(1996年)だった。しかし、

「この会社は、最初の2年間、ものすごく苦労した。赤字の垂れ流しで、多分、パソナにいた人間は全員この会社は潰れると思っていた。あっという間に累積損失が5億円近くまで膨らんでいた。」

もうダメかと考えていた時、思わぬ風が吹く。1998年の金融危機だ。この時、都銀が経営立て直しのため、保養所を手放し始めると、他の起業も右へ倣えをした。

「銀行が自ら保養所を手放したことで、先を争うように、多くの企業が保養所を閉鎖していった。その時に、日本の企業に労働組合があって、1泊2000~3000円で提供していた保養所の代案が必要になった。当時の時代背景とドンピシャだった。」

保養所の代わりとなる福利厚生サービスを求め、ベネフィット・ワンと契約をする企業が続出。倒産の危機にあった企業が息を吹き返したのだ。その後はサービスを受けられる施設を増やし続け、今では直営の宿泊施設も全国に8つ。そのうちの一つは、かつて沖電気の健保組合が運営していた保養所だった。保養所を自前で1か所だけ運営していても、組合員に対しては、施設の数もサービスの質でも限界を感じて、運営をベネフィット・ワンに委託。健保組合としてはこれで維持費が浮く。そして、沖電気の社員も会員となることで、以前と同様に施設を利用できる。一方、ベネフィット・ワンはサービスを拡充できるといいこと尽くめなのだ。

■ インターネットが原点 「課金」でトクする理由

(村上氏)
「最初から“福利厚生代行”の起業イメージを持っていたのか?」

「実は、元々は福利厚生の会社をつくろうと思っていたわけではない。私は、大学生の時から将来は自分で起業したいと思っていた。せっかく作るんであれば、それこそ戦後のソニーやホンダみたいな世界に通用する大企業を作りたい。どうしたら大きくなるか冷静に考えると、市場規模が大きく、ガリバー企業がいない分野でないと勝てないじゃないですか、ゼロのベンチャーが。だからずっと20代派遣会社(パソナ)で営業をしながらひたすら探していた。しかし、ガリバー企業のいない大きな市場は無かった。30歳が近づき焦っていく中で、ある日突然、ガリバーのいない大きいマーケットに気付いたんですね。それがインターネット。これはなぜかというと、元来、インターネットは軍事技術で民間では使えなかった。元々のアイデアは月300円の会費を個人が払うというもの。イメージでいうとコストコですよね。会費を払えば、いろいろなサービスが卸売価格で買えるサイトを作ろうと。」

インターネットが主流になったのは90年代半ば。そして主流になっていったのは、広告料を収入源とするサイトだ。例えば、安く泊まれるホテルを紹介する旅行サイトは、掲載されるホテルからの広告料で運営。しかし、白石のインターネットビジネスは、利用者からお金を集めるというもの。いわゆる「課金型」で広告料は取らない。個人の負担でいろんなサービスを使えるようにしようと考えたのだ。

「創業以来、意識してきたこと、差別化してきたことがビジネスモデル。会費を消費者から定額で取る代わりに、手数料や広告料をもらわないというモデルを貫いてきた。なぜかというと、多分、サービスの流通・仲介で一番勝敗を決めるのは、ボリュームなどではないんですね、「機能」だと思うんですよ。「機能」はどのサービスがいいかを比較検討できる「機能」でしかないと思っているんですね。それをやろうとした場合に、「広告モデル」「手数料モデル」ではできない。たくさん広告料をもらっている店をまずいと書けない。そのため、ユーザ課金ということにものすごくこだわった。」

「ほとんどのネット企業が、なぜ課金できないかというと、普通に考えると「課金は無理」という結論に達する。それで「広告モデル」とか「手数料モデル」を選ぶ。世界のネット企業の99%が「広告モデル」か「手数料モデル」なんですね。最近ようやく課金の環境が整ったので福利厚生に行ったんですよ。福利厚生であれば、個人が属した企業から会費を集められる。個人から会費を取るよりは、企業から福利厚生費として会費を取れば、やりたいことができる。結果として、レストランからお金をもらっていない、一番フェアな状況にあります。」

(村上氏)
「ネットの世界のビジネスモデルは米国などから持ってきたものが多い中、ベネフィット・ワンは、日本初のビジネスモデルと思っているが?」

「誇りに思っている。最近、米国、欧州、アジアでも類似会社がかなり出てきている。」

■ 個人でも加入できる! 会員制割引サービス

実は、企業の福利厚生代行として始まったベネフィット・ワンのサービスは個人でも受けることができる。「とく放題」という名前で、ソフトバンクのスマートフォン利用者なら、ひと月プラス590円で加入できる、ベネフィット・ワンが運営するサービスだ。安くなる仕組みは福利厚生代行と同じだ。割引を受けられる個人サービスに加入できる入口はソフトバンクの他にもある。月々の会費を払うスポーツジムや、賃貸住宅の仲介会社など、実はその個人会員の増え方が凄まじいことに。

「今は、1日に1万人の会員が増えている。個人会員は350万人で、福利厚生が380万人。多分、今年度内には逆転する。ソフトバンク以外、約120社を経由して個人向けに販売している。スポーツクラブとか、月額の課金を元々やっているところ、大体1万円ぐらいの月額課金に500円ぐらいのオプションで売るのが主流。

(村上氏)
「ソフトバンクとかスポーツクラブとか経由で会員になる動機にはどんなものがあると思われているか?」

「会費が少額なので、元々、課金しているところが徴収しやすい。」

■ 社内ポイントでやる気 交換商品は1万以上

ベネフィット・ワンには社内ポイント制度があり、貯まったら商品と交換できる。

(社員の声)
「手が届きづらい価格だったが、ポイントだったので思い切って交換をした。」
「キャッシュでもらうと、給料と一緒になってしまう。そうなると自由に使いづらい。別枠でもらえると、思い切って使える。普段、自分のお金では買わないものでも使ってみようとなる。逆に自分の世界を広げる手助けにもなっている」

社内ポイント「ビーポ」。ボーナスとは別の報奨制度で、1ビーポ = 1円で商品と交換できる。社員のやる気を引き出そうと考えられた。

● ビーポ獲得方法
月間皆勤賞 200
他部署応援 300
英語力UP奨励 2000~1万
月間MVP 1万
資格付与 1万~12万

いろんな努力に対して付与されている。人事考課では拾えないような個人の頑張っている努力とかプロセスを非常に重要視し、そういうところを頑張ればポイントがもらえて、好きなご褒美として使えるので、社員のモチベーションアップにつながっている。現金には交換できないが、交換アイテム数は1万5000点にのぼる。

(筆者注:会員数を増やして、スケールメリットで卸売価格を引き出す効果を、自社の社員にまで広げている。さらに、現金で給与を支給するのと比べ、会社の資金繰りにもプラスになる。社員がポイントをゲットして、商品に交換するまでに時間がかかる。その間は会社のキャッシュアウトはない。商品交換後、その商品提供先への代金支払いまで、これまた現金支出を遅延させる効果あり。今回は管理会計視点の補足が多いですね。(^^;))

■ 社内ポイントでやる気 交換商品は1万以上

そこで、ベネフィット・ワンは、このポイント制度も商品化した。その1社が7月から試験的に導入した「リオグランデグリル 横浜ベイクォーター店」。慢性的な人手不足に悩んでおり、効果的な施策を探していた。

(人材育成チームリーダー:横田さん)
「このポイント制でアルバイトを募集すれば採用ができて、かつ辞めずに続ければ人も育つ。一人一人の能力も上がっていけば、離職率も下がり、募集費も減る。そういうところに持って行きたい。」

(アルバイトの渡辺さん)
「繁忙期はすごく混むからシフトに入りたくないと思ってしまう。でも、繁忙期にシフト入ると、入った分だけポイントがもらえるから、シフトに入ろうかなと気持ちになる。」

ベネフィット・ワンのポイント制度は既に200社が導入。離職率が劇的に減ってきている企業も出てきている。

「スーパーのパートやアルバイトが「1ヶ月働いたら何ポイント」というのが多い。今、パートやアルバイトの採用が大変。お金かけても採用できない。1ヶ月でも多く働いてもらった方がメリットが出る。そうするとポイント制に予算かけてきますね。」

「ポイントを「1ポイント=1円」で企業に売る。ポイントのシステムを無償で提供し、代わりに「1ポイント=1円」で買ってもらう。もし、自社でポイントプログラムをやると、億単位の開発費と運営コストがかかる。ところが、我々に発注して、一定以上のポイントを買ってもらえれば無償でシステムを提供する。Tポイントやポンタと同じように、ポイントを売っている会社なんです。企業は買ったポイントを従業員に、永続勤続や営業報奨金として渡す。」

「インターネットを使ったマッチングビジネスのチャンスは無限に広がる。これからの5年間はインターネットの第2ラウンド。約20年経っている、インターネットが出現してから。じゃあ、次の世界では何が変わるかというと、多くの物がネットを通じて「売り買いされる」時代になる。グルメ、エンターテインメント、ヘルスケア関連は、5年かかるか10年かかるか、分かりませんけど、ほぼ100%ネット経由の販売になる。この市場規模はものすごく大きい。世界中にありとあらゆるネットのサービスマッチング会社が乱立する。ネットの世界では、一番いいものしか残らない。あくまで一番にこだわっていかないと。中途半端なものはいらないですから。」

『インターネットでは一番しか生き残れない』

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番組ホームページはこちら
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20151112.html

ベネフィット・ワンのホームページはこちら
https://bs.benefit-one.co.jp/BE-ONE/

ベネフィット・ステーションはこちら
https://bs.benefit-one.co.jp/bs/pages/bs/top/top.faces


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