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フィンテックが迫る変革(1)「FinSum:フィンテック・サミット」開催! ブロックチェーンへの取り組みと仲介業者の法整備について

経営管理会計トピック テクノロジー
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■ この夏、金融庁と日本経済新聞社による「フィンテック・サミット」が開催

経営管理会計トピック

いよいよ、日本にもフィンテック(Fintech)が本格上陸ということで、当局の法整備、ITベンチャー、そして既存の金融機関こぞって、このイノベーションの波に乗ろうと必死です。日本経済新聞の掲載記事を中心に、この夏のフィンテック最新動向をまとめました。

2016/7/26付 |日本経済新聞|朝刊 フィンテックが迫る変革 メガ銀、独自の仮想通貨 海外送金を安く速く、開発進む

「金融とテクノロジーを融合させたフィンテックが急速に進展している。スタートアップ企業が多数生まれ、大手金融機関の経営のあり方にも影響を与え始めている。消費や資産運用など個人のライフスタイルも変わりそうだ。こうした状況を踏まえ、金融庁と日本経済新聞社は9月20、21日、東京・丸の内で、国際イベント「FinSum:フィンテック・サミット」を開催する。国内外の金融当局や金融機関・企業、ベンチャーキャピタルなど幅広い分野の専門家が参加し、議論する。日本やアジアのフィンテックスタートアップの成長を促進するエコシステム(生態系)の整備にもつなげる。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

2016/7/26付 |日本経済新聞|朝刊 「フィンテック・サミット」日経・金融庁、共同開催 都内で9月

「日本経済新聞社は、金融庁と共同で、フィンテック(金融とテクノロジーの融合)をテーマにしたグローバルイベント「フィンテック・サミット」を、9月20日(火)・21日(水)、東京・丸の内の丸ビルホールなどで開催します。
 国内外の金融当局幹部、金融機関、フィンテック企業創業者らを招いてシンポジウムを開くほか、新たなビジネス展開に向けたスタートアップ企業のプレゼン・コンテストや体験型の展示スペース「フィンテック・アイランド」を開設。学生が金融ビジネスのアイデアを競うイベントも開催します。詳細は公式サイトhttp://finsum.jpまで。」

(下記は同記事添付の「フィンテック・サミット」の概要を転載)

20160726_フィンテック・サミットの概要_日本経済新聞朝刊

 

■ 「フィンテック」とは何か? もう聞き飽きたかもしれませんが、まずはおさらいから。

同日の記事に、分かりやすい定義とポンチ絵がありましたのでまずこちらをご紹介します。

フィンテックとは?
・IT(情報技術)を使った新たな金融サービス。金融を表す「Finance(ファイナンス)」と技術を表す「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた言葉
・海外ではすでに、モバイル決済のスクエアなどが先行して株式上場。アフリカや東南アジアでは、銀行口座を持たない人たちに携帯電話を使った送金・決済サービスが提供されている等、既存の金融機関によらない金融サービスの担い手を生み出している
・日本でのフィンテックもスタートアップがけん引する形で始まった。その後、大手銀行などが、支援・提携の動きを加速させている

(下記は、同記事添付のフィンテックにおける主なサービス類型を転載)

20160726_フィンテックの主なサービス_日本経済新聞朝刊

8つもあるので、分かりやすくということで、個人的な分類を下記に付しておきます。

<消費者の利便性追求>
① 資産管理
② 決済
③ クラウドファンディング

→小口取引でも十分に採算が合い、パーソナルな設定が可能なため、きめ細かいユーザ個々のニーズに合わせてカスタマイズされた金融サービスを受けることが可能になります。

<BtoBの財務・金融サービスの進化>
④ 会計・経理

→同上なのですが、特記すべき特徴としては、クラウドサービスを利用する点。

<従来の金融サービスの代替>
⑤ 資産運用
⑥ 融資
⑦ 保険

→既存の金融機関、ITベンチャー、新旧入り混じってデファクトスタンダードを取りに行く激戦区。

<革新的なITの基礎技術>
⑧ セキュリティ(ブロックチェーン)

→なぜ、これが①~⑦と同列で論じられているか不思議ですが、ピアツーピアでの情報の正しさを担保する技術で、むしろ、金融に限らず、あらゆる商取引で情報の正確性を必要とする場面、公共サービスで個人情報の取り扱いにセンシティブにならざるを得ない場面で活躍が大いに見込まれる基礎技術です。

 

■ 金融機関の「フィンテック」への取り組み概況をまとめる!

フィンテックの大波がメガバンクから地銀までを問わず、全ての金融機関に押し寄せ、既存の金融ビジネスに地殻変動を起こそうとしています。

● ブロックチェーン
「メガバンクが熱い視線を送っているのが、仮想通貨ビットコインに使われる基盤技術「ブロックチェーン」だ。
三菱東京UFJ銀行は世界最大の仮想通貨取引所を運営する米コインベースと資本・業務提携した。コインベースのブロックチェーンのノウハウを使い低価格の海外送金サービスなどを構想する。独自の仮想通貨「MUFGコイン」を開発するなど新たなビジネスの可能性を探る。
みずほフィナンシャルグループもSBIホールディングスと共同で、ブロックチェーンを使って海外送金にかかる時間を大幅に短縮するシステムの開発を目指す。三井住友フィナンシャルグループも国立情報学研究所や近畿大学などと連携してブロックチェーンの共同研究を進めている。」

ブロックチェーンについては、
⇒「次の革新「ブロックチェーン」 まず金融に 新ITインフラ、バークレイズなど採用 データ改ざん困難に
⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(2)ブロックチェーンを取り上げます 日本経済新聞より

2016/8/3付 |日本経済新聞|朝刊 (経済教室)仮想通貨の可能性 特許・標準化戦略が重要に 技術革新へ人材不足課題 山崎重一郎 近畿大学教授

の各記事を参考にしてください。

2016/7/26付の記事から、
「メガバンクの背中を押しているのはフィンテックに乗り遅れることへの危機感だ。仮想通貨を使った格安で迅速な送金サービスは世界各国で広がっており、既存の銀行の領域を侵食しつつある。「顧客サービス改善につながる技術を積極的に取り込む」。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長は貪欲な姿勢を示す。」

(下記は、同記事添付の金融機関の主なフィンテックへの取り組みを転載)

20160726_金融機関の主なフィンテックへの取り組み_日本経済新聞朝刊

取り込みに躍起なのはメガバンクだけではなく、
「地銀では千葉銀行など6行が日本IBMと共同出資会社を設立、フィンテックの研究や商品開発で協力体制を築いた。長野県の八十二銀行など7行も研究会を設け」る等、上に下に大わらわ。それもこれも、金融当局の次の動きが業界を強く後押ししているからです。

「5月の銀行法改正で、フィンテック企業への出資制限が緩和されたのも追い風だ。法改正を号砲に各行の開発競争は激しさを増している。」

 

■ 金融庁のフィンテック拡大に向けた法整備の加速 -「仲介業者」を想定に!

さらに、銀行法改正のみならず、もっと利用者に寄り添った現場改善に踏み入ったところまで当局が目を配って、日本におけるフィンテック推進をブーストさせようとしています。

2016/7/27付 |日本経済新聞|朝刊 フィンテック拡大へ法整備 金融庁、新規参入促す

「金融庁はIT(情報技術)と金融を融合した「フィンテック」に、金融機関でない事業会社が参入しやすくする法整備に乗り出す。利用者と銀行の間に立つサービスを手がけるIT企業などを当局が法的に監督する枠組みをつくり、利用者が安心して使えるようにするのが狙いだ。世界的に競争が激化するフィンテックの拡大を制度面から後押しする。
28日に金融審議会(首相の諮問機関)に新たな作業部会を立ち上げて議論を始める。年内をめどに方向性を出し、早ければ来年の通常国会に銀行法や資金決済法など関連する法律の改正案を提出する。」

(下記は、同記事添付のスマホを使った資金管理サービスの概念図を転載)

20160727_スマホを使った資金管理サービス_日本経済新聞朝刊

「金融庁が今回、法的な位置づけを明確にしようとしているのは、一般利用者の「代理人」として銀行など金融機関との間に立ち、主にスマートフォン(スマホ)を使った資金管理サービスを手がける業者だ。
具体的には、家計簿アプリなどで実績を上げるベンチャー企業を想定している。」

金融庁の視野には、消費者と既存金融機関の間に、ITベンチャーが介在し、フィンテックを推進するビジネスモデルが入っている模様。

マネーフォワード(東京・港)は利用者の銀行口座の入出金やクレジットカードの履歴を暗号化して取得し、自動的に食費や光熱費などに分類して家計簿をつくるサービスを展開する。複数の金融機関に持つ口座情報を一覧できるのが特長で、すでに350万人の会員を抱えている。
他にもZaim(同・渋谷)やマネーツリー(同)といったベンチャー企業が同様のサービスを実施している。」

欧米の金融法制では、すでに、こうした「中間的業者」と呼ばれる企業が利用者の依頼を受けて銀行に送金などの指示も出せるようになっています。しかし、日本のいまの法制度はこうしたサービスを想定していないため、中間的業者を規定した法律は存在していないのが実状です。

「欧州ではすでに利用者の依頼に基づいて実際にお金を動かす業者には免許制、口座情報を提供する業者には登録制を導入している。金融庁はこうした海外の例も参考にしながら、制度設計を進める方針だ。」

おっと、つらつらと書き連ねていたら、会計サービス、保険、法律事務所による法律支援、ブロックチェーンのテクノロジー解説、仮想通貨と、まだまだ書きたいことが残ってしまいました。(^^;)

続きはWebで(当たり前じゃん、ブログなんだから!)。

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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