■ 「アフォーダンス」をモノのデザインやシステムのUIに活かす
グラスがあれば飲み物を入れるものだとわかる。イスがあれば座ればよい。ノブがあれば回せばよく、取っ手がついていれば引けばよい。
モノを見たとき、その形象や動きから行為の可能性が自然に導きだされること。モノとヒトとのあいだに存在するこの相互作用をアフォーダンスという。
かつてコンピュータのマニュアルがわかりにくかったのも同じ理由だ。各操作に、対応する機能を暗示(もしくは明示)するアフォーダンスがほとんどなかった。AltキーとCommandキーとEscキーを同時に押すと強制終了するなんて誰も想像できない。パーソナルコンピュータが、タッチパネル式のタブレット端末やスマートフォンに凌駕(りょうが)され、感覚的な操作性が優先されるようになったのも、モノとヒトのあいだにアフォーダンスが求められた自然な帰結だといえる。今や、字がまだ読めないような子どもでもスイスイと指で画面を繰っている。
今春、大学に入った学生諸君。スマホをやめる必要はないと思うけど、アフォーダンスについてギブソンとノーマンの本を読んでみよう。
(ギブソンの本)
(ノーマンの本)
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(最近の関連図書)
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「アフォーダンス(affordance)」は、ギブソン的には、本来「動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの」を意味し、「実際に動物(人間)側が、その行為が可能かどうかを認知しているか否か」とは無関係でした。
デザイン論にて、後にノーマンが、「人と物との関係性(本来の意味でのアフォーダンス)をユーザに伝達する事」「人をある行為に誘導するためのヒントを示す事」として再定義し、むしろ、実業ではこちらの解釈が主流になっています。
ノーマンは、元来のギブソン的な定義を「本来のアフォーダンス(Real affordance)」、自身の定義を「知覚されたアフォーダンス(Perceived Affordance)」と区別することを提唱しています。
まあ、あるコンセプトが独り歩きして、最初の提唱者の意図せざる所へ行ってしまうことはよくあることです。
マネジメントの領域では、デミング博士が提唱した「PDCA」でしょうか。
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