■ 国際会計基準より大事なことを是非、教えてください
コラム記事は、コラムニストの思い入れがあるため、コラム記事へのコメントは慎重にしないと、炎上する恐れがあります。今回は、なるべく筆勢(ひっせい)を抑えてコメントします(できるかな?)。
2014/9/11付 |日本経済新聞|朝刊
大機小機 国際会計基準より大事なこと
- 日本基準は既にIFRSと同等の評価を得ているので、コンバージェンスや相互認証で十分
- 短期的な利益を求める株主の視点でIFRS導入を議論するのはおかしい
- 本来は過去情報である決算に未来情報を含む予測・見積もりを求めるため、監査の負担も重くなる
株主重視の姿勢の問題点については、次の2点を例証しています
- のれんの非償却により、見かけ上の決算(利益)をかさ上げしている
- 時価主義の推進は、①現金収入がなくても配当を可能にする、②減損や繰延税金資産の取り崩しで巨額損失が発生すると、開発費や人件費の圧縮、資産の処分を余儀なくされて競争力を失う
ここは落ち着いて、反駁(はんばく)を。
JTの2011年3月期の連結P/Lを比較すると、売上高が日本基準では6兆1955億円に対し、IFRSでは2兆594億円で、同じ会計期の同じ経営活動を評価するのに、一方の売上が3割(厳密には33.2%)として表示されてしまいます。はい、これでも両基準は同等で比較可能性が担保されているのでしょうか?
会社計算規則158条で、のれん等調整額、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金などには配当規制が既にかかっています。もっと厳しくしたいのなら法改正をどうぞ。
減損や繰延税金資産の取り崩しはそれ自体ではキャッシュアウトがないので、企業体力は毀損(きそん)しません。人件費の圧縮や資産売却云々は、従来の益出ししてでも損益をお化粧したい動機がまだ支配的だという思い込みによるものだと思います。キャッシュフロー計算書を見れば、そんな会計操作は投資家にバレバレです。逆に、減損が発生した事業をいつまでも温存しない方が中長期的な企業競争力維持に役立つのでは?
IFRSを導入せずとも、これまでのコンバージェンスの流れの中で、時価主義(正しくは公正価値ですが)は既に、「金融商品会計」「従業員給付会計(退職給付、ストックオプションなど)」等として日本基準に反映済みです。会計監査人も既に対応済みの話です。
それより、結論をください。国際会計基準より大事なものとは具体的に何ですか?
(ビジネスドキュメンテーションはまず結論から書きません? ―― すみません。これはコラムでした。 <(_ _)> )
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