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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(40)問題解決の問題を解決する方法① - 解決方法の欠如

経営コンサルタントのつぶやき_アイキャッチ本レビュー
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■ 課題解決に着手する前に確認しておくといいこと

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このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

外部リンク G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページ(英語)

前回、「平準化の法則」を用いて、クライアントの課題分布の様子を探る方法を解説しました。今回はさらにそれを掘り下げて、コンサルタントが実際に課題解決に向けた作業に着手する際の知っておくと生産性が上がると感じているお作法についてみていきたいと思います。

まずは、「平準化の法則」のおさらいからです。

有能な問題解決者は、数多くの問題を抱えることはあるが、一つの支配的な問題を抱えることはめったとない。
G.W.ワインバーグ著「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」(P80)

仮に、クライアントの抱える課題の分布が比較的均等に分散している場合、概ねクライアントは問題対処に成功しているといえます。その場合は、コンサルタントは上手に課題を処理している経営環境やメカニズムの解明・可視化を進んで提示した方が、クライアントに喜ばれる可能性が高いでしょう。

反対に、クライアントが抱える課題が質量ともに偏在している場合、クライアントは課題解決に失敗している可能性が高いです。その場合は、一番影響度の高い課題を試しに解決して見せて、課題解決の方法論を実地でクライアントに学習してもらうのが効果的でしょう。

コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学(39)平準化の法則 - たった一つの支配的課題だけを抱えない
このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。 G.W.ワインバーグ氏の公式...

今回は、後者のクライアントが抱える課題が偏在して、一つの支配的な問題を抱えている状況への対処方法を見ていくことにします。

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■ いざ課題解決するときに先に見極めておくこと

そもそも、一つの支配的な重大案件を抱えているクライアントの置かれている状況と対処能力を観察する必要があります。どうして、自分の対応責任範囲で、日常的に仕事をしている環境の中で、それほど大きな問題になるまで、これまで手を付けられずに傍観せざるを得なかったのでしょうか。外部からコンサルタントを招聘するまでに、やるべきことをやっていなかったその理由にこそ、隠された本当の問題が存在しているのかもしれません。

まず、この問題を考えるために、「ボールディングの逆行原理」を使ってみましょう。

コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学(31)ボールディングの逆行原理 - ものごとがそうなっているのは、そうなったからだ
■ ボールディングの逆行原理このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。...

「ボールディングの逆行原理」とは、そういう結果がもたらされているということは、必ず原因がある、ということを言っているにすぎません。

ものごとがそうなっているのは、そうなったからだ
(経済学者:ケネス・ボールディング)

クライアントはおそらく、一つの支配的な問題に手を焼いているとしたならば、次の2つの要素が欠けているのではとまず疑ってみましょう。クライアントは問題の重要性を値踏みするにあたって、

(1)問題解決方針が必要であることに気づいていない
(2)問題解決手法を知らない

のいずれか、または両方の状態が同時に起きているのかもしれません。

■ コンサルタントが採るべきアプローチの選択肢は2つ

上記の(1)の場合、クライアントのそもそもの意識から変革する必要があるため、比較的大きな変革に対するエネルギーが必要になります。人の一貫性に対する固執は、思いの外、これを崩すのに時間と手間がかかるからです。

コンサルタントとしては、問題解決策を考える、有効そうなアイデアを試行錯誤の中から抽出するための意識がクライアントの組織内では希薄であることにまず備える必要があります。そのために、できるだけ簡単な方法を用いて、できるだけ大きい課題をまずひとつ、クライアントの目の前で解決して見せることが大事になります。そうすることで、クライアントからの信頼・信用を高めることができます。

クライアントからの信頼・信用が高まっていればこそ、その信頼・信用をレバレッジにして、より大掛かりな問題解決のアクションを、今度はクライアントの経営リソースを最大限に活用して実施することができます。社内要員に作業を振ったり、業務手順を変えたり、ITシステムの改変、組織変革や会議体の再編を実施することがそれにあたります。

ただし、このアプローチの最大の欠点は、クライアントがコンサルタントに依存的になる恐れがあることです。これを、このアプローチのデメリットとして言明する筆者は、誠実なコンサルタントだと思いません?

コンサルタントには、自分に依存的なクライアントを意図的に作って、安定的な収入源にしなければならないというファーム内のプレッシャーがあることも、ビジネス視点からは真実かもしれません。

しかし、筆者は、常に、コンサルタントが現場を去っても、「クライアントが自走していける仕組みづくり」を目指しています。なぜなら、コンサルタントが過去に示した課題解決策をクライアント自らがやれるようにしないと、次の2つの不都合が生じるからです。

(1)コンサルタント自身が次の新しい課題に対してチャレンジする時間が削られてしまう
(2)クライアントが次の経営課題を見つける機会を見逃してしまう

上記(1)は、コンサルタントの次に成長すべき領域の発見を遅らせてしまいます。また、上記(2)は、コンサルタントの中長期的な修練の場をみすみす逃してしまうことになります。クライアントとともに成長するコンサルタントこそ、クライアントにとって真に信頼のおけるパートナー(Trusted partner)であると言えるのではないでしょうか。

■ 問題解決手法が見つからないだけの場合の対処とは

問題解決手法が見つからない場合というのは、それほど重大だとは考えていません。問題のほとんどは「何が問題か」が分かれば、後は解決策を考えること自体は、そもそもの問題の所在の定義に比べると、ええ、あくまで比較の問題ですが、かなり容易であると考えるからです。^^)

それでも、あえてより賢い対処法をアドバイスするとしたら、こういう感じになると思います。

はじめは大問題を無視し、依頼主の側の問題解決メカニズムを育てるやり方をやる、というものであるかもしれない。それには何か簡単で、成功の見込みが大きそうなものを選ぶのがよい。
同書(P80-81)

このやり方には2つのメリットと1つのデメリットが存在します。

<メリット>

  1. クライアントが自分の問題を解決するいい練習になる
  2. クライアントに自分たちでも問題解決することができるという自信を持たせられる

<デメリット>

  1. 小さい問題から解くことになるので、小さい問題は得てして解決しても小さい利得しかない可能性が高い

筆者のコンサルティング実務経験からすると、小さな成功体験の機会創出と、大きな課題解決に向けたプログラム着手の動機付けの2つを同時にバランスよく配合できることが、プロジェクトマネージャーにとって必須の素養ではないかと考えています。

えっ、どうすればそれが身に着くかって? それは、クライアント企業の経営が傾かない程度にできるだけ失敗を経験することです。失敗から学ぶことの方が、成功から学ぶことより、成長の糧としては良質なものが得られるからです。はい、これまで寛容なクライアントに育ててきてもらってきました。だから、常にクライアントに恩返しの気持ちをもって仕事をしているわけです。はい。^^;)

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