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ゼミナール 企業統治の新時代(5) 機関投資家に行動原則

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■ アベノミクスの落し子 日本版スチュワードシップ・コード

経営管理会計トピック

2014/9/8付 |日本経済新聞|朝刊
経済教室 ゼミナール 企業統治の新時代(5) 機関投資家に行動原則

まず、金融庁が公表している7つの日本版スチュワード・コードをご覧ください。
「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~(PDF:384KB)←直接PDFが開きます)
以下、引用。

  1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
  2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
  3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。
  4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。
  5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
  6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
  7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

文章自体は至極(しごく)当たり前のことを言っているのに過ぎないので、その内容の是非を問うつもりはありません。
(用語の解説は、野村證券のホームページ:証券用語解説集へどうぞ)
「産業競争力会議」にて、いわゆる「第三の矢」としての成長戦略を定める「日本再興戦略」のひとつとして、機関投資家に受託責任を果たさせるための原則として導入されました。

■ 制度誕生の筋にご注意ください

2001年の「エンロン事件」および2002年の「ワールドコム事件」の影響を受けて、日本版SOX法が成立した経緯をつい思い出してしまいます。今回も、2008年の「リーマン・ショック」を契機に英国で制定されたものを日本に取り入れました。
「羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)」ではないですが、今回も当局がやりすぎて、

  • 企業自治・経済活動自由の原則を大きく制限する
  • 管理のための管理コストが増大し、かえって企業業績にマイナスとなる

恐れがあります。
J-SOXの時には、コンサルティングファームは軒並みバブルになりましたから。内部統制の仕組みづくりとは聞こえはいいですが、誰も顧みない大量の文書を高いコンサルティングフィーを払って書き上げただけの会社もあると小耳にはさんでいます。今回は本質的でかつ適切な対応を日本経済のために純粋に願っています。
既に、機関投資家への説明コストの上昇を懸念する声がそこかしこで聞こえてきています。でも日本人はお上のやることには大抵、抵抗しないのでやりすぎが心配です。米国の内部統制は現在では随分簡略化が進んでいますから、またまた日本企業だけ重荷を背負わないように、関係者の皆様、ご配慮お願いします!

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