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孫子 第6章 虚実篇 29 兵の形は水に象(かたど)る

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 組織は「水」のように無形の形を持っている方が良い

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そもそも軍(組織)の形は水を模範とします。

水の運行は高い場所を避けて低い場所へ走ります。同じように軍も、敵の兵力が優勢な実(じつ)の地点を回避し、敵の備えが手薄な虚の地点を攻撃して勝利を得ます。だから、水は地形に沿って運行を決定し、軍は敵の態勢に従って勝利を決定します。

軍にはできあがった一定の勢いというものはなく、決まりきった固定した形というものもありません。うまく敵軍の態勢に従って変化することこそ、これを神妙と称するのです。

木・火・土・金・水の五行(ごぎょう)にも常に勝つものはなく、春・夏・秋・冬の四季にもいつまでも居座るものはなく、太陽の輝く昼間にも短い・長いの推移があり、月にも欠けたり満ちたりの変化があるのです。

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戦闘に固定した勝利の「型」は存在しません。勝利の形態は、敵情に応じて絶えず変転流転するものです。孫子はこれを、自らはいかなる固有の形をも持たずに、ひたすら地形に柔軟に適応して進路を定めようとする、「水」の運動に例えるのです。

それゆえ、組織の指導者には、川の流れのように、瞬時も休まず思考し続ける緊張に耐えうるだけの、精神的強靭さが要求されるのです。もし、不断の思索と判断に耐え切れず、安易に既成の型の中に逃避して苦痛から逃れようとすれば、それは直ちに融通の効かぬ硬直さとなり、軍を敗北へと導くのです。

思考停止の殻の中に安住の地を見出す怠惰な精神は、いつの世にも決して勝利を生み出すことはありません。

現代ビジネスに例を取るなら、コダックと富士フイルムの盛衰が適例となるでしょうか? デジタル化の波に襲われ、銀塩プリントによる写真フィルムの需要が激減するような市場の変化に対応し、近隣市場のデジカメを皮切りに、医療画像システム、医薬品や化粧品、フラットパネルディスプレイ用偏光板保護フィルムなどの新領域を開拓しました。これら新事業は全て、徒手空拳で成し遂げたのではなく、既存の写真フィルム技術で培った、画像や化学における基礎技術から花開いたものです。

富士フイルムホールディングスの事業領域(ホームページより)
http://www.fujifilmholdings.com/ja/business/field/index.html

ちなみに、インスタントカメラの「チェキ」も若い女性中心に流行し、いたずらに新技術、新市場に進出して、高いリスクを背負うより、従来の技術を如何に十二分に活用して新たな需要を生み出すか、その好例も示してくれました。まさに、「水」の如く、柔軟に組織と商品ラインナップを変更していったのです。

⇒「(十字路)アナログ技術が創出する新市場


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