■ 負けないための相手の見切り方とは?
戦闘に巧みな者は、敵に対して、
(1)先鋒部隊と後衛部隊とが接続し合わないようにする
(2)大部隊と小部隊とが援護し合わないようにする
(3)貴族と民衆とが救援し合わないようにする
(4)上官と部下とが支え合わないようにする
(5)各部隊が分散して集結しないようにする
(6)敵兵力が集合しても戦列が整わないようにする
こうして敵の戦闘態勢が自軍に有利になれば戦闘を仕掛け、有利にならないときは合戦に入るのを中止するのです。
(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)
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孫子は、負けない戦を常に目指します。しかし、自組織のポジショニングや態勢を万全にしていたとしても、相手(敵)がそれ以上に有利なポジショニングをしていたら、戦には負けてしまいます。つまり、戦いとは自組織と相手組織との争い事である以上、相対的な力関係で勝敗が決まってしまいます。
それゆえ、自組織がベストを尽くしたとしても、相手組織とのパワーバランスを複眼的に観察して、絶えず勝てる位置取りをしてから、戦いに挑みます。つまり、勝てる勝負しかしないのです。そのために、相手組織の状況を見てとるための6つの注意事項を孫子が提示してくれているのです。
筆者は、将棋でもチェスでも、味方・自陣のことしか考えずに差し手を決めてしまい、相手の思わぬ差し手にいつもやられてしまいます。現代ビジネスでも、自社のことはよく分かっていても、コンペチターのことをよく研究せずに、市場での競争状態に入り、思わぬ敗北を喫することも多々あります。一にも二にも、相手の観察。そして、相手の攪乱や分断など、負けない戦のために、相手組織にできる影響力行使は100%やり尽し、勝算が見えてから勝負を挑むようにします。
こうすれば、戦い(局地戦)に負けることは少なくなるでしょう。局地戦での勝利の積み重ねが、やがて決定的なコンペチターとの勝敗の分かれ目になるものだと、留意しておいて頂ければと思います。
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