■ 市場を読み、競争優位をもたらすための目の付け所とは?
(1)
自軍の兵士が敵を撃破できる状態にあることを知っていても、敵が自軍の攻撃によっては撃破できない態勢にあることを知らなければ、充分な勝算は立ちません。
(2)
敵が自軍の攻撃によって撃破できる態勢にあることは知っていても、自軍の兵士が敵を撃破できる状態にないことを知らなければ、勝算は不十分です。
(3)
敵が自軍の攻撃によって撃破できる態勢にあることを知り、自軍の兵士が敵を撃破できる状態にあることを知っていても、なおかつ地形が戦闘してはいけない状況にあることを知らなければ、やはり勝算は完全ではありません。
これら3つのことを十分に把握し、軍事に通じているとされている者は、
① 軍を動かしても判断に迷いがない
② 戦闘をしても窮地に立つことがない
③ 敵情を察知し自軍の実情を自覚していれば、勝つこと自体には不安がなくなる
さらに、土地の状況が軍事に持つ意味を知り、天界の運行が軍事に持つ意味を知っていれば、勝利は計算通り完璧に実現できる。
(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)
—————–
孫子は、敵と戦闘に入って確実に勝利できる条件として、以下の3点を挙げています。
① 自軍の兵士の戦闘力(士気・練度など)が充実していて、敵を撃破できる攻撃力を備えていること
② 敵が撃破できる態勢を構築していること
③ 地形が自軍の戦闘に有利なこと
これは、謀攻篇の「彼を知り己を知らば、百戦して殆うからず」に起因する①②に加え、地形篇の要素を加えた3つから構成されます。
例え、①と②の条件が充足されていたとしても、地形が戦闘で自軍に不利に働く状況であれば、当初は攻勢に出られたとしても、やがて劣勢に陥り、ついには窮地に立たされることになります。
しかも、③の項目は、開戦前の計謀段階では、特段に読むことが難しい性質を持ちます。それゆえ、軍(組織)を率いるリーダーは、自軍と敵軍の複雑な攻防につれて、刻一刻と変化する戦況に合わせて、臨機応変の判断を迫られるものです。
現代ビジネスになぞらえれば、自社とコンペチターのことを知るだけでは十分ではなく、競争市場の状態をよくすることが必要である、ということです。
いやあ、使い古された言い回しや経営戦略コンセプトとして、
「3C」
① 自社(company)
② 競合(competitor)
③ 市場(customer)
が思い起こされますね。
孫子の時代の孫氏の世界では「戦場」「戦況」かもしれませんが、現代ビジネスでは、「市場」がそれに当たりますね。
・市場分析のポイント
①潜在顧客
②顧客属性(性別や年齢、BtoBの場合は業種など)
②市場規模(潜在顧客数、地域構成)
③市場の成長性
④顧客ニーズ
⑤購買決定プロセス
⑥購買決定者(特にBtoBの場合)
先人が残したビジネス遺産は全て利用し尽くしましょう!
コメント