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孫子 第5章 勢篇 21 紛紛紜紜(ふんぷんうんうん)、闘乱するも乱る可からず

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 変化の中で上手く統率し続けるコツとは?
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部隊編成や指揮命令系統の規律が徹底している組織は、まるで糸がもつれ合い絡み合うように、両軍入り乱れた混戦模様になっても、組織や指令が混乱に陥ったりはしません。
水がぐるぐる渦を巻くように、絶えず陣形が変転・流動しても、陣形が破綻して敗北したりもしません。

部署割りや指令伝達・布陣などの混乱は整然とコントロールされた状態から発生し、
兵士の怯懦(きょうだ)は勇敢な心理状態から発生し、
戦力の脆弱さは強力な状態から発生します。

組織の統制が治まるか乱れるかは、部隊編成の技術にかかわる問題です。
兵士の心理が勇敢になるか臆病になるかは、組織が戦闘に突入する時の勢いに関わる問題です。
組織の戦力が強くなるか弱くなるかは、組織が置かれた態勢に関わる問題です。

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孫子はここで、以下の3つが、決して固定的・永続的なものではないことを説いています。
① 組織(軍)の統制
② 兵士の士気(戦意)
③ 組織(軍)の戦力

それまでいかに整然と統率されていた組織でも、激しく複雑な戦闘行為を継続する間に、次第に陣形も崩れ、指令も行き届かなくなり、役割分担も守られない、混乱状態に陥ることがあることを示唆しています。

兵士の心理も同様で、当初いかほど繊維が高揚していようとも、戦況の不利に感づいたりすれば、途端に勇気も消え失せ、敗死の恐怖に怯え始めます。

また如何に強大な戦力を誇る組織(軍隊)であったとしても、ひとたび不利な態勢を強いられてしまうと、戦力は急激に低下し、たちまち弱体な烏合の衆と化します。

それゆえ、組織の指揮官は、これら3要素が、状況により如何様にも変化する不安定なものであることを前提に指揮する必要があり、組織がいつまでも統制を保ち、兵士の戦意が常に高く、組織の戦力が今後も強大であり続けることを前提にした作戦立案は避けなければなりません。

統制の成否を分ける要因は、「組織の部署割り」と「編成の技術」です。
兵士の勇怯を決定する要因は、戦闘に突入する際の「勢い」です。
戦力の強弱を左右する要因は、組織が身を置く「態勢(形)」です。

指揮官は、常に、自組織を「治」「勇」「強」なる状態を保持し、「乱」「怯」「弱」へと転落せぬように努力し続ける必要があります。

孫子は、具体的なその方法を一つ一つ解説してくれてませんが(もし解説していても古代中国の軍隊の運用方針に対する具体策なので、現代ビジネス組織にそのまま当てはめることは難しいのですが)、状況が変化する、そして自組織の状態は流転する。そのことを肝に銘じて、常に自組織の変化に目を配っておけば、最善の指揮命令が行える、と訓示してくれているのです。

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