Pocket

■ 会計帳簿の本名

会計(基礎編)
前回(「もうひとつの方法で利益を計算してみる」)までで、2つの会計帳簿を使ってそれぞれの方法で利益を計算してみました。「利益」は、「資産」の増加分だと説明しました。
「会計帳簿(その1)」は、その時点で会社が所有している「資産(財産)」を全て記録したものです。これを「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」といいます。「財産法」とか「資産負債アプローチ」という手法で「利益」を計算するときに使います。
「会計帳簿(その2)」は、ある一定期間の「資産(財産)」を増やす取引である「収益」と、「資産(財産)」を減らす取引の全てを漏らさず記録したものです。これを「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」といいます。「損益法」とか「収益費用アプローチ」という手法で「利益」を計算するときに使います。
(ここで、「貸借」とか「損益」という言葉に惑わされないでください。あくまで記号としてそう呼ぶのだと理解してください。だってマイケルはマイケルなのだから。意味不明、、、)

■ 貸借対照表の中身

「貸借対照表」は、観音開きで左右対称(漢字の意味としてはこっちの方がいいと思いますが、間違えないでください)の形になっています。右側に「負債」と「資本」の合計値が、左側に「資産」の合計値が表示されます。不思議なことに、左右必ず同額になります。
つまり、数学的には恒等式として、
「資産」 ≡ 「負債」 + 「資本」 ・・・(式1)
が成り立ちます。
「負債」と「資本」は、会社が誰からお金を集めてきたか、小難しく言うと、「資金調達」先とその額を意味しています。
「資産」は、会社が集めたお金を使ってどんな財産を買って所有しているか、小難しく言うと、「資金運用」形態を意味しています。
会計(基礎編)_はじめての貸借対照表_v01
注意点は、前回の決算と今回の決算の間で、左辺の「資産」が増えた分が「利益」なのですが、右辺には「利益」というものがないため、「利益」は「資本」に含めて表示するという暗黙のルールになっていることです。
(この辺の理由は「会計帳簿で利益を計算してみる」を参照のこと)

■ 損益計算書の中身

「損益計算書」も、観音開きで表示できます。右側に「収益」が、左側に「費用」が表示されます。「収益」と「費用」の差額が「利益」となり、これも会計のルール上、左側に書くことになっています。
つまり、数学的には恒等式として、
「収益」 -「費用」 ≡ 「利益」 ・・・(式2)
が成り立ちます。
これをちょっと移項すると、
「費用」 + 「利益」 ≡ 「収益」
となります。
会計(基礎編)_はじめての損益計算書_v01
注意点は、「利益」が常に「正数」になるとは限らないことです。「利益」が「負数」になる場合は、「マイナスの利益」という意味で「損失(そんしつ)」と呼びます。
ただし、「利益」が正負の違いで、損益計算書の左右どちらに表示されるか、定まっていないと煩わしいので、「損失」の場合は下表のように、「マイナスの利益」として左側に記録するような習慣になっています。慣れれば、こっちの方が記載場所が固定されているのでイメージしやすくなります。
会計(基礎編)_はじめての損益計算書(損失)_v01
会計の世界では、当初は、なるべく引き算で会計帳簿を表現することを避けていました。
(キャッシュフロー計算書が登場するまでは。おっとフライングしてしまいました。忘れてください)
筆者には現在、中学1年生の息子がいるのですが、息子の数学の教科書にはキチンと正負の計算が載っています。引き算は、負数を足すことと同義でしょ!
5 + (-3) = 2
これを会計的に表現すると、
「費用」 + 「損失」 = 「収益」
ということです。

■ (おまけ)「貸借対照表」と「損益計算書」をピタッと合わせてみると

貸借対照表と損益計算書を上下に合わせてみると、、、
会計(基礎編)_はじめての試算表_v01
不思議なことに、左右同額になりました。このことは、「財産法」で計算した「利益」と「損益法」で計算した「利益」が一致することから生じる現象です。会計の世界では、「貸借対照表」の作成ミスがないか、また「損益計算書」の作成ミスがないか、両者をがっちゃんこして検証することができます。試しに、がっちゃんこして、計算ミスがないか、検証する方法に使うということで、この表のことを「試算表(しさんひょう)」といいます。
(以下はおまけのおまけなので、算数が肌に合わない方は読み飛ばしていただいて結構です)
《再掲》
「資産」 ≡ 「負債」 + 「資本」 ・・・(式1)
「収益」 - 「費用」 ≡ 「利益」 ・・・(式2)
(式1)より、「財産法」の理屈だと、
「決算後の資産」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「利益」 ・・・(式3)
(式3)に(式2)を代入すると、
「決算後の資産」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「収益」 - 「費用」
移項整理すると、
「決算後の資産」 + 「費用」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「収益」
お粗末様っ!
ここまで、「その名を「貸借対照表」と「損益計算書」という」を説明しました。
会計(基礎編)_その名は「貸借対照表」と「損益計算書」なり

(Visited 216 times, 1 visits today)
Pocket

http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/07/3c971502de75240f1831fd45c1169d291-150x150.jpg小林 友昭会計(基礎編)■ 会計帳簿の本名 前回(「もうひとつの方法で利益を計算してみる」)までで、2つの会計帳簿を使ってそれぞれの方法で利益を計算してみました。「利益」は、「資産」の増加分だと説明しました。 「会計帳簿(その1)」は、その時点で会社が所有している「資産(財産)」を全て記録したものです。これを「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」といいます。「財産法」とか「資産負債アプローチ」という手法で「利益」を計算するときに使います。 「会計帳簿(その2)」は、ある一定期間の「資産(財産)」を増やす取引である「収益」と、「資産(財産)」を減らす取引の全てを漏らさず記録したものです。これを「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」といいます。「損益法」とか「収益費用アプローチ」という手法で「利益」を計算するときに使います。 (ここで、「貸借」とか「損益」という言葉に惑わされないでください。あくまで記号としてそう呼ぶのだと理解してください。だってマイケルはマイケルなのだから。意味不明、、、) ■ 貸借対照表の中身 「貸借対照表」は、観音開きで左右対称(漢字の意味としてはこっちの方がいいと思いますが、間違えないでください)の形になっています。右側に「負債」と「資本」の合計値が、左側に「資産」の合計値が表示されます。不思議なことに、左右必ず同額になります。 つまり、数学的には恒等式として、 「資産」 ≡ 「負債」 + 「資本」 ・・・(式1) が成り立ちます。 「負債」と「資本」は、会社が誰からお金を集めてきたか、小難しく言うと、「資金調達」先とその額を意味しています。 「資産」は、会社が集めたお金を使ってどんな財産を買って所有しているか、小難しく言うと、「資金運用」形態を意味しています。 注意点は、前回の決算と今回の決算の間で、左辺の「資産」が増えた分が「利益」なのですが、右辺には「利益」というものがないため、「利益」は「資本」に含めて表示するという暗黙のルールになっていることです。 (この辺の理由は「会計帳簿で利益を計算してみる」を参照のこと) ■ 損益計算書の中身 「損益計算書」も、観音開きで表示できます。右側に「収益」が、左側に「費用」が表示されます。「収益」と「費用」の差額が「利益」となり、これも会計のルール上、左側に書くことになっています。 つまり、数学的には恒等式として、 「収益」 -「費用」 ≡ 「利益」 ・・・(式2) が成り立ちます。 これをちょっと移項すると、 「費用」 + 「利益」 ≡ 「収益」 となります。 注意点は、「利益」が常に「正数」になるとは限らないことです。「利益」が「負数」になる場合は、「マイナスの利益」という意味で「損失(そんしつ)」と呼びます。 ただし、「利益」が正負の違いで、損益計算書の左右どちらに表示されるか、定まっていないと煩わしいので、「損失」の場合は下表のように、「マイナスの利益」として左側に記録するような習慣になっています。慣れれば、こっちの方が記載場所が固定されているのでイメージしやすくなります。 会計の世界では、当初は、なるべく引き算で会計帳簿を表現することを避けていました。 (キャッシュフロー計算書が登場するまでは。おっとフライングしてしまいました。忘れてください) 筆者には現在、中学1年生の息子がいるのですが、息子の数学の教科書にはキチンと正負の計算が載っています。引き算は、負数を足すことと同義でしょ! 5 + (-3) = 2 これを会計的に表現すると、 「費用」 + 「損失」 = 「収益」 ということです。 ■ (おまけ)「貸借対照表」と「損益計算書」をピタッと合わせてみると 貸借対照表と損益計算書を上下に合わせてみると、、、 不思議なことに、左右同額になりました。このことは、「財産法」で計算した「利益」と「損益法」で計算した「利益」が一致することから生じる現象です。会計の世界では、「貸借対照表」の作成ミスがないか、また「損益計算書」の作成ミスがないか、両者をがっちゃんこして検証することができます。試しに、がっちゃんこして、計算ミスがないか、検証する方法に使うということで、この表のことを「試算表(しさんひょう)」といいます。 (以下はおまけのおまけなので、算数が肌に合わない方は読み飛ばしていただいて結構です) 《再掲》 「資産」 ≡ 「負債」 + 「資本」 ・・・(式1) 「収益」 - 「費用」 ≡ 「利益」 ・・・(式2) (式1)より、「財産法」の理屈だと、 「決算後の資産」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「利益」 ・・・(式3) (式3)に(式2)を代入すると、 「決算後の資産」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「収益」 - 「費用」 移項整理すると、 「決算後の資産」 + 「費用」 ≡ 「決算後の負債」 + 「決算前の資本」 + 「収益」 お粗末様っ! ここまで、「その名を「貸借対照表」と「損益計算書」という」を説明しました。現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します