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会計帳簿で利益を計算してみる

会計(基礎編) 会計(基礎)
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■ 会社設立 - 玩具(おもちゃ)屋さんを始めました

会計(基礎編)
あなたは、一念発起し、喜ぶ子供達の笑顔が見たくて(当然お金儲けもしたくて)玩具屋さんを始めることにしました。この仮定のストーリーは会社設立から『儲け』=『利益』の計算まで、会計帳簿の上を動き回る会計数値の推移を一緒に追っかけるためのものです。
『儲け』の計算方法 で、触れた「財産法」「資産負債アプローチ」でとりあえず利益計算をしてみます)

《1.会社設立》
あなたは、大手玩具販売会社(トイ○○ス)を脱サラし、独立して玩具屋さんを始めることにしました。しかし、日頃の浪費が祟(たた)って、手元に貯金がありません。そこで、実家に帰省し、両親に相談したところ、父親から「おまえに虎の子の老後資金:100万円を開業資金として出資してやることにする。お父さんが株主になってやるから、これを元手に好きな玩具屋さんを始めなさい」という嬉しい一言がありました。
嬉々として、自宅に戻り、事業プランを再考してみました。そうすると、どうしても開業資金があと100万円足りないことに気づきました。元勤め先の財務部長が大学の先輩だったので、相談したところ、地元の信用金庫の支店長を紹介してもらえることになりました。
財務部長の口利きが功を奏して、不足分の100万円の融資を信用金庫から受けられることになりました。
ここまでの経緯を会計帳簿に記録してみましょう。

  • 父親が株主になって100万円の出資をしてもらった。会社名義の預金口座に振り込んでもらった
  • 信用金庫から100万円の融資をしてもらった。同じく、会社名義の預金口座に振り込んでもらった

会計(基礎編)_会社設立_v02
《2.開業準備》
あなたは、当初の事業プランに基づき、立地の良い場所に店舗(不動産)を100万円で購入しました。最近はやりの居抜きだったので、内装工事はほぼ不要でした。暫くして、前職の友人の紹介で、前々から狙いをつけていた、いま子供たちに大人気の「妖怪○○ッ○」のキャラクターグッズ中心に売れ筋の商品を問屋から100万円で買い付けることができました。
ここでのポイントは、「資産」として手元にあった預金200万円を、店舗:100万円および商品在庫:100万円と等価で交換した、という風に会計的には考えるところです。
ここまでの経緯を会計帳簿に記録してみましょう。

  • 会社名義の預金口座から100万円を引き出して、不動産屋に支払って、代わりに店舗を手に入れた
  • 会社名義の預金口座から100万円を引き出して、問屋に支払って、代わりに商品を手に入れた

会計(基礎編)_開業準備_v01

 

■ 事業開始 - お店OPEN!

《3.営業開始》
あなたは、ようやくお店をオープンすることができました。近所のお客様が殺到し、あっという間に用意していた商品が完売してしました(恐るべし。妖怪○○ッ○人気!)。
ここまでの経緯を会計帳簿に記録してみましょう。

  • お店に陳列していた商品100万円が完売し、モノはお客様がすべて持ち帰ってしまった
  • 同時に、お客様から代金として200万円を受け取り、レジスターの中に保管した

会計(基礎編)_商品販売_v01
出ていったモノ(商品)の価値と入ってきたカネ(受取代金)の価値が等価ではないため、その分、会社の財産(資産)が増えました。

 

■ 給与支払い - 自分へのご褒美!

《4.給与支払い》
あなたにも生計費が必要です。会社が持っているお金から自分へ給料を払ってあげましょう。とりあえず、サラリーマン時代と同額を社長としてのあなたの給与としました。
ここまでの経緯を会計帳簿に記録してみましょう。

  • お店のレジスターから30万円を取り出し、自分の個人用の預金口座へ預け入れた

会計(基礎編)_給与支払_v01

 

■ 利息の支払い - 信用金庫へ

《5.利息の支払い》
紹介してくれた元勤め先の財務部長の顔をつぶさないためにも、融資をしてくれた信用金庫へ借入利息を支払う必要があります。利率は10%を約束していたので、
元金:100万円 × 利率:10% = 10万円
を信用金庫に支払います。
ここまでの経緯を会計帳簿に記録してみましょう。

  • お店のレジスターから10万円を取り出し、会社の銀行口座から信用金庫の口座へ振り込んだ

会計(基礎編)_利息支払い_v01

 

■ 利益計算

《6.決算》
営業開始前の会社の財産(資産)額と、商品は完売、自分に給与を支払い、信用金庫にも利息を支払った後の会社の財産(資産)額を比較して、どれだけ儲かったか、会計帳簿を調べてみます。これを「決算(けっさん)」といいます。
利益 =(営業完了後の資産)-(営業開始前の資産)
=(現金:160万円+店舗:100万円)-(商品:100万円+店舗:100万円)
= 260万円 - 200万円
= 60万円
会計(基礎編)_利益計算_v01
この利益は、株主が会社に拠出した資本が増えたものと理解します。法律的には会社の持ち主が株主なので、自分の会社の財産の増加は、自分の出資した分の価値の増加ともいえるからです。したがって、会計帳簿の上でも、会社設立時の資本:100万円の価値が利益の分(60万円)だけ増えたとして、資本が160万円になったと記録します。

 

■ 再確認1 大航海時代張りの「財産法」

会計の歴史」で触れたとおり、大航海時代のひと航海ごとに、出港前に王様に出資してもらった資金が、帰港後にいくらに増えたか、Before-After で差引することで、『儲け』=『利益』を計算する会計技法を「財産法」とか「資産負債アプローチ」と呼びました。
今回も、お店オープン時点から商品を完売して信用金庫に利息を払った時点までで、いったん締め切って「利益」を計算しました。任意の時点間の財産同士の引き算で利益を求めるやり方をこれでマスターしました。

 

■ 再確認2 利益の意味

利益情報の意味」で触れたとおり、利益には、経営者の経営手腕の良否を測るための「業績評価利益」と、株主に出資してくれたお礼に見返りとして配分できる金額を測るための「分配可能利益」の2つの見方が存在しています。
今回の事例は、株主(自分の父親)に対して、老後の資金を玩具屋の経営で運用して、60万円増やすことができました=分配可能利益は60万円と報告することができます。と同時に、あなたが社長として経営手腕を発揮したことで、60万円儲けたともいえるので、業績評価利益も同額の60万円となります。
誰ですか。この社長は給料を30万円先にもらっているから、30万円+90万円=120万円が本当の業績評価利益ではないかという人は?30万円というのは、労働市場におけるあなた(社長)の労働の対価として正当な給与金額です。株主に報いるための60万円の利益を儲けるために犠牲にしたあなたの時間と労力を評価したものです。
金融市場にいる株主への報告利益と、労働市場における正当な対価の支払いは、それぞれの市場のルールに照らしてきちんと計算されるべきです。
(中小企業や個人経営の場合は、この辺を上手く調整しているのが実態ですが。。。それは税金の問題があるからです。節税対策はこのシリーズのテーマではないので、ここでは深く立ち入りません)
ここまで、「会計帳簿で利益を計算してみる」を説明しました。
会計(基礎編)_会計帳簿で利益を計算してみる

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