仮想通貨だけに留まらない。経済取引の根幹を変えてしまうブロックチェーン2.0(1) - ビジネスブロックチェーンの仕組みと可能性について 日経BigDataより

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■ ブロックチェーン2.0の可能性と課題について考えてみる!

経営管理会計トピック

今年も、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータに並んで語られるであろうフィンテック。その中でも、ビットコインに代表されるブロックチェーン技術。その進化と、仮想通貨以外への応用の可能性を概説します。本稿は、日本経済新聞電子版に転載された、日経BigDataの連載記事である「ビジネスブロックチェーン(上)(中)(下)」を参考に構成しました。

(参考)
⇒「禁忌に触れた仮想通貨 「ザ・ダオ」の教訓 「Disruption 断絶を超えて」特別編 - ブロックチェーン2.0の死角と問題点について
⇒「ビットコイン、金融政策失墜が背景 岩村充早大教授 「Disruption 断絶を超えて」特別編 - 中央銀行の歴史と政府からの独立性を考える。法定通貨と仮想通貨の相克から

その前に、ビットコインとブロックチェーンの基本のおさらいを次のPR記事から。

中央銀行から見たブロックチェーン技術の可能性とリスク|Blockchain Summit 2016 レビュー|提供:日本IBM

「ブロックチェーンは仮想通貨から生まれた技術だ。現在、分散型の決済システムの基盤として注目されているブロックチェーンにはどんな可能性があり、どんなリスクが潜んでいるのか。『Blockchain Summit 2016』 の基調講演として、ブロックチェーンを長年研究してきた日本銀行決済機構局FinTechセンター長の岩下直行氏が登壇した。」

(下記は、同記事添付の「日本銀行 決済機構局 FinTechセンター長 審議役 岩下直行 氏」の写真を引用)

20170109_日本銀行 決済機構局 FinTechセンター長 審議役 岩下直行_日本経済新聞電子版

「ブロックチェーンという技術があって、仮想通貨であるビットコインが生まれたという言い方をする人がいますが、それは誤解です。まずビットコインありきで、次にブロックチェーンが生まれたんです」と岩下氏は冒頭でビットコインが生まれた歴史的背景を解説されました。

デジタル情報を一種の通貨とみなす“電子現金”への取り組みはビットコイン登場((2009年1月9日))以前から行われてきました。しかし、システムリソースの不足やコスト、利便性の問題から、それらの取り組みは広く普及することはありませんでした。その後、仮想通貨であるビットコインが登場し、2015年あたりから徐々に利用者が増え、今では1000万人以上になっています。

過去の“電子現金”とは異なり、なぜビットコインが相場は乱高下しつつも取引価値を維持し続けていられるのでしょうか。岩下氏によりますと、

① 多大な維持コストがかかる中央集権型の処理センターを持たないpeer-to-peerによる分散コンピューティングの採用
② コイン発掘の仕組みに見られる報酬を付与するインセンティブの存在
③ 独自通貨単位による投資機会の提供

があるからだそうです。

このビットコインという仮想通貨で使われた技術の総称がブロックチェーンです。最近では、より汎用的な言葉として「DLT(Distributed Ledger Technology)」という用語が使われ始めました。それは、仮想通貨以外にも、あらゆる取引履歴を残すべき社会におけるあらゆる取引に使用される可能性を考慮してのことと筆者は認識しています。そして、ブロックチェーンの定義としては「不特定多数のノードを用いることで合意が覆る確率がゼロへ収束するプロトコル、またはその実装」といわれることもあります。

 

■ 幅広いブロックチェーンの適用領域とは?

今、ブロックチェーンが注目されているのは、前章ですでに言及されていますのが、
①“合意が覆る確率が十分に低い”という特性
② システムの維持コストが安い

という点にあります。

ブロックチェーンの形態は、
① パブリック型:管理者が存在しないで誰でも参加できる
② プライベート型:単独の機関が許可制で運営する
③ コンソーシアム型:複数のパートナーが管理して許可制で参加できる

の3つに分類でき、ビットコインは「① パブリック型」の代表選手です。現在、金融機関が実証実験のターゲットとしているのは主に「② プライベート型」と「③ コンソーシアム型」です。プライベート型ではパブリック型の可能性を放棄することにはなるのですが、コンソーシアム型では合意形成に問題があり、これからの技術開発が必要なのだそうです。

すでに実証実験は進められており、住信SBIネット銀行や日本取引所はコンソーシアム型で実証実験をブロックチェーン上で行っています。

「ブロックチェーンのユースケースには、金融、産業、行政、市民社会の各領域で様々なものが想定されている。しかも、利用方法として、ビットコインなど仮想通貨をそのまま使うものから、元帳機能のみを利用するもの、独自の分散元帳を構築するものの3つのパターンが考えられる。」

ビットコインを仮想通貨としてそのまま使用
・国際紛争の地域に資金援助をするようなケース
② 元帳機能のみを利用
・企業間のサプライチェーン用に後から書き換えられないデータベースを世界中で共有
③ 独自の分散元帳を構築
・銀行の勘定系システムや証券ポストトレード、政府の徴税業務のシステムを構築すれば、安全で高速処理できて運用コストを抑えたシステムが実現できる可能性がある

 

暗号化された信用が、ビジネスを中央管理から分散処理への流れをブーストする!

「ブロックチェーン」技術がもたらすのは、テクノロジーの進化だけではなく、経済的・社会的な分野で行われる取引を「信頼できる取引」たらしめる仲介機関を全く必要としない新しい世の中です。

2016/12/14付 |日本経済新聞|電子版 「信用機能」解放 ブロックチェーンでビジネス大変革 ビジネスブロックチェーン(上)

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「既存の仲介機関とは異なり、ブロックチェーンの信用には摩擦がない。信用が獲得すべきものであるのは変わらなくても“自由”になったら、次はどうなるのか。自然な流れとしてはネットワークの周縁へと分散化されていくだろう。さらに、仲介機関なしであらゆるタイプの価値を高速で移動させる新しいルートも提示する。」

(下記は同記事添付の「バーチャル・キャピタル・ベンチャーズのムーゲイヤー氏」の写真を引用)

20161214_バーチャル・キャピタル・ベンチャーズのムーゲイヤー氏_日本経済新聞電子版

中央の管理者(政府や規制当局など)は、銀行のような“信用ある”機関に規制を行って社会・経済と統制してきたと自負する当局は、実態のない相手に対して規制もできずジレンマに陥り、基準の見直しを迫られるに違いありません。こうした信用ある取引の分散処理の実行可能性の提示と当局のジレンマがブロックチェーンの表の顔ならば、バックエンド側のインフラでもあるブロックチェーンは、いわば究極の「ノンストップコンピュータ」が裏の顔。銀行のシステムやクラウドサービスと違って単一障害点(その箇所が停止するとシステム全体が障害となるようなポイント)がないことにより、驚異的な回復力があり、一度起動させたら絶対に落ちることはありません。

「現在、我々はあらゆるもの――情報・製品・サービスがほとんどだが――をグーグルで日々検索している。近い将来、グーグル検索のように手軽に、記録、身元情報、信ぴょう性、権利、作業の完了、所有権の証明、契約・資産に関するプロセスなどを検証し、すべてに「デジタル所有権証明書」が発行されるだろう。ビットコインを創造したとされるサトシ・ナカモト氏が電子マネーの二重払い防止の解決法を提示したように、ブロックチェーン上で検証・発行された証明書はコピーも偽造もできない。情報革命に欠けていた最後のピースが見つかったのだ。」

現在、ネット上の公開データベースにある情報が正しいという前提は、ネットサービスを提供する主体の管理者が独自にその信頼性確保と信認サービスを行っていますが、これからは、どこかのデータベースを検索しに行って「適正な取引である証拠」を探しに行くのではなく、ブロックチェーン技術により、取引情報自体が適正な取引である裏づけを保有することになり、特定のデータベースに依拠する必要がなくなります。

それにより、取引の信用を裏付ける行為と安全性確保のためのコストと手間が圧倒的に不要になり、限りなく、大企業のような従業員と必要資本を大量に要求する経済主体でなくても、個人ひとりひとりがネット上で、極言すれば、あらゆる取引サービスを従来の仲介企業や機関無しに始めることができます。

「ブロックチェーンの支持者は、信用は自由であり、手数料やアクセス権限、認可の申請なども含めて中央集権型の機関に管理されるものではなく、互いに対等な関係で取引を行うピア・ツー・ピア(P2P)であるべきと信じている。信用は暗号化が可能であり、さらに高度な暗号化技術に裏付けられた数学上の見地をもとに確実に真偽も計算できる。」

このことは、暗号化された証拠が全てのネット上の取引にひとつの例外もなく付されることを意味しています。これにより、人的保証、物的証拠より、ネット上のデジタル認証が最も信頼性を勝ち取る時代が到来するかもしれません。

「端的に言えば、ブロックチェーンにより、信用は“暗号化された証拠”へと形を変えるのだ。そして官僚主義を生みだす単一機関とは対照的に、信頼の置ける個々のコンピューター(善良な参加者であるノード)により構成されるネットワークがセキュリティーを保障し、信用を維持する。」

ただし、悪意あるハッカーによるネット上の信頼性ある取引構造を破壊する存在への対処は、強いて言えば、ブロックチェーンそのものではなく、周辺技術のセキュリティホールへの対処をより厳格に行うことを養成することになると思われます。

→「ザ・タオ事件」(The DAO事件の衝撃とEthereumの未来(サロン記事)|ビットコインダンジョン)

⇒「仮想通貨だけに留まらない。経済取引の根幹を変えてしまうブロックチェーン2.0(2) - ビジネスブロックチェーンの安全性と将来性について 日経BigDataより

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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