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■ 95歳が笑顔に! 住民引っ越し大作戦

コンサルタントのつぶやき

夕張市は、街の中心に住宅を集約する「コンパクトシティ計画」で注目を集めている。それを先導しているのが、東京都職員から市長に転身した鈴木氏。その顛末を追った。

名張市はその昔炭鉱の町で有名で、炭坑夫とその家族のために市営住宅を数多く運営していた。現在は住民の数が激減。市営住宅の入居率は40%。市営住宅の維持管理費だけで年間1億9000万円なり。市民生活の利便性向上と、高齢者と子供たちが一体のコミュニティづくりのため、4年で207世帯に引っ越ししてもらい、新しい街づくりを担ってもらっている。

「日本全体も人口減少に突入していく。財政難・高齢化が問題に。課題先進国の日本の中で、さらに課題先進地域が夕張。日本のモデルとなる取組みを住民と一緒にやっていきたい」

鈴木氏は、元々東京都の職員で、当時の石原都知事からの要請により、財政破たんした夕張市に2年2ヶ月の間、出向で人手不足の夕張市に応援に駆け付けた。その後、出向中の鈴木氏の精力的な活動を目にしていた地元の有志から、夕張市長選への出馬要請を受けた。その出馬要請書の一節から。

「夕張市はあなたの様な若い情熱とエネルギー、市民の声を幅広く聞く姿勢が何より必要なのです」

こうして若干30歳の落下傘候補だった市長が誕生した。

2期目(さすがに再選は無投票で!)を迎えた鈴木市長はこれからの4年間で何を為そうとしているか?
「どうやって課題を克服していくのか。ただ克服するだけでなくて、課題を希望に変えていく」

 

■ 人口減で起きること、目からウロコの解説

夕張市の場合。
・市民税:3000円 → 3500円
・下水道代:1470円/㎥ → 2440円/㎥
・家庭ごみ:無料 → 80円(40ℓ)
・軽自動車税:1.5倍
・病院:総合病院 → 診療所に縮小
・小中学校:11校 → 2校

箱モノ行政の代表である各種公営施設については、維持費がかかり、縮小しようにも縮小のための投資コストがかかる。

「コンパクトシティ」を声にしている自治体は多いが、実践しているのは夕張市だけ。個別に説得して移ってもらおうと、将来の集住拠点を示し「縮小する」と説明すると、移住対象となる地域住民からは「困る。家を買ったばかりだし、生活がある」と反対の声が上がる。

反対派を敵にしない「鈴木方式」とは? 

「財政再建や市民サービスを少なくし非常に市民の皆様に迷惑をかけている。だからとにかくみんなが疑問を持ったら、いつでも市長が自ら説明に行く制度を設けている。市民の方からいつでも私を呼べるものだから、最初は吊し上げのためにしょっちゅう呼ばれた。3時間も4時間もずっと「これはどうなっている」という話になる。私の経験から、大体1時間から1時間半怒鳴っているとちょっと疲れてくる。疲れてくると、「お前も大変だな」という話になってくる。そうなると、「皆さん、迷惑かけていますが、ここが変わるんです。今の時代の皆さんには我慢してもらいますが、子どもたちはいい形となります」と言うと、それでも「納得いかない」となるが、やがて呼ばれなくなる。平行線のままだが、そういう考えもある、というのは伝わったんじゃないかな」

 

■ なぜ東京都職員から夕張市長に?

「東京都は職員が16万人いる。巨大組織の中の小さな歯車として機能することにもそれなりのやりがいは感じていた。夕張の場合は、自分が必要とされている。自分が生まれてきて、存在を認めてもらったり、必要とされるということはそうそうあるようでないですよね。市長になったらこういうことがやりたい、市長にならないと逆にできない、という思いもありました」

 

■ 大地震への備えも 廃校再生の狙い

廃校を地元のホテルに無償貸与。この春から研修施設として再利用へ。全国の廃校は5801校もある。その内、未活用のものが1513校。人口減少で、ハコモノが余剰に。夕張市では、ある廃校の体育館にはビニールハウスが。「ゆうばり共生型ファーム」ホワイトアスパラとチコリを栽培している。校長室が調理室。隣の職員室が食堂に。ここを運営しているのは地元の福祉団体(もちろん無償貸与)。障がい者が健常者と一緒に、8人の雇用を確保している。2階の空き教室は、レンタルオフィスに。夕張市では、6つの廃校が全て再利用されている。

「学校を維持するのは1校だけでも年間で数百万円かかる。家賃がタダでも入居してもらえると、まず維持管理コストが要らなくなる。廃校になったとしても、災害時の緊急避難場所に指定されている。東日本大震災の時に顕在化した問題として、廃校に避難したらトイレの水が出なかった、電気が通じていなかったなどの問題が生じた。無料で貸して災害協定を結んで、いざ、災害の時は受け入れてくださいと。そうすれば、電気も水も施設として動いてくれていてすぐ使える。さらにそこで雇用も生まれる!」

どうでしたか?夕張市の過疎、課題先進地域の先進的な取り組みは?

『有言実行』
『情理を尽くした説得に労を惜しまない』
『創意工夫』

続いて、島根県雲南市吉田町の取り組みは次回。

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田舎に日本の未来SP 第1弾 ~人口減に挑む地元愛~ ① 夕張市市長・鈴木直道 島根県雲南市吉田ふるさと村社長・高岡裕司 2015年6月4日OA TX カンブリア宮殿http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-e1428166267398.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/f2dde0c815f506d35f39301dbbb486e41-150x150.jpg小林 友昭TV番組レビューカンブリア宮殿,コンパクトシティ,吉田ふるさと村,吉田町,夕張市,過疎,鈴木直道,高岡裕司■ 95歳が笑顔に! 住民引っ越し大作戦 夕張市は、街の中心に住宅を集約する「コンパクトシティ計画」で注目を集めている。それを先導しているのが、東京都職員から市長に転身した鈴木氏。その顛末を追った。 名張市はその昔炭鉱の町で有名で、炭坑夫とその家族のために市営住宅を数多く運営していた。現在は住民の数が激減。市営住宅の入居率は40%。市営住宅の維持管理費だけで年間1億9000万円なり。市民生活の利便性向上と、高齢者と子供たちが一体のコミュニティづくりのため、4年で207世帯に引っ越ししてもらい、新しい街づくりを担ってもらっている。 「日本全体も人口減少に突入していく。財政難・高齢化が問題に。課題先進国の日本の中で、さらに課題先進地域が夕張。日本のモデルとなる取組みを住民と一緒にやっていきたい」 鈴木氏は、元々東京都の職員で、当時の石原都知事からの要請により、財政破たんした夕張市に2年2ヶ月の間、出向で人手不足の夕張市に応援に駆け付けた。その後、出向中の鈴木氏の精力的な活動を目にしていた地元の有志から、夕張市長選への出馬要請を受けた。その出馬要請書の一節から。 「夕張市はあなたの様な若い情熱とエネルギー、市民の声を幅広く聞く姿勢が何より必要なのです」 こうして若干30歳の落下傘候補だった市長が誕生した。 2期目(さすがに再選は無投票で!)を迎えた鈴木市長はこれからの4年間で何を為そうとしているか? 「どうやって課題を克服していくのか。ただ克服するだけでなくて、課題を希望に変えていく」   ■ 人口減で起きること、目からウロコの解説 夕張市の場合。 ・市民税:3000円 → 3500円 ・下水道代:1470円/㎥ → 2440円/㎥ ・家庭ごみ:無料 → 80円(40ℓ) ・軽自動車税:1.5倍 ・病院:総合病院 → 診療所に縮小 ・小中学校:11校 → 2校 箱モノ行政の代表である各種公営施設については、維持費がかかり、縮小しようにも縮小のための投資コストがかかる。 「コンパクトシティ」を声にしている自治体は多いが、実践しているのは夕張市だけ。個別に説得して移ってもらおうと、将来の集住拠点を示し「縮小する」と説明すると、移住対象となる地域住民からは「困る。家を買ったばかりだし、生活がある」と反対の声が上がる。 反対派を敵にしない「鈴木方式」とは?  「財政再建や市民サービスを少なくし非常に市民の皆様に迷惑をかけている。だからとにかくみんなが疑問を持ったら、いつでも市長が自ら説明に行く制度を設けている。市民の方からいつでも私を呼べるものだから、最初は吊し上げのためにしょっちゅう呼ばれた。3時間も4時間もずっと「これはどうなっている」という話になる。私の経験から、大体1時間から1時間半怒鳴っているとちょっと疲れてくる。疲れてくると、「お前も大変だな」という話になってくる。そうなると、「皆さん、迷惑かけていますが、ここが変わるんです。今の時代の皆さんには我慢してもらいますが、子どもたちはいい形となります」と言うと、それでも「納得いかない」となるが、やがて呼ばれなくなる。平行線のままだが、そういう考えもある、というのは伝わったんじゃないかな」   ■ なぜ東京都職員から夕張市長に? 「東京都は職員が16万人いる。巨大組織の中の小さな歯車として機能することにもそれなりのやりがいは感じていた。夕張の場合は、自分が必要とされている。自分が生まれてきて、存在を認めてもらったり、必要とされるということはそうそうあるようでないですよね。市長になったらこういうことがやりたい、市長にならないと逆にできない、という思いもありました」   ■ 大地震への備えも 廃校再生の狙い 廃校を地元のホテルに無償貸与。この春から研修施設として再利用へ。全国の廃校は5801校もある。その内、未活用のものが1513校。人口減少で、ハコモノが余剰に。夕張市では、ある廃校の体育館にはビニールハウスが。「ゆうばり共生型ファーム」ホワイトアスパラとチコリを栽培している。校長室が調理室。隣の職員室が食堂に。ここを運営しているのは地元の福祉団体(もちろん無償貸与)。障がい者が健常者と一緒に、8人の雇用を確保している。2階の空き教室は、レンタルオフィスに。夕張市では、6つの廃校が全て再利用されている。 「学校を維持するのは1校だけでも年間で数百万円かかる。家賃がタダでも入居してもらえると、まず維持管理コストが要らなくなる。廃校になったとしても、災害時の緊急避難場所に指定されている。東日本大震災の時に顕在化した問題として、廃校に避難したらトイレの水が出なかった、電気が通じていなかったなどの問題が生じた。無料で貸して災害協定を結んで、いざ、災害の時は受け入れてくださいと。そうすれば、電気も水も施設として動いてくれていてすぐ使える。さらにそこで雇用も生まれる!」 どうでしたか?夕張市の過疎、課題先進地域の先進的な取り組みは? 『有言実行』 『情理を尽くした説得に労を惜しまない』 『創意工夫』 続いて、島根県雲南市吉田町の取り組みは次回。 -------------------- 番組ホームページはこちら 夕張市のホームページはこちら 吉田ふるさと村のホームページはこちら現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します