ジェフ・ベゾス(1)長期的に見れば、顧客の利益と株主の利益は必ず一致するはずなのですから

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■ コストダウンの成果を顧客と株主でどう分けるか?

私たちの哲学は非常に明確で、長期的な視点に立っています。長年にわたって継続的にコスト構造を改革してきました。コスト構造の改革で、節約した お金を、商品を低価格にするということで顧客に還元してきました。こうしたことは、短期的には一部の投資家の不興を買うかもしれませんが、顧客にとって正 しいことなのです。長期的に見れば、顧客の利益と株主の利益は必ず一致するはずなのですから

20171106_ジェフ・ベゾス

(アマゾン・ドットコム共同創設者 / 1964~)
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今回は、処世訓や格言という風合いより、ビジネス・経営よりのお話です。

オペ―レーションをより効率化し、高い生産性を上げることができるようになったら、より多くの利益がもたらされるようになります。画期的な新商品をだすことで、大いに原価を節約することができるようになったら、製品単位当たりの利益率が高まります。どんな経営者でも、そういう利益が増えること、増益となることを目指して経営をコントロールしているはずです。

そして、問題はその次の経営者の態度です。その増えた利益をどう使うのがいいでしょうか?

① 使わずにそのまま内部留保として、もしものために取っておく
② 財務体質をよくするために、借入金を返済する
③ 株主還元のために、増配か自己株取得を行う
④ 顧客のさらなる支持を得るために、売価還元(値下げ)を行う
⑤ 労に報いるために、従業員への報酬を上げる

上記の列挙は、あくまで私見による価値判断で並べてありますが、その真意はお分かりになるでしょうか?

 

■ 会社が置かれた状況によって儲けの使い道は会社それぞれ

まず、①は、儲けを次の事業投資に使わずに会社内にため込んでおくこと。これは一般論では一番ダメな財務戦略とされています。通常、企業への投資(株主からの出資含む)は、複利効果を頼んで行われるため、会社の中に使われないお金があると、投資効率がガクンと落ちるためです。昨今、声高に叫ばれる「ROE経営」とか、コーポレートガバナンス論はこの文脈で語られることが多いものです。ただし、ゲーム会社や製薬会社など、業種によっては、高い内部利益があるからこそ、リスクの高い次の投資に挑めるという事情もあるので、一概にどれくらいが適正な内部留保率かということを言うことはできません。

②も、資本コスト、特に、WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)を考慮して、株主からの期待収益率、借入金の利率、デフォルト確率(倒産リスク)の3つから、判断すべきです。現下の日本の金融市場を鑑みるに、急いで借入金返済をすることはないとは思いますが。

③は、株主会社は株主のもので、株主出資に見合った相応の利益を株主にリターンとして返すのが企業経営の本道である、という考え方に基づくものです。おそらく、会社法、企業財務論的に、その通りなのでしょう。しかし実務的には、目の前の浮利を目ざとく株主還元したからといって、次にまた同じレベルの株主還元ができるとは限りません。欲をかいて金のガチョウを殺さないようにした方が。。。

④は、中長期的に、企業にお金をもたらしてくれるのは顧客。その顧客に対して、値下げという顧客還元を行うことで、顧客ロイヤリティーを高め、会社のファンになってもらって、末永くお付き合いしてもらうという営業戦略に基づく考え方です。LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)がきちんと計算できていたり、どちらかというと、BtoC企業は、そういう考え方を優先したりしますね。

⑤は、ノートン、キャプランのBSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード)の考え方に基づくもので、従業員満足が顧客満足をもたらし、顧客満足が財務的成功を意味し、財務的成功が株主還元をもたらすというストーリーです。従業員が人事考課や働く環境に満足することで、顧客サービスをせいいっぱいやるモチベーションが起きる。それは、顧客サービスを充実・強化することにつながり、顧客満足が高まる。顧客満足が高まれば、顧客からの収入が増える。後は、上記④の後半のロジックと同じ。

 

■ ジェフ・ベゾスが言いたかったこと

アマゾンの最近の決算発表を取り上げた過去投稿があります。

⇒「アマゾン77%減益 4~6月純利益 先行投資重視を強調 それがどうした。究極の経営は利益を上げないこと!

どうせ、短期的に会計的利益を上げても、法人税等による社外流出(キャッシュアウト)は避けることができません。そのお金を税金として納めるくらいなら、次の事業投資へつぎ込んだ方が、企業価値が高まる。企業価値が高まれば、時価総額も増えるので、いざ株式を売却した際のキャピタルゲインも大きくなる。だから、目の前の配当(インカムゲイン)にこだわらない方が、もっと儲かりますよ。そのために、顧客に対する値引きを先に行った方がいいんですよ。ベゾスの冒頭のメッセージは、自社の株主に向けて、長期的投資目線に立って会社(アマゾン)を支持・支援してほしいという趣旨のものでした。

株主(配当)か、顧客(値下げ)か。物事は、二項対立にすると、ためにする理解には分かりやすくなるかもですが、そうすることで、物事の本質を見誤ったり、損をしたりすることもあるかもしれませんね。

手っ取り早い対立構造を作って、分かった気にならないこと。これが今回の私からのメインメッセージなのでした。(^^;)

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