■ 自分の自由意思で行動する機会が増えれば増えるほど、共同体感覚を養うことができます!
相手の権利に土足で踏み込んではならない。
権利を尊重し、自分で決めさせるようにすれば、
人は、自分を信じ、他人を信じるようになるだろう。
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親子とか、上司部下とか、先輩と後輩。一見して、上下関係が存在しているように見える人間関係だったとしても、その優越的地位に甘んじて、相手の権利の土足で踏み込めば必ずその相手と対立が生じます。その時、二人の間に発生している状況は、どっちがより力を持って相手を屈服させるかを誇示し合う権力闘争の状態です。
アドラーはこの対立構造について、次のように知恵のある対処方法と為になる示唆を本書で与えてくれています。
強制すると対立と権力闘争が起きます。そうではなく、相手に自分で決めさせ、相手の権利を認めると、対立が消え、相手は冷静に判断できるようになります。そして、冷静に考えて片付けが必要であれば、自分の意思で片付けるようになるでしょう。
このように、強制と対立を繰り返していると相手の共同体感覚は育ちません。叱られ強制されることで劣等感が強まり、自己信頼がなくなります。そして、強制してくる相手を敵だと思い、他者信頼がなくなります。その結果、社会での居場所もなくなるのです。
みなさん、家庭や職場や交友関係の場において、相手に無自覚に強制力を行使して、我を通していませんか? その瞬間は、自分の思い通りに相手をコントロールできているように表面上は見えているかもしれませんが、長い目で見れば、そういう人間関係は砂上の楼閣で、いずれ崩壊します。やがて、誰もあなたの主張を受け入れることは無くなるでしょう。
相手をして、自分が望む通りの行動をしてほしいと思ったら、相手を支配するのではなくて、相手が自分であなたの意に沿うような行動を採るように、自分で決めさせてはどうでしょうか? 人は、自分の自由意思で行動する時ぐらい、強い行動力を示さない時はありません。
そして、相手の権利を尊重するように、あなたの言動を持っていくのです。そうすれば、相手は、子供だろうが部下だろうが徐々に自己信頼と他者信頼を醸成して、家庭や職場に居場所を見つけて、共同体感覚を養うことができるようになるでしょう。
アドラーは最後にこう締めくくっています。
共同体感覚を養う第一歩は強制をやめること。人から尊重される体験を増やすことなのです。
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