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マルクス・アウレリウス・アントニヌス(4)お前がこんな目に遭うのは当然だ。今日善くなるより明日善くなろうとしているからだ。

経営コンサルタントのつぶやき_アイキャッチ 名言・格言
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今日できることを明日にのばすな!

お前がこんな目に遭うのは当然だ。今日善くなるよりも、明日善くなろうとしているからだ。

マルクス・アウレリウス・アントニヌス

アウレリウス胸像(メトロポリタン美術館所蔵)

(第16代ローマ皇帝 / 121~180)

この文句って、受験英語で覚えるあのことわざにちょっと似ていますよね。

“Never put off till tomorrow what you can do today .”
(今日できることを明日にのばすな)

一方で、真逆の”ことわざ”も存在します。”ことわざ”というものは、そういうものです。

“Never do today what you can put off till tomorrow.”
(明日に延ばせることを今日するな)

この考え方は、管理会計やファイナンスの世界ではなじみやすく、あの「機会コスト(機会損失、Opportunity cost、オポチュニティ・コスト)」と同じ原理です。それは、エリヤフ・ゴールドラットの「制約条件の理論(TOC:Theory of Constraints)」と同根のものです。

光陰矢の如し。人生は短い。だから、この1分、1秒を大切にしなければならない。一番聡い時間の使い方を選択すべきである。時間当たり、一番生産性の高い(リターン・効用を最大化できる)ことに時間を用いるべきである、というものです。

今日できることか、明日にならないとできないことか、それはその時の事情によりますが、もし、複数の選択肢が存在するならば、そのタイミングでそれを優先的にやらねばならない理由をきちんと認識したのちに、採るべき行動を選択すべきでしょう。

ミクロ経済学でいうところの、予算制約内で、効用最大化を目指す消費者行動を探ることと同じですね。この場合、時間の縛り(例えば、1日24時間しかない)が予算制約に該当するのでしょう。まあ、問題はどうやって適切な効用関数を設定するより、自分の効用関数がどんな形状をしているのかを知るほうが、よっぽど難しくて、そっちを解決すれば、たいていのことは判断がつくのですが、、、^^)

では、冒頭のマルクス・アウレリウス・アントニヌスの言葉はどのように解釈すべきなのでしょうか。

今、目の前のことに最善を尽くすのを後回しにする理由だけは存在しない

マルクス・アウレリウス・アントニヌスのストア派として真っ当な姿勢が、この短い言葉に見事に凝縮されているのだとつくづく思います。彼は、今日と明日を天秤にかけることすら許していないのです。常に、最善を尽くすことに全力を傾けるべし、と強く自分に言い聞かせているのです。一体、どこまでM体質なのでしょうか???

今日か明日かの選択の問題は、彼にとって存在すらしていないのです。1ミリ秒たりとも、最善を尽くすことに手を抜いてはいけない、と言っているのです。それは、背理法で説明しても成り立ちます。

証明したい命題:
$$P ⇒ Q$$
「今日善くなろうとせずに明日善くなろうとしているから、この身に災難が降りかかるのだ」

対偶:
$$\overline{Q} ⇒ \overline{P}$$
「この身に災難が降りかからないのは、明日善くなろうとせずに、今日善くなろうとするからだ」

だから、この身が無事息災なのは、今日この時に最善を尽くしている、からなのです。

ストア哲学と7つの習慣の私的成功

ストア哲学の原理として、人間が理性で認識できる世界だけが唯一の現実です。感情は人間による判断のひとつであることから、感情はそれが正しいにせよ、間違っているにせよ、知識の表現方法のひとつであると捉えます。

自分の感情をすべて理性に従わせることができたなら、感情に表れるのは常に正しい判断であり、それゆえ、私たちはものごとをあるがまま受け入れることができる、と考えるのです。

貪欲というのは、例えば、お金を得るために手段を択ばない、という誤った判断をしたことが表出した感情だと考えます。だとれば、正しい判断をすれば、自ずと「貪欲」さは表に出てこないわけです。内面的にも考えもしない、ということは”いわずもがな”です。

この原理は、スティーブン・コヴィーの「7つの習慣」、最初の3つ、「私的成功:Private Victory」にそのまま当てはまります。

第一の習慣:主体的である(Be Proactive)
第二の習慣:終わりを思い描くことから始める(Begin with the End in Mind)
第三の習慣:最優先事項を優先する (Put First Things First)

第一の習慣:主体的である
「自分の身に起こることに対して自分がどういう態度を示し行動するかは、自らで決めることができる」
「問題解決に向け率先してことを行う」
「より良いものを持つのではなく、自分がより良くなる」

第二の習慣:終わりを思い描くことから始める
「万物にはまず人の頭の中で知的にものが作られ、それから実際に物的にそのものが作られる」

第三の習慣:最優先事項を優先する
「第二の習慣を身に付けたなら、それを具現化し、自由意志を発揮し、毎日の瞬間瞬間において実行する」
「価値観に調和した生活を送るために、効果的な自己管理を行う」

それにしても、「お前がこんな目に遭うのは当然だ。」と日記(自省録)に書くまでに至った大事が彼の身の上に降りかかったということは分かるのですが、それが一体何だったのか、彼以外の誰も知らない、という歴史上の謎も大変興味深いことですね。

Netflix で、彼とその息子の身の上に起きたドラマを窺い知ることができるプログラムはこちら(これは、Netflixオリジナルコンテンツなので、Amazon Prime や Fulu では視聴することができません)。

Watch Roman Empire | Netflix Official Site
This stylish mix of documentary and lavish historical epic chronicles the turbulent, violent reigns of Commodus, Julius ...

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