■ 欠陥を転じて機能となす
このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。
本書P46には、仕立て屋レビンのお話があります。
(原文の意図を尊重し、「片輪」「びっこ」という言葉をそのまま使用します)
ある男がオーダーメイドのスーツを作ろうと仕立て屋レビンの元を訪れました。彼のお店は安いという噂を聞きつけて。彼がスーツを注文して試着してみると、身体に全然合いませんでした。
「この上着は背中の方が全然大きすぎるよ」
「心配ありません。背中を丸めて着こなせば上着のたるみを取ることができます」
「右腕が3インチも長すぎるよ」
「心配ありません。身体を傾けて右腕を伸ばせば袖丈が合います」
「このズボンは左脚が短すぎるよ」
「心配ありません。左脚をお尻の方へぐっと曲げれば、ひどくびっこをひくことになるけれど、ズボンはあっているように見えます」
もう苦情のネタが改善されたので、その男はもしかするとカモにされたのかな、と半信半疑で新しい服を着て通りを歩いていました。すると200mもしないうちに見知らぬ男に呼び止められました。
「恐れ入りますが、着ていらっしゃるそれは、新しい服ですか?」
呼び止められた男は、新しい服が注目を引いたので満足気に「そうです」と答え、なぜ呼び止められたのか理由を聞き返しました。
「いや、私も新しい服が欲しかったところなんです。私もレビンのお店で服を作ることにします。だって、あなたのような片輪に合うスーツが作れるんだから、レビンは間違いなく天才ですからね!」
■ ゴーマン法則
仕立て屋レビンはまっすぐに縫うということができなかったので、安売りで商売をするしかなかったのです。しかし、まっすぐに縫えるようになろうと努力する代わりに、もっとうまい商売法を発見したのです。そう、彼は「ゴーマン法則」を発見・採用したのです。
なおせなかったら機能にしてしまえ。
仕立て屋レビンは、数人の片輪の人向けのスーツを作った後、自分の首を吊ることはなく、その代わりに立派な看板を吊ることになりました。「天才洋服師レビン――片輪専門」
情報システム(IT)の世界で、様々な問題に悩まされているプログラマーやSEの人たちは、とんでもないことが起きる情報システムの世界で様々な脅威や袋小路の問題にいつも悩まされています。彼らは、自分たちの精神的安定を得るために、もしくは職と収入を得るために、「ゴーマン法則」を採用することにしたのです。
この法則を見出して実践している情報システム構築関係者は本当に幸せだと思います。(^^;)
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