■ 仕立て屋レビン以外にも天才は存在する
このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。
本書P47-48には、仕立て屋レビン以外の、大変面白いいろんな業界における「ゴーマン法則」の数々を観察することができます。
(1)食肉業界
屠殺された動物の身体のある部分については、だれにも好んで食してもらうような売り物にはならないところがあります。そこで、彼らはその部位をソーセージやホットドックに入れることにしました。とある食品会社はこのことを隠す代わりに次のように広告を打つことで欠点をセールスポイントにしました。
「当社のホットドックは特別の肉で作ってあります」
(2)モーテルの設計者
各部屋に用意する浴室を窓付きにすると、外壁上の貴重なスペースを占有してしまうことに頭を悩ましていました。そこで彼らは換気扇をつけることを次に考えました。しかし、換気扇設計者たちは、シャワー付きの小さいスペースからしっかりと蒸気を外に逃がすだけの換気扇を安く作れる見込みが立ちませんでした。
そこで、そのモーテルの経営者は、「各浴室に豪華赤外線灯が付いています」というサービスを考え出しました。
(3)井戸掘り業者
19世紀初頭に、井戸掘り業者が求めたものは水か塩を掘り当てることでした。不運なことに、彼らの中には石油に行き当たったために、せっかく掘った井戸が台無しになることも多かったのです。ついに、G.H.ビッセルが、このべたべたしたものが何かの役に立たないかを調べようと決意しました。彼は、それを蒸留することで、灯火用のガスとか、パラフィン蝋とか、潤滑油とか、灯油といった有用な物質を作れることを発見しました。そこで、彼は、それら失敗作の井戸を「油井」と呼ぶことにし、ひと財産作り上げたのです。
しかし、彼らの蒸留工程では、有用な物質の他に、「ガソリン」と呼ばれる使い道のない、危険な副産物が出て困っていました。数年後、別人が再び「ゴーマン法則」を適用し、自動車の燃料にすることを思いついたのです。
(4)製薬業界
製薬業界では、長い時間と開発費用をかけた新薬に、受け入れがたい副作用があることはしばしば起こることでした。その場合、それまでの研究成果を打ち捨てる代わりに、副作用の方を主たる作用であると宣言すれば、それは画期的な新薬に生まれ変わることも同時に知られていました。
ある高血圧治療薬に、髪の毛をおびただしく成育させる副作用が見つかりました。その薬は、ハゲの特効薬として売り出されることになったのです。
(5)バナナ売り
一般消費者は、醜いしみのある果物を買いたがらなかったので、当初、チキータ・バナナは一向に消費者に見向きもされませんでした。そこで、全てのラジオ局で放送されるラジオ番組で一斉に、チキータ・バナナのコマーシャルソングを流しました。
「茶色のソバカス、黄金の色合い、そのときバナナは味も最高、身体にもいい」
(6)入場者の少ない劇場
いつも同じ出演者ばかりでマンネリになり、閑古鳥が鳴く劇場がありました。
そこで、画期的な広告を打って、大いに客を呼び込むことに成功します。
「良いお席がたくさんございます」
(7)薬効が低い薬を製造した製薬会社
自社開発した新薬が競合相手のどの薬よりも薬効が著しく低いことが判明しました。
そこで、画期的な広告を打って、大いに新薬の販売を伸ばすことに成功しました。
「どのカプセルにも他社よりより多くの薬が入っています」
同種のお話は、3Mのポストイットにも言えます。その他にも、多くの類似事例を目にすることがあります。
能力に欠けたコンピュータメーカーは、彼らの極端に長い納期は、「お客様に新しい機種のための準備をしていただくため」
売れ残りの在庫を山のように抱えている流通業者の売り文句はこう。
「即納できます!」
物は言いよう伝えよう。
次回は、コンサルタントの物言いをご紹介予定。(^^)
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