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ソフトバンク、人工知能でIBMと提携 国内展開へ 銀行営業や新薬開発を支援

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■ じわじわと人工知能のあなたの生活と仕事への浸透が始まっています

経営管理会計トピック
人工知能がホワイトカラーと熟練工の仕事を奪っていく、あまり愉快ではない近未来の予測をしたことがあります。
⇒「日本IBM、「ワトソン」分析をクラウドで提供 人工知能に質問、答え導く
⇒「熟練工の技、ロボで伝承 オムロン、サイバーダインと開発
⇒「働き方 Next 技術革新で生き残るには 「機械とともに働く能力を」
これらの投稿後、友人知人と語らいましたが、あまり皆さんの危機感は高くありませんでした。今回は、具体的に、「銀行窓口業務」や「新薬開発」といった職業の代替が試みられることが挙げられています。それでもあなたは安穏としていられますか?

2015/2/10|日本経済新聞|朝刊
ソフトバンク、人工知能でIBMと提携 国内展開へ 銀行営業や新薬開発を支援

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「ソフトバンクは米IBMと人工知能(AI)サービス事業で提携する。コンピューター自らが学習するIBMのAI「ワトソン」を使って、銀行の個人向け営業の助言や製薬会社の新薬開発の支援など幅広い用途で業務効率を高めるサービスを年内に日本で始める。両社で5年後に1千億円規模の売上高を目指す。」

■ そして、ロボットと組み合わせられることも語られました

さらに、「人工知能」によるサービスを利用する際に、対人間へのインターフェースにロボット、ソフトバンク肝煎りの「ペッパー君」を活用するアイデアが既に考えられています。
「先進的な技術を使ったサービスであることをアピールするため、銀行や小売りの店頭ではソフトバンクが開発したヒト型ロボット「ペッパー」を使った接客で情報提供する。」
新聞記事によると、
「ワトソンは人の言葉や文章を理解し、文献や過去のデータを基に利用者の希望にあった最適な答えを提案できるのが特徴だ。複数の要素を組み合わせて新しいパターンを提案する機能もあり、有効成分を特定する新薬開発などへの活用が期待できる。」
とあるため、所詮、過去データを検索する便利さが増すだけ、という受け止められ方がまだ大勢のようです。この点だけに着目すると、株式投資の世界で、「過去のチャートだけを見て、将来は予想できない(ファンダメンタルズ派)」という意見と、「チャートはすべてを語っている。チャートを見れば将来もある程度予想できる(テクニカル分析派)」という意見が対立している構造を思い出します。
ここで基本の整理ですが、人工知能の持つ有力なアルゴリズムのひとつに、「クラスター分析」があります。多変量解析手法のひとつで、与えられたデータを外的基準なしに自動的に分類する手法です。ですので、なぜだか理由は分からないけど、こういう組み合わせやグルーピングすると、ひとつの属性・特徴が最適に選択される、というものです。
こういうアルゴリズムを有し、各種センサーを用いてリアルタイムでインプット情報(それには人間が発する言語も含まれる)を解析し、最適解を提供する、その際に、参照するデータの豊富さが、一人の接客要員の頭脳の中にある暗黙知だけでは勝負にならないくらいに、豊富な電脳世界の情報を一瞬にして収集して答えを見つけてしまう点が強みのひとつでもあります。
さらに、自己学習・データ蓄積機能があるので、インプット情報を投入すればするほど、返ってくる提案の的確性が高まります。

■ 最後は、完全無人を目指します

ここから、別の新聞記事を紹介します。

2015/2/12|日本経済新聞|朝刊
コマツ、建機完全無人へ ロボベンチャーに出資、自動走行実現で総仕上げ

「コマツは完全に無人で動く建設機械を開発する。整地や掘削作業を自動制御する建機は市場に出したが、現状では建設現場での走行など基本操作は人に頼っている。自動運転車両やロボットなどを開発するベンチャー企業ZMP(東京・文京)に出資し技術を取り込み、次世代建機を実用化する。」
コマツは、既に「全地球測位システム(GPS)やセンサーなどを活用し、無人運転や作業の自動化に対応した機械を開発」しており、「KOMTRAX(コムトラックス)」として、2008年から実用化しています。
自動運転や、保守パーツの交換アラームや鉱山機械の稼働率監視(中には盗難防止も)も、全てはGPS技術が中心です。つまり、衛星軌道からの監視と、収集データの集中管理が技術の中心でした。
これが、今回の提携により、
「コマツの無人ダンプや自動建機はGPSの位置情報を使って制御する。ZMPはGPSに頼らず、カメラやセンサーなどで周囲の状況を把握できる点に強みがあり、協業で製品力を高める。」
とあるので、衛星軌道からの監視・指示出しではなく、「センサー」と「人工知能」を搭載した個々の建機が自律的に自己制御を始める、という点で画期的な進化となります。
どうですか? たった3日の間に、経済紙でこのような筆者としては戦慄を覚える新聞記事が立て続けに掲載されています。
(細かい関連記事を含めればもっと多数にのぼりますが)
いたずらに皆さんの危機をあおるのが目的ではなくて、まだ職業人生が20年程度以上残っている方、ご子息・子女が学生で、これから職業人となる親御さん達、賢明な職業選択と、職業訓練をゆめゆめ怠らないように、という注意喚起です。
筆者自身はもう手遅れかもしれませんが、息子と娘には、人工知能に置き換わりにくい職業に就くことを進めています。娘は人工知能が参入しにくい業態での接客業への就職が決まりましたし、息子には、人間の生身の肉体を使わないとできない職業に就くための訓練を日々行わせています。
はい、我が家で最も失業のリスクが高いのは自分自身でした。。。(^^;)

■ (追記) ソニーもZMPに出資

2015/2/14|日本経済新聞|朝刊 ソニー、自動運転技術開発へ ベンチャーと共同 建機・農機にも応用

「ソニーは自動運転技術の開発に乗り出す。ロボット開発のZMP(東京・文京)に出資、ソニーの持つ画像センサー技術とZMPの人工知能の技術を融合する。共同開発したカメラ複合部品を国内外の自動車メーカーに売り込む。少子化に伴う人手不足解消の手段として注目される建機や農機向けなどにも供給、先行する米グーグルなどに対抗する。」
ソニーの出資比率は2%程度で、出資額としては約1億円。
自前の車載用画像センサーにZMPのソフト技術を組み合わせ、カメラ複合部品として供給する目算です。
「センサー」+「人工知能」+「ロボット」。
この組み合わせ技術の話がしばらく続きそうです。

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