■ 「事実」と「真実」とは全く異なる!
このシリーズは、現在、東レ経営研究所特別顧問:佐々木常夫さんの16万部を超える「課長本」の決定版の1冊から、私が感銘を受けた言葉をご紹介(時には、私のつまらないコメント付きで)するものです。
佐々木さんのご紹介:オフィシャルサイト
この節は、まずは佐々木さんが着任後に速攻でやらねばならぬ担当する課の現状把握のポイントを列挙しているところから始まります。
(1)組織のミッション
課として成すべき「重要課題」や「緊急テーマ」
(2)部下の働く環境
業務分担、能力、モチベーション、メンタルヘルス、家族状況
(3)リーダーの位置づけ
上司(ここでは部長)の存在感
ここで、佐々木さんは、こういう現状把握のための情報収集として、前任者の課長からの引継事項を鵜呑みにしてはいけないと強くクギを刺されています。なぜなら、ヒトというのは、自分の都合の良いように「事実」を解釈して、自分が思う「事実」(これを私は、当てこすりの意を持って、「真実」と呼んでいます)に色眼鏡を使って見えたものを、さも本当のことのように伝えている可能性を完全に否定できないからです。
特に、部下に対する人事評価を真に受けること厳禁なのだそうです。
人事評価は、人が人を評価するので、「絶対水準の視線」に欠けるからです。どうしても、その人の価値観や嗜好性の影響を受けるのです。だから、安易に前任課長の評価を「事実」と受け取ることによって、「人材を殺す」ことすらあることを肝に銘じなければなりません。
さすれば、佐々木さんは部下一人一人と面談する際に何にきをつけていらっしゃったか?
(1)「課の中で一番若い人から順番に話を聞いた方がよい」
(2)「部下の本音を引き出すためには、多面的に質問する」
(1)については、佐々木さんなりの鋭い観察眼が皮肉も効いていて読んで面白かったです。
若い人はキャリアが短い分わりあい無防備ですから、あまり慎重にならず好きなことを話してくれるからです。それに、課長が変わったのをチャンスに、日ごろ抑えていた不満を口にすることもあります。現状を把握する材料をたくさん提供してくれるのです。
これを読んで思わず“にやり”としてしまいました。(^^;)
さて、私自身はこのお題について、どう実践しているか?
コンサルティングファームに属していると、新しいプロジェクトが起こる度に、毎回、プロジェクトメンバーを新規に選び直します。メンバー選抜に先立って、候補者に関する人事情報が公式・非公式に自分の手元に集まります。
その大抵は、あくまで参考情報として留めておくことにしています。実際に面談をしたり、一緒に仕事をしてみた時に得られる一次情報しか当てにならないことを経験的に知っているからです。
だって、自分のことに置き換えて考えて見てください。誰にでも、いつでも同じ態度で接し、いろんな種類の仕事をやらされても、いつも同じ作業品質でタスクを遂行することなんて、実際にはあり得ないんです。
さらに、評価する人の立場(チームリーダー、プロジェクト・マネージャー、部下、同僚、サブチームの間接的関係者など)によって、コンサルタントの立場が違えば、見えてくる・感じる印象は全く異なります。部下にやさしい包容力のある上司は、そのまた上司から見れば、部下に甘くてリーダーシップをはっきすることができないダメな中間管理職として目に映るかもしれません。
私は、プロジェクトチームを組成する際、決して、他人の評価や噂を当てにせずに人選や仕事の割り振りを決定しています。人が人を評価することほど、難しいものはない、という結論に至るまで、嫌な経験を何度もしてきましたから、、、(><)/
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