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孫子 第9章 行軍篇 44 敵の近くして静まる者は

経営戦略(基礎編)_アイキャッチ 孫子の兵法(入門)
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■ 敵軍における各種の兆候から、意図や実情を汲み取る!

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1.落ち着いている敵
敵が自軍の近くにいながらにして、平然と静まり返っているのは、敵軍が占める地形の険しさを頼りにしているからです。

2.誘ってくる敵
敵が自軍から遠く離れて布陣しているにもかかわらず、戦を仕掛けて自軍の進撃を願うのは、敵軍が戦列を布いている場所が平坦で戦闘に有利だから誘ってきているのです。

3.移動してくる敵
多数の木立がざわめいて揺らぐのは、敵軍が森林の中を移動してきているからです。

4.見え見えの罠を仕掛けてくる敵
あちこちに草を結んで覆い被せてあるのは、伏兵の存在を疑わせて自軍の進行を遅らせようとする欺瞞です。

5.伏兵を潜ませている敵
草むらから鳥が飛び立つのは、伏兵が散会しているからです。

6.奇襲する敵
獣が驚いて走り出してくるのは、森林に潜む敵軍の奇襲攻撃です。

7.砂塵を巻き上げている敵
砂塵が高く舞い上がって、それぞれの筋の先端が尖って見えるのは、戦車部隊が進撃してくるからです。
砂塵が低く垂れこめて一面に広がっているのは、歩兵部隊が進撃してくるからです。
砂塵があちこちに分散して、細長く筋を引くのは、補助部隊が手分けをして薪を集めているからです。
砂塵の量が少なくて行ったり来たりするのは、設営部隊が軍営を張る作業をしているからです。

8.時間稼ぎをする敵
敵の軍使の口上がへりくだっていて、防備が増強されているのは、進撃の下準備を粛々と進めているからです。
敵の軍使の口上が強硬で、先頭部隊が進攻してくるのは、退却の下工作です。

9.陣立て作業をする敵
隊列の中から軽戦車が真っ先に抜け出して、敵軍の両側を警戒しているのは、行軍隊形を解いて、陣立てをしているからです。

10.偽和睦を申し出てくる敵
敵の軍使が窮迫した事情もないのに和睦を申し出てくるのは、こちらを油断させようする陰謀です。

11.戦闘準備に入る敵
伝令が慌ただしく走り回って、各部隊を整列させているのは、会戦を決意しているからです。

12.挑発してくる敵
敵の部隊が中途半端に進撃してくるのは、自軍を誘い出そうとしているからです。

(出典:浅野裕一著『孫子』講談社学術文庫)

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産業スパイを雇ったり、従業員を引き抜いて機密情報を手に入れるのは法に触れますが、マーケットでの陳列や営業手法、製品レパートリーや決算情報、プレスリリースをじっくりと観察すれば、そのコンペチターが、今雌伏の時を過ごしているのか、傲慢にも利益をむさぼっているのか、油断しているのか、こちらを警戒しているのか、どういう状態かを見極めることができます。孫子は観念的に、「13 彼を知り己を知らば、百戦して殆うからず」とただ言い放つのではなく、具体的に敵情を探る術まで言及しています。

残念ながら、孫子が示してくれた、敵情を探るための兆候パターンとその分析結果パターンについて、現代ビジネスでは文字通りには使用できないのですが、開発や営業部隊の動向、広報部隊の言動から、コンペチターの内部事情を推し量るヒントが満載の節になっています。

敵の軍使の言動云々については、すべてが欺瞞に満ちているから、その裏をかけ、というのは大変含蓄のある言葉だと思いますが、如何でしょうか?現代版のネゴシーエーション技術のはしりという感じです。

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