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洋インキHDの今期ROE8%に改善 最高水準に迫る

経営管理会計トピック とことんROE
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■ ROE向上は目的か手段か

経営管理会計トピック
時を同じくして、9/12の日経新聞の朝刊17面に、配当で株主に報いようとする2つの企業の記事が並んで掲載されました。

2014/9/12付 |日本経済新聞|朝刊
洋インキHDの今期ROE8%に改善 最高水準に迫る

2014/9/12付 |日本経済新聞|朝刊
CFO投資家に語る② 三菱重工業

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

東洋インキSCホールディングスの記事では、
「2015年3月期のROEは、過去最高だった11年3月期(8.2%)に迫る水準となる」
とあるので、一応ROEの計算方法を当時の有価証券報告書から確かめてみました。
東洋インキHDのROE
なるほど、「親会社説」ベースで「平残」方式ということが分かりました。
でも、「D」や「I」は連結B/Sには記載がない項目です。筆者が勝手に足したものを上記の表に付け加えました。
世の中でこれだけ注目を浴びている財務指標(ROE)が一発で算出できない科目表示。。。
ちなみに、FY12の「株主資本合計」と「その他の包括利益累計額合計」と「少数株主持分」を単純に合算すると、「純資産合計」と1百万円のズレが生じます。SEC基準の財務諸表は四捨五入誤差を許さないのですが、日本基準は今のところ許容されています。
さて、本題に入ります。
記事では、
「2期連続の増配により自己資本の増加を抑制することもROEの改善につながる」
「株主への利益配分の強化もROEの上昇要因となる」
とあります。
高ROE企業を集めた「JPX日経インデックス400」なる指標が公表され、投資家を呼び込むために、ROEの向上を財務戦略上の目標として設定している企業がますます増えてきたように思えます。
東証のホームページには、
「資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数を創生します。」
とありますので、ROEが高い企業は、きっと投資魅力が高いのでしょう。
ではROEの計算式を眺めて、よく考えてみてください。
ROE = 当期純利益 / 自己資本
= (当期純利益/売上高) × (売上高/総資産) × (総資産/自己資本)
= 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
高収益な事業を展開するか、資産効率を上げるか、自己資本の投資効率を上げるか、この3つの手段しかありません。
最後の財務レバレッジをより強化するには、分母の自己資本を減額する必要がありますが、これもいくつか手段があり、最近、日本で流行っているのは、次の2つです。

《リキャップCB》
転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行し、資金を調達すると同時に、自己株式を取得して自己資本を負債に置き換える方法(カシオ計算機、ヤマダ電機など)
リキャップCB

《株主還元強化》
手元資金(内部留保)を使って、自己株式を取得 and/or 配当性向を極端に上げる方法
(アマダは、今期と来期、当期純利益の100%株主還元を公表)
100%株主還元
アマダは、先述の「JPX日経インデックス400」に自社が入っていないため、大胆な財務戦略を採用しました。

  • まともな高収益事業の展開→収益力の向上→結果としてROE向上→投資家からの魅力向上(高株価)
  • 投資家からの魅力向上(高株価)を希望→ROE向上が必要→財務戦略上の工夫→経営リスクの増大

どちらの循環を良しとするか、財務担当者と投資家と双方のご判断にお任せします。
それにしても、人騒がせなJPX400、、、おっと失礼しました。

コメント

  1. TOYAMA より:

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    ROEの見方が分かりました。