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■ まいにち、「フィンテック」! 

経営管理会計トピック

フィンテック(FinTech)という文字を日経新聞で目にしない日は無いですね。人気コラムで「フィンテックの裏側」「「フィンテック熱」の裏に危機感」と続けて畳みかけられたので、耐え切れず、コメントを付けてしまいました。

ちなみに、保険と組み合わせるのは、「InsTech」(インステック)というのだそうです。

(参考)
InsTech(インステック)とは?(OFFICE LIFEより)

2016/2/26付 |日本経済新聞|夕刊 (十字路)フィンテックの裏側

「リーマン・ショックまで、欧米メガバンク(総合金融業者)は、自行の融資債権を証券化し、格付けを取得して投資家に販売する製造販売一体業務に傾注した。しかし証券化の原材料である住宅抵当融資が不良債権化し、しかも「総合金融」が融資やトレーディング、資産運用といった個別業務に分断され、統合的なリスク管理がおろそかになった。その後銀行は不良債権処理や自己資本増強に追われ、IT(情報技術)の高度化を含め前向きの投資を怠った。
 フィンテックは、こうした総合金融業を個別業務に分解し効率化する業務再編成だ。IBMのパソコン事業を、マイクロソフト(ウィンドウズ)、インテル(半導体)、デル(パソコン組み立て)が分解し、IBMから覇権を奪取したのと似ている。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

おっとっと。フィンテックは、金融業界(主に銀行業)における金融サービスのモジュール化を促進するという考え方ですね。業界標準(デファクトスタンダードでもOK)のプロトコルやアダプダーが用意されれば、誰でも金融サービスの部品を作って、提供して、商売にできると。

「そうした意味では、フィンテックの主役は銀行よりも、個別業務を推進するハイテク企業である。具体的には、仮想通貨(ビットコイン)や分散型勘定元帳を使った決済業務、クラウドファンディングの資金仲介業務、資産運用業務におけるロボアドバイザーなどがある。
 インターネットがメディアや音楽の世界を変えたように、「貨幣のインターネット」といわれるビットコインや、その基盤技術であるブロックチェーンが、金融業を大きく変えるかもしれない。」

何か、思いつくものすべて並べただけ感があるのですが、「ここらで世界一わかりやすく「FinTechとは何か」を説明しよう。」(hajipion.com)が、フィンテック・サービスの大変わかりやすい整理をして頂いているので、ここから分類を引用させて頂くと、

① お金の管理(家計のオンライン管理など)
  MoneyForwardZaimMoneytree
② 人工知能(AI)が利殖を助けてくれる
  お金のデザインWealthNavi
③ ソーシャルレンディング・クラウドファンディングの投資版
  AQUSHmaneoCrowdcredit
④ 送金・決済サービス
  LINE PayWebPaySPIKECoiney
⑤ 仮想通貨(BitCoinなど)の取引
  bitFlyerbitbankcoincheck
⑥ 世界の企業の財務状況調査支援サービス
  SPEEDAZUU

という感じになるそうです。

「従来の銀行は、預金通貨発行による決済と家計貯蓄を企業に融通する資金仲介を中核業務としてきた。両業務とも銀行の信用を基盤としたが、金融危機で信用が失墜した。
 今般の日欧のマイナス金利は、中央銀行の信用を賭けた政策といえる。これが定着し預金金利にまで及べば、企業の手元現預金の有効活用を促すかもしれない。しかし他方では預金より現金、現金より仮想通貨、銀行よりハイテク企業といった潮流変化を助長する可能性も秘めている。」

別途、仮想通貨(ビットコイン)の法制度整備のお話しは「日経新聞記事まとめ」として後日投稿させて頂きます。
(上記「仮想通貨」にリンクが貼られていたら、それが別投稿へのリンクです)

それにしても、おどろおどろしい記述が続きますね。

筆者は、
① 既存金融機関も、金融決済サービスの充実化・利便性向上の努力をしている
② 熱狂の渦にはまり込んでいるフィンテック投資熱はいつか覚めて、本物だけが残る
③ やがて、あらゆる産業のIT装備率が上がれば、「●●テック」などという人はいなくなる

と思っています。

 

■ まいにち、「フィンテック」! -2日目

2016/2/29付 |日本経済新聞|朝刊 (風速計)「フィンテック熱」の裏に危機感

「大手金融機関が金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の取り組みを加速している。最近では野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループなどが専門部署を設立し、日本取引所グループは日本IBMと組んで技術の実証実験をスタートさせることを決めた。各社は有望なベンチャー企業への資本参加なども視野に入れている。」

もうフィンテック系ファンド設立話は多すぎて、全部の新聞記事をトレースしきれないくらいです。

「にわかに高まってきた「フィンテック熱」。その裏側には、技術革新のスピードが予想外に速く、対応を急がないと既存の金融業界の秩序が脅かされかねないとの危機感がある。実際、米国の決済分野では、フィンテックの有力企業であるペイパルなどが台頭している。
 もっとも、米アクセンチュアなどによると、国内フィンテック企業への2015年の投資額は140億円弱にとどまる。世界全体では14年に既に1兆4000億円を超えており、うち8割を占める米国に比べると日本の投資額はわずか80分の1程度だ。」

「もっと、日本もフィンテックに投資を。欧米に遅れるな!」というメッセージなのか?

「「出資を検討しても、持続的成長を見込める国内の投資先は少なく、投資指標でみても割高になってきた」。大手金融機関のフィンテックの担当幹部からは嘆きも漏れる。バブル懸念も指摘されるなかで、技術革新の荒波にどう備えていくか。金融各社の悩みは深い。」

熱狂が渦巻いているうちは、株式でも不動産でも割高に決まっています。そしてバブルはやがてはじけるのです。「ユニコーン(評価額が10億ドル以上の企業)」と一部のIPO前のシリコンバレー系ベンチャーがもてはやされていますが、その内、何社が生き残るかは誰にもわかりません。

 

■ まいにち、「フィンテック」! -3日目

2016/3/2付 |日本経済新聞|朝刊 (大機小機)日本のフィンテックに必要なこと

「IT(情報技術)を使った新たな金融サービス「フィンテック」に関心が高まっている。先行する米国では決済、送金、口座管理、資金調達など、新しいフィンテックが続々と登場し、個人の生活や会社の取引慣行などを大きく変えようとしている。ユーザーが「銀行」の存在さえ意識しないまま、より手軽に関連サービスを受けられるケースも増えている。銀行業界が対応を誤ると、関連ビジネスがフィンテックに取って代わられ、業務縮小を余儀なくされる懸念すらある。」

既存の金融業界、銀行業界が金融サービス競争に立ち遅れて、全て新興フィンテック企業にとって代わられる、みたいな危機感があるのかもしれません。しかしですね、銀行法という業法で、銀行にしかできない業務というものがあります。

固有業務(第10条第1項)
・ 預金又は定期積金等の受入れ
・ 資金の貸付け又は手形の割引
・ 為替取引

どんなにIT系テクノロジーが素晴らしくても、銀行法上の営業免許が無ければ、上記3つの固有業務はできません。

既存金融機関の頑張りは次の投稿をご参照ください。
⇒「フィンテック 既存金融機関の逆襲 2015年12月 冬の陣 日本経済新聞より
⇒「(真相深層)張り子の「24時間宣言」 振込時間、全銀協が延長方針 政官と民、足並みそろわず

「我が国のフィンテックは、いまだ欧米の技術を模倣することが中心の発展途上の段階だ。しかし、海外送金のように手数料が高かった分野では関連ビジネスが急拡大し、これまで銀行が事実上独占してきた業務に風穴を開けつつある。メガバンクも危機感がないわけではない。いくつかの大手行がIT企業とフィンテックで連合を組むなど、新たな取り組みも見られる。」

<既存金融機関のフィンテック対抗策>
① フィンテック企業を取り込んで競争しない(出資、業務提携)
② 既存金融システムの利便性の向上(真っ向勝負!)
③ 法改正により自らがフィンテック事業を立ち上げ(なり代わり戦略)
④ フィンテック専門家の知恵を拝借(知らねば聞け!)

上記の「フィンテック 既存金融機関の逆襲 2015年12月 冬の陣 日本経済新聞より」でもひとつずつ詳解しましたが、既存金融機関にはこの4つの対応策に対する選択権があるわけです。しかも、既存の膨大な顧客資産を有効活用できる素地の上で。新興フィンテック企業の名前は知らなくても、みずほ、三菱UFJ、三井住友は皆が知っている名でしょう。新たなフィンテック市場でも有利に競争をしようとすれば、できるポジションにいます。

「ただ、フィンテックといえども、あくまで顧客は一人ひとりの人間である点は忘れてはならない。例えばネット経由で不特定多数から投資を募るクラウドファンディングでは、投資家に手書きの礼状をホームページ上に掲載することがしばしば重要となる。
 最先端のデジタル技術を駆使する場合でも、顧客に満足してもらうには、時には極めてアナログな対応も必要になるというわけだ。とりわけ「おもてなし」に慣れ親しんできた日本の顧客は、サービスに対する要求水準が高い。フィンテックが顧客の満足するきめ細かなサービスを提供できなければ、その発展はやがて頭打ちとなる。」

デジタル + リアル(おもてなし) これ最強のビジネスモデル!

「金融庁もフィンテックの普及に向け、銀行や銀行持ち株会社の業務範囲規制を緩和するなど、環境整備に乗り出している。これによって、日本の銀行はますますフィンテックに取り組みやすくなったはずだ。あとは銀行側が、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、日本独自のフィンテックを生み出していくことが重要となる。
 日本企業には世界でもトップクラスの安全・安心に対する信頼がある。そのような日本の強みとITをうまく融合することができれば、日本でも従来と違う幅広い顧客層に、フィンテックが拡大していく可能性が開ける。」

当局や既存金融機関の対応スピードの遅さが、生き馬の目を抜くIT業界とは段違いに遅いことは、次の投稿を確認して下さい。
⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(3)IT・金融・当局のうごき 日本経済新聞より

 

■ まいにち、「フィンテック」! -4日目

2016/3/3付 |日本経済新聞|朝刊 (大機小機)日本のフィンテックに必要なこと

「金融とIT(情報技術)を組み合わせた新たな産業分野「フィンテック」の裾野が急速に広がっている。東京大学の金融教育研究センターはこのほど「フィンテック研究フォーラム」を立ち上げた。代表を務める柳川範之教授は「学術論文などでの成果発表に加え、社会に提言を出すことも考えたい」と意気込む。」

「コンサルティング大手のアクセンチュアの調査では、アジア太平洋地域のフィンテックへの投資額は2015年1~9月で約35億ドル(約4千億円)。14年の1年間に記録した約8億8千万ドルから大きく伸びた。」

(下記は同記事添付の「アジア太平洋地域のフィンテック投資」の増加を示すグラフを転載)

20160303_アジア太平洋地域のフィンテック投資_日本経済新聞朝刊

はい、ここまでは、現在、フィンテックがアカデミズムでも盛り上がっていることを再確認して、、、

「フォーラムは経済学者・法律家に加えて金融の実務関係者やITの専門家なども交え、フィンテックの影響を多角的に分析する。例えば仮想通貨の普及が金融政策に与える影響や、欧米に比べフィンテックで出遅れている国内金融機関の競争力を維持していく方策なども議論する予定だ。」
「規制のあり方も重要なテーマだ。フォーラムに参加する増島雅和弁護士は「デジタル時代は事業者と利用者の境界が曖昧になる。法律もそれにあわせて変えていく必要がある」と指摘する。」

これは次の新聞記事が参考になるはず。

2016/1/27付 |日本経済新聞|朝刊 デジタルとルール(下)ネットが変える「契約」 合意も実行も瞬時に

「インターネットを介して取引する「ピア・ツー・ピア(P2P)」金融では、個人も事業者になりうる。ただ旅館業法の許可を得ない民泊が違法とみなされるように、法的な位置づけが曖昧なままでは、新たなビジネスの可能性を狭めてしまいかねない。」

民泊も、ウーパーも、法規制の壁に直面しています。

世の中の暮らしをもっとよくしたい → テクノロジーや方法論のイノベーション → 法規制の改変

という順番は、法定安定性を担保する法治主義を是とする以上、どうしても時間軸上の遅れが生じざるを得ません。ただ、欧米のように、日本の司法・立法の関係各署も、専門分野ごとに細分化すると、その対応スピードが上がると一般には言われています。スペイン人の知り合いから、日本の弁護士事務所が、弁護士個人の得手不得手こそあれ、離婚協議から知財権上の争いまで、一般的にはなんでも引き受けることを説明したら、呆れられた覚えがありますが、、、

「フォーラム設置を記念して、3月11日に東大の本郷キャンパスで公開シンポジウムを開く。学術的な視点でフィンテックを研究する動きはまだ少なく、成果が注目される。」

(参考)
公開シンポジウム「フィンテックとこれからの金融システムのあり方」のご案内

公開シンポジウム

フィンテックとこれからの金融システムのあり方
•日時: 2016年3月11日(金)  14:00-20:00
•会場: 東京大学本郷キャンパス 伊藤謝恩ホール
•主催:東京大学金融教育研究センター(CARF)

AI、IoT、ビッグデータ、、、

バズワードに踊らされることなく、経済合理性とアニマルスピリッツを持ち合わせて、沈着冷静かつアグレッシブに本物を見極める努力が必要だと日々考えております。

という筆者のブログ記事において、こうしたテクロノジー系を取り上げたものが最近増殖中ですが、、、誰ですか、このブログは本来、管理会計がテーマだったんじゃないかと突っ込みを入れている人は? すみません。自分が躍っていました。m(_ _)m

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日本経済新聞の人気コラムで続けて「フィンテック」が取り上げられる -その裏側と熱狂を斬る!http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭テクノロジーAQUSH,bitbank,bitFlyer,CARF,coincheck,Coiney,Crowdcredit,FinTech,IBM,InsTech,LINE Pay,maneo,MoneyForward,Moneytree,SPEEDA,SPIKE,WealthNavi,WebPay,Zaim,ZUU,お金のデザイン,インステック,クラウドファンディング,ビットコイン,フィンテック,フィンテック研究フォーラム,ブロックチェーン,マイナス金利,ユニコーン,仮想通貨,銀行法■ まいにち、「フィンテック」!  フィンテック(FinTech)という文字を日経新聞で目にしない日は無いですね。人気コラムで「フィンテックの裏側」「「フィンテック熱」の裏に危機感」と続けて畳みかけられたので、耐え切れず、コメントを付けてしまいました。 ちなみに、保険と組み合わせるのは、「InsTech」(インステック)というのだそうです。 (参考) ● InsTech(インステック)とは?(OFFICE LIFEより) 2016/2/26付 |日本経済新聞|夕刊 (十字路)フィンテックの裏側 「リーマン・ショックまで、欧米メガバンク(総合金融業者)は、自行の融資債権を証券化し、格付けを取得して投資家に販売する製造販売一体業務に傾注した。しかし証券化の原材料である住宅抵当融資が不良債権化し、しかも「総合金融」が融資やトレーディング、資産運用といった個別業務に分断され、統合的なリスク管理がおろそかになった。その後銀行は不良債権処理や自己資本増強に追われ、IT(情報技術)の高度化を含め前向きの投資を怠った。  フィンテックは、こうした総合金融業を個別業務に分解し効率化する業務再編成だ。IBMのパソコン事業を、マイクロソフト(ウィンドウズ)、インテル(半導体)、デル(パソコン組み立て)が分解し、IBMから覇権を奪取したのと似ている。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます おっとっと。フィンテックは、金融業界(主に銀行業)における金融サービスのモジュール化を促進するという考え方ですね。業界標準(デファクトスタンダードでもOK)のプロトコルやアダプダーが用意されれば、誰でも金融サービスの部品を作って、提供して、商売にできると。 「そうした意味では、フィンテックの主役は銀行よりも、個別業務を推進するハイテク企業である。具体的には、仮想通貨(ビットコイン)や分散型勘定元帳を使った決済業務、クラウドファンディングの資金仲介業務、資産運用業務におけるロボアドバイザーなどがある。  インターネットがメディアや音楽の世界を変えたように、「貨幣のインターネット」といわれるビットコインや、その基盤技術であるブロックチェーンが、金融業を大きく変えるかもしれない。」 何か、思いつくものすべて並べただけ感があるのですが、「ここらで世界一わかりやすく「FinTechとは何か」を説明しよう。」(hajipion.com)が、フィンテック・サービスの大変わかりやすい整理をして頂いているので、ここから分類を引用させて頂くと、 ① お金の管理(家計のオンライン管理など)   MoneyForward、Zaim、Moneytree ② 人工知能(AI)が利殖を助けてくれる   お金のデザイン、WealthNavi ③ ソーシャルレンディング・クラウドファンディングの投資版   AQUSH、maneo、Crowdcredit ④ 送金・決済サービス   LINE Pay、WebPay、SPIKE、Coiney ⑤ 仮想通貨(BitCoinなど)の取引   bitFlyer、bitbank、coincheck ⑥ 世界の企業の財務状況調査支援サービス   SPEEDA、ZUU という感じになるそうです。 「従来の銀行は、預金通貨発行による決済と家計貯蓄を企業に融通する資金仲介を中核業務としてきた。両業務とも銀行の信用を基盤としたが、金融危機で信用が失墜した。  今般の日欧のマイナス金利は、中央銀行の信用を賭けた政策といえる。これが定着し預金金利にまで及べば、企業の手元現預金の有効活用を促すかもしれない。しかし他方では預金より現金、現金より仮想通貨、銀行よりハイテク企業といった潮流変化を助長する可能性も秘めている。」 別途、仮想通貨(ビットコイン)の法制度整備のお話しは「日経新聞記事まとめ」として後日投稿させて頂きます。 (上記「仮想通貨」にリンクが貼られていたら、それが別投稿へのリンクです) それにしても、おどろおどろしい記述が続きますね。 筆者は、 ① 既存金融機関も、金融決済サービスの充実化・利便性向上の努力をしている ② 熱狂の渦にはまり込んでいるフィンテック投資熱はいつか覚めて、本物だけが残る ③ やがて、あらゆる産業のIT装備率が上がれば、「●●テック」などという人はいなくなる と思っています。   ■ まいにち、「フィンテック」! -2日目 2016/2/29付 |日本経済新聞|朝刊 (風速計)「フィンテック熱」の裏に危機感 「大手金融機関が金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」の取り組みを加速している。最近では野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループなどが専門部署を設立し、日本取引所グループは日本IBMと組んで技術の実証実験をスタートさせることを決めた。各社は有望なベンチャー企業への資本参加なども視野に入れている。」 もうフィンテック系ファンド設立話は多すぎて、全部の新聞記事をトレースしきれないくらいです。 「にわかに高まってきた「フィンテック熱」。その裏側には、技術革新のスピードが予想外に速く、対応を急がないと既存の金融業界の秩序が脅かされかねないとの危機感がある。実際、米国の決済分野では、フィンテックの有力企業であるペイパルなどが台頭している。  もっとも、米アクセンチュアなどによると、国内フィンテック企業への2015年の投資額は140億円弱にとどまる。世界全体では14年に既に1兆4000億円を超えており、うち8割を占める米国に比べると日本の投資額はわずか80分の1程度だ。」 「もっと、日本もフィンテックに投資を。欧米に遅れるな!」というメッセージなのか? 「「出資を検討しても、持続的成長を見込める国内の投資先は少なく、投資指標でみても割高になってきた」。大手金融機関のフィンテックの担当幹部からは嘆きも漏れる。バブル懸念も指摘されるなかで、技術革新の荒波にどう備えていくか。金融各社の悩みは深い。」 熱狂が渦巻いているうちは、株式でも不動産でも割高に決まっています。そしてバブルはやがてはじけるのです。「ユニコーン(評価額が10億ドル以上の企業)」と一部のIPO前のシリコンバレー系ベンチャーがもてはやされていますが、その内、何社が生き残るかは誰にもわかりません。   ■ まいにち、「フィンテック」! -3日目 2016/3/2付 |日本経済新聞|朝刊 (大機小機)日本のフィンテックに必要なこと 「IT(情報技術)を使った新たな金融サービス「フィンテック」に関心が高まっている。先行する米国では決済、送金、口座管理、資金調達など、新しいフィンテックが続々と登場し、個人の生活や会社の取引慣行などを大きく変えようとしている。ユーザーが「銀行」の存在さえ意識しないまま、より手軽に関連サービスを受けられるケースも増えている。銀行業界が対応を誤ると、関連ビジネスがフィンテックに取って代わられ、業務縮小を余儀なくされる懸念すらある。」 既存の金融業界、銀行業界が金融サービス競争に立ち遅れて、全て新興フィンテック企業にとって代わられる、みたいな危機感があるのかもしれません。しかしですね、銀行法という業法で、銀行にしかできない業務というものがあります。 固有業務(第10条第1項) ・ 預金又は定期積金等の受入れ ・ 資金の貸付け又は手形の割引 ・ 為替取引 どんなにIT系テクノロジーが素晴らしくても、銀行法上の営業免許が無ければ、上記3つの固有業務はできません。 既存金融機関の頑張りは次の投稿をご参照ください。 ⇒「フィンテック 既存金融機関の逆襲 2015年12月 冬の陣 日本経済新聞より」 ⇒「(真相深層)張り子の「24時間宣言」 振込時間、全銀協が延長方針 政官と民、足並みそろわず」 「我が国のフィンテックは、いまだ欧米の技術を模倣することが中心の発展途上の段階だ。しかし、海外送金のように手数料が高かった分野では関連ビジネスが急拡大し、これまで銀行が事実上独占してきた業務に風穴を開けつつある。メガバンクも危機感がないわけではない。いくつかの大手行がIT企業とフィンテックで連合を組むなど、新たな取り組みも見られる。」 <既存金融機関のフィンテック対抗策> ① フィンテック企業を取り込んで競争しない(出資、業務提携) ② 既存金融システムの利便性の向上(真っ向勝負!) ③ 法改正により自らがフィンテック事業を立ち上げ(なり代わり戦略) ④ フィンテック専門家の知恵を拝借(知らねば聞け!) 上記の「フィンテック 既存金融機関の逆襲 2015年12月 冬の陣 日本経済新聞より」でもひとつずつ詳解しましたが、既存金融機関にはこの4つの対応策に対する選択権があるわけです。しかも、既存の膨大な顧客資産を有効活用できる素地の上で。新興フィンテック企業の名前は知らなくても、みずほ、三菱UFJ、三井住友は皆が知っている名でしょう。新たなフィンテック市場でも有利に競争をしようとすれば、できるポジションにいます。 「ただ、フィンテックといえども、あくまで顧客は一人ひとりの人間である点は忘れてはならない。例えばネット経由で不特定多数から投資を募るクラウドファンディングでは、投資家に手書きの礼状をホームページ上に掲載することがしばしば重要となる。  最先端のデジタル技術を駆使する場合でも、顧客に満足してもらうには、時には極めてアナログな対応も必要になるというわけだ。とりわけ「おもてなし」に慣れ親しんできた日本の顧客は、サービスに対する要求水準が高い。フィンテックが顧客の満足するきめ細かなサービスを提供できなければ、その発展はやがて頭打ちとなる。」 デジタル + リアル(おもてなし) これ最強のビジネスモデル! 「金融庁もフィンテックの普及に向け、銀行や銀行持ち株会社の業務範囲規制を緩和するなど、環境整備に乗り出している。これによって、日本の銀行はますますフィンテックに取り組みやすくなったはずだ。あとは銀行側が、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、日本独自のフィンテックを生み出していくことが重要となる。  日本企業には世界でもトップクラスの安全・安心に対する信頼がある。そのような日本の強みとITをうまく融合することができれば、日本でも従来と違う幅広い顧客層に、フィンテックが拡大していく可能性が開ける。」 当局や既存金融機関の対応スピードの遅さが、生き馬の目を抜くIT業界とは段違いに遅いことは、次の投稿を確認して下さい。 ⇒「フィンテック(FinTech)の最新動向(3)IT・金融・当局のうごき 日本経済新聞より」   ■ まいにち、「フィンテック」! -4日目 2016/3/3付...現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します