【満員御礼】(7/24)日本CFO協会主催 CFO NIGHT!! 2018 PDCA経営から将来予測経営へ ~不確実性の時代の中で管理会計に何ができるか?

Pocket
reddit にシェア
LinkedIn にシェア

■ PDCA経営から将来予測経営へ

2018年7月24日(火)に、一般社団法人 日本CFO協会主催による「CFO NIGHT!! 2018」にて、プロフェッショナルセッションAとして、小職が「PDCA経営から将来予測経営へ 不確実性の時代の中で管理会計に何ができるか?」と題して、PDCA経営についてのこれまでのプラクティスに対する問題提起と、PDCAサイクルを提唱したデミング博士の思いを正当に引き継ぐ姿勢で「将来予測経営」を、「バックキャスティング」と「データドリブン」という2つの視点から説明しました。

お陰様で会場は満席で一部立ち見が出るほどでした。関係者の皆様、大変ありがとうございました。

ここでは簡単に当日の講演内容を簡単に振り返り、筆者自身の今後の改善点も明らかにしていきたいと思います。

当日のアジェンダは次のようなものでした。

1.問題提起 - 我々はこれまでPDCA経営をどう実践してきたか?
2.経営環境の変化に管理会計はどう対応するか?
3.将来予測経営とは ① バックキャスティング経営
4.将来予測経営とは ② データドリブン経営

 

1.問題提起 - 我々はこれまでPDCA経営をどう実践してきたか?

1950年にデミング博士が日本科学技術連盟で統計的品質統制について講演したことで、初めて日本に「PDCAサイクル」が紹介されました。フランスの実業家兼著述家のファヨールがPOCCCプロセス(計画、組織化、指令、調整、統制)という普遍的な経営管理プロセスが存在するという著書が欧米実業界で広く読まれるようになったタイミングと偶然同じ頃でした。

⇒「経営戦略概史(5)ファヨール(フェイヨル)が「経営管理プロセス」を初めて定義した

しかし、日本人は「PDCAサイクル」を愛しすぎました。デミング博士は、

① PDCAサイクルは“ピリオディック”な管理には相応しくない
② PDCAサイクルを運用する際には担当者の目標管理と絡めることはしない

という注意事項を付していたのですが、現実は師匠の言いつけを守らず、PDCAサイクルは年度予実管理プロセスという期間損益管理に用いられ、そこでの予算未達は厳しく評価査定の対象となりました。

⇒「PDCAサイクルと経営管理

これに対して、筆者は、デミング博士の理論に忠実に、会計期間で完結するような管理プロセスではなく、四半期単位で常に向こう15ヵ月に対してローリング予測をし続けて、たまたま第3四半期に行われた15ヵ月ローリング予測を来期の単年度予算(そのうちの12ヵ月分)に充当するという手法をご紹介しました。

しかし、世間では、デミング博士の本意とは異なった「PDCAサイクル」の使い方が横行しており、そして、皆がPDCAを愛するがあまり、アンチテーゼの新しい経営管理プロセス(OODAループなど)を掲げたり、PDCAの順番を組み替えたり(DCAPサイクル)、PDCAサイクルの前後に新たなステップを付け加えたり(PDCA-Fサイクル)、多くの人がPDCAの限界(それは自らがデミング博士の本意からかけ離れた使い方をしているからですが)を感じつつ、それを改良したいという熱い思いから、いろいろな派生の経営管理プロセスが世に問われているのが現状です。

20180725_【参考】ポストPDCA

 

2.経営環境の変化に管理会計はどう対応するか?

経済モデルが変化していけば、経営モデルが変容する。経営モデルを上手に取り仕切るために、経営管理・管理会計のしくみも自らを変えていく必要があります。筆者はそうした管理会計への経営からの期待値が変わる「3つの変化点」について語りました。

変化1|プロダクトライフサイクル短縮化の宿命
変化2|経済モデルの変容が企業行動を変える
変化3|顧客が企業付加価値を見定める

変化1|プロダクトライフサイクル短縮化の宿命
従来は、同質的な製商品を数多くのコンペチタ―がシェア争いしていました。競合よりより多くのシェアを奪うことができれば、累積生産台数を先に伸ばすことができます。それは、学習曲線や習熟曲線理論により、一単位当たりのコストを飛躍的に下げることができ、品質も安定化させることができます。つまり、コストリーダーシップ戦略でコンペチタ―を凌ぐことができる唯一の方法論でした。そこで用いられた管理会計技法は「標準原価計算制度」だったのです。

それが、多品種少量生産になっていくと、商品企画から市場リリースするまでの時間の方が販売開始から終売までの期間より長くなりますし、売り出す前から原価と利益がある程度読めるようになります。これが「原価企画」活動でした。ただ、「もの消費」から「コト消費」に消費者ニーズが移り変わってきたため、そうした消費者の意図を「許容原価」に落とし込むのは技術的に困難性が高まっているのも現状です。

変化2|経済モデルの変容が企業行動を変える
経済モデルは下記のような変化を続けています。

20180725_変化2|経済モデルの変容が企業行動を変える

これは、プロダクト型経済が終焉を迎えてファイナンス型経済に移行したという単純なものではありません。順々にそうした経済モデルが上に積み重なってきているのです。現在では、この3つのモデルの全てに企業経営は直面しているのです。

プロダクト型経済では、ゴーイングコンサーンの公準と利益平準化の考え方により、取得原価主義、減価償却計算、税効果会計などの会計技法に基づき、期間損益を中心とした業績管理会計技法が有効活用されました。

ファイナンス型経済では、事業や企業自体が取引対象となるM&A活動が活発になりました。それゆえ、事業や企業の公正価値、時価を測定する、すなわち、バリュエーションという会計技法が重要視されるようになります。その事業体を切り出すか、社内に取り込むか、どちらが儲かるか、そういう経営判断を支援するために意思決定会計の技法が様々に発展していきました。

インタンジブルズ経済では、もはや知財権、人的資源、レピュテーションといった現在の会計基準では到底帳簿に乗らないものの価値創出の程度を定量的に測定することを管理会計は経営から要請を受けていると考えられています。

変化3|顧客が企業付加価値を見定める
従来のKPIマネジメントは、社内活動の、

Input → Process → Output

から、一定のInputからより多くのOutputを期待する経済性(1人当たり生産高など)、
最小Inputから最大Outputを創出することを期待する効率性(ROIなど)、
これらをKPI管理対象としていました。

しかし、企業付加価値は、企業を取り巻くステークホルダー(主に顧客)が決める力がもっと強くなってきました。それゆえ、社内プロセスの経済性や効率性より、社外からの評価価値をKPI管理しないと企業存続のための指針として成り立たない時代になりました。そこでは、Outputの代わりに、「Outcome」や「Impact」が重要視されることになるのです。

⇒「KPI経営入門(11)JR東海、稼ぐ力突出 乗客1キロ運ぶ利益 競合の3倍(後編)- 社会的インパクト評価からアウトプットとアウトカムの違いを知ってJALの決算発表資料を読む

 

3.将来予測経営とは ① バックキャスティング経営

PDCAは、過去の目標値と過去実績値の差分を評価するため、どうしても予実差異分析レポートがトップマネジメントの手元にまで届くのに時間がかかってしまいます。その後、改善策を協議するリードタイム、改善策を着手準備するためのリードタイム、改善策の効果が発現するためのリードタイムまで想定すると、実績値が測定されてから行動していては、全てが手遅れになってしまう可能性が高くなります。

「バックキャスティング経営」は、まずは目標とする将来時点のあるべき到達点を示し、現状とのGAPを明らかにします。目標達成すべき将来時点までに、いつ、何をやるべきかを明らかにし、その到達点を都度都度、確認しつつ、ゴール感と施策のバリエーションを見直していく手法を採っていきます。

これは、1960年代にイゴール・アンゾフが「Gap分析」として世に送り出したコンセプトが、「バックキャスティング」という新しい用語として、SDGs(持続可能な開発目標)が2015年の国連サミットで採択された頃から再び脚光を浴びるようになったものです。素晴らしいアイデアというものは、手を変え名前を変え、いつの世でも支持され続ける証左ともいえます。

⇒「経営戦略概史(8)アンゾフは「市場における競争」の概念を持ち込んだ「経営戦略」の真の父

経営戦略(基礎編)_ギャップ分析(オリジナル)

 

4.将来予測経営とは ② データドリブン経営

最後に「データドリブン」。これは最近流行りのAI、データサイエンティスト、データ分析、データモデル、数理モデルなど、人間の経営判断や意思決定に役立てるように、

① データモデルを構築し、シミュレーション機能による「成行予測」値を提示する
② 部分計測から全量計測により、相関関係だけで意思決定の材料にする

を標榜するものです。

もう少し入りやすくするために、下図を示します。

20180725_管理会計は仕訳の世界から飛び出して

経理データは主に仕訳情報を会計システムから取得します。しかし、仕訳は現場で起きた様々な出来事を会計取引として抽出したにすぎません。経営やオペレーションの実態を、フィードフォワードてきに先回りして手を打って、余裕のあるリードタイムで効果的な策を打つためには、現場数値の会計データへのインパクトが、データモデルを用いて測定・評価されている必要があるのです。

もうひとつ、「部分計測から全数計測へ」(From some to all)というキーワードがあります。これは、従来のリトルデータ(サンプリングデータ)では、人間がデータ間の「因果関係」を読み解いてデータモデルの結果を評価せざるを得なかったものが、ビッグデータ(全数)を相手にした分析は「相関関係」だけを読み解くだけで、ある程度経営意思決定に使えるという飛躍ポイントがあるという説明もしました。これは、とあるECポータル大手の「リコメンド機能」といえば、ピンとくるでしょうか。

7/24は酷暑の中、本当に多くの来場者を招くことができ、関係者の皆様方、本当にありがとうございました。m(_ _)m

⇒「(7/24)セミナー登壇 日本CFO協会主催 CFO NIGHT!! 2018 PDCA経営から将来予測経営へ ~不確実性の時代の中で管理会計に何ができるか?

一般社団法人 日本CFO協会 CFO NIGHT!! 2018

一般社団法人 日本CFO協会ホームページ

(Visited 58 times, 1 visits today)
Pocket
reddit にシェア
LinkedIn にシェア

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください