■ 健康のことならお任せ 何でも“はかる”タニタ
乗るだけで計測できる体脂肪計を世界で初めて開発したのがタニタ。今は“体組成計”へと進化している。
(従来のヒット商品)
(7/1新発売-番組中にも紹介)
乗るだけで計測データをスマホに転送。推定骨量や体水分率まで分かってしまう。タニタの年商は約161億円。過去は製造販売業として体重計、体脂肪計だけだったが、“食”ビジネスが加わったことで今は“健康総合企業”へ。“はかる”と“食べる”でニッポンを健康にするビジネス。
ちょっとびっくりしたのが、「体脂肪率」という言葉自体はタニタが考案した造語だとか。今では世界でも「ボディファット」といって通じる言葉になったのだとか。
タニタの食ビジネス。始まりは社員食堂から。では社員食堂の最初のメニューはどうだったのだろうか? 「肥満の人向けだったのでカロリーと塩分を落とした“指導食”が最初。なんじゃこりゃという味付けだった」 管理栄養士の荻野さんが物凄い改良を加えて、食べてもおいしい、お腹もすかない、という料理が出来上がった。そしてレシピ本を発売。
この業界では「30万部で大ヒット」と呼ばれるらしいが、それをはるかに超えた130万部のベストセラーになった。
■ 健康を“はかる”タニタ その知られざる歴史
タニタの創業は、金属加工メーカー谷田賀良倶商店というシガレットケースの製造から始まった。戦後、パン食の流行と共に、トースターも作ったりした。創業者の大発明品が体重計。その頃、日本には体重計といえば銭湯に置いてある程度だったが、米国では一家に一台として普及していた。これに目を付けた。2代目の時に乗るだけで測れる体脂肪計を発明。それまでは脂肪が水に浮く性質から大がかりなプールみたいな装置で測定するしかなかったものを、筋肉は電気を通しやすいが、脂肪は電気を通しにくいという性質に着目。体に微弱な電気を流してどれだけ電気が通りにくいかで体脂肪を測る方法を考案。これで画期的な”乗るだけで体脂肪を計測“できるようになり、世界中で大ヒットに。累計2500万台を出荷するに至った。
では三代目の歴史は? 二代目の父親との葛藤があって、早くから独立したいとの気持ちから、手に職付けて家を出るという決意のもとに高校卒業後、調理師の資格を取得して料理人の道を目指した。腰を痛めて断念した後、一念発起して大学に入り直し、経営コンサルティング会社に就職。多くの経営者と接するうちに、父親に対する気持ちに変化が。
(番組ホームページより)
「親としてはどうかなという点もあったが、経営者としては優れた点も多く、父を助けたい、と思うようになった」 そして思い切ってタニタに転職した。入社7年目、36歳の若さで三代目社長に就任した。
■ タニタ×食品メーカー “おいしい”タッグ
社長就任時、会社の業績は思わしくなかった。タニタの代名詞、「体脂肪計」の特許が切れ、競合他社が同様の商品を発売。このままではジリ貧、新たな展開を考えなければ、、、そんな時に舞い込んだのがレシピ本の出版依頼。会社の宣伝になればと軽い気持ちで引き受けたのが予想外の大ヒット。本の読者が、あのメニュー食べたさにタニタ本社にまで押しかける事態に。
2012年、大きな決断をする。レストラン事業を展開、「丸の内タニタ食堂」のオープン。本格的に食の事業に乗り出した。「メーカーがサービス業になってもおかしくない。一歩踏み出すのが私(社長)の仕事。」この“食”事業がさらなる展開へ。
多くの食品メーカーからオファーを受け、“コラボ商品”を開発している。10企業、36商品。中でも大ヒットになったのが森永乳業とコラボした、“タニタ食堂100Kcalデザート”。1個130円。通常は180Kcalのプリンも100kcalに。4年で7000万個を出荷した。タニタブランド恐るべし。
さてさて、インタビューパートへ。
MC(村上氏)が聞きにくいことをズバリ。
「コラボ商品の場合、タニタはどうやって、どのくらい儲けているんですか? ロイヤリティですか?」
「商標の関係があるのでお金は必要だが、狙いは認知度。タニタの考えを伝えることを重視しようと。ほんの少しもらうだけで利益が出なくてもいいと考えています」
今度はMC(小池さん)がえぐるように。
「前社長、父との現在の関係は?」「食ビジネスへの進出についてはどう思っていますか?」
「今は良好です。」「“ブランド価値を上げる”という意味では評価してもらっています。ただ、最初の頃は「なんだこれは?」という声は聞いていました」
畳みかけるように、MC(村上氏)が訪ねる。
「“はかる”と“食べる”事業のバランスとそのカップリングはどのように考えているか?」
「創業の時にはシガレットケースやライターを作っていた。今の事業は(2代目の時に)健康機器の体脂肪計を作っているので、自分の代で“レストラン”と呼ばれてもいいと思っている」「レストランだけと思われてもいいとさえ考えている。それくらいハンドルを切ってもいいと思っている。ただメーカーであることにも誇りに思っているのでバランスを持って半分半分でやっていければいいと思う。極端に言ったら、レストランに変わってしまってもかまわないという思いでやっている」
『新しいことにハンドルきるなら目一杯切れ!』
■ 社員も町の人も健康に タニタ“ニッポン元気計画”
健康器具を扱うにはまず自分たちが健康でなくては。社長からの従業員へのメッセージ。
「健康管理も仕事のひとつです」
毎日、従業員は社長をはじめとして、自社の健康測定器具を使っているか、歩数はいくらか、社内で貼り出される徹底ぶり。そこで6年前から取り組んでいるのが「社内健康プロジェクト」。ラジオ体操で一日が始まり、社員は必ず活動量計を身に付ける。中にはバランスボールをイス代わりにして体を鍛えている内勤のOLの人も。週に一回以上の健康チェックも義務付けられている。
成果は数字にもハッキリ出ている。社員一人当たりの医療費が年間で1万8千円、12%削減(FY2011→2012)。
「医療費が下がるという実績が分かったので、もうこれは社内だけに留めておくのではなく、自治体や企業など、国としてこのプログラムを使ってもらおうと。」そこで、新事業プロジェクトとして始めたのが「タニタ健康プログラム -健康をはかるから健康をつくるへ」
“ハカル”と“タベル”を中心に、医療費削減を目指す。既に現在100の企業・団体が導入。会員になると、会員証がわりに活動量計が渡される。5000歩あるいて10ポイント、タニタカフェで注文すると10ポイント、健康チェックすれば10ポイント。ポイントが溜まれば、タニタ商品や傘下団体が提供する商品と交換できる。
参加者の声。
「自分のためにやったことが全部自分に返ってくるのがうれしい」
「世界的に日本は高齢化の一番のモデルになるといわれているので、このモデルを成功させて医療費を下げる。財政的にも元気になれますし、環境的にも元気になれば日本全体が元気になる。そこでお役に立ちたい」
MC(村上氏)から質問が飛ぶ。
「健康になるためには死んでもいい、みたいなジョークがありますが、“健康”がプレッシャーにならない工夫がなされているように見受けられるのですが?」
「健康プログラムがきっかけで、人と話ができるとか、一緒に過ごす、そういうことの方に重きを置かれている人が多い。それも精神的な健康の一部なので、副次効果として健康につながるのであればそれでいいという考え方です」
ここでタニタの新製品の紹介があった。「筋質 -筋肉の引き締まり度」を測定する機器。
メーカーの魂もまだまだ捨てていない!
「商品を通して日本を健康にしたいと思っているので、しかもそれを成功させて輸出して世界も健康にしようというのがタニタがやろうとしていること」
(筆者から見たタニタのビジネスモデル)
・“はかる”→“わかる”→“考える”
・単体機器からIoT対応機器へ
・機能提案→ソリューション提案→価値提案
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