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貢献利益 - 孝行息子を探せ!

管理会計(基礎)
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■ 貢献利益(Contribution margin)とは

貢献利益とは、貢献差益とも呼ばれ、セグメント別に把握されたそれぞれの利益の事を指します。何に対する「貢献度」を測定するか、そして「貢献度」を測定する目的が重要です。

(1)何に対しての貢献度を測定するのか
全体(全社)損益に対する、個々のセグメント利益の貢献度を測定するものです。セグメントとは、会計責任を問うための組織(プロフィットセンター)か、どれくらい儲かったかを評価する収益性分析の対象を意味します。管理会計制度の運営者が、全社損益を管理しやすくするために、利益管理対象を全社より小さく区分して定義します。

例)
事業部(プロフィットセンター、損益管理する組織)
事業セグメント(類似ビジネスの集合体)
製品・商品・サービス(会社が顧客に提供するもの)
地域(地理的近縁、国単位、地方単位など)
市場(顧客が属するカテゴリー、業種、産業分類に類するもの)
ブランド(顧客から認知されている製商品カテゴリー)
商流(直販、代理店経由、OEM供給など、流通・販売経路別)

(2)なぜ「利益貢献度」を測定するのか
単年度か中長期かは管理者の目的次第ですが、損益管理すべき集合体(全部、全社、連結グループなど)が利益を上げられる、即ち黒字になるように、個々のセグメントの収益性を評価する目的で使用します。個々のセグメントが稼得した利益を全て合算した後、どのセグメントにも属さない共通費を差し引いても、全社として利益を上げたいものと考えます。

例)
セグメントAの貢献利益:150
セグメントBの貢献利益:200
全社共通費:310
全社利益:40

貢献度とは、全社利益を上げるのに、どれくらいの構成割合(構成比)で利益を上げているかという意味と、全社共通費を回収するためにどれくらいの利益を上げて、全社利益を黒字にするために貢献しているかを測定するためという意味の2つを持っています。

セグメントAは、前者の意味では、42.9%(150÷350)の構成割合で貢献利益を稼ぎ出し、後者の意味では、17.1(40×150÷350)を稼ぎ出しています。この時、全社共通費の配賦という概念は大切な論点なので、次々章で説明を掘り下げます。

 

■ 貢献利益(Contribution margin)が持つ利益概念とは

貢献利益は、全社をある一定の区分で損益管理可能なセグメントに分割表記した単位における、各セグメント別の利益を意味します。損益管理可能という状態が意味するものは、他のセグメントのビジネス状況によらず、自身の経営管理活動だけに基づき、その発生の多寡をコントロールできる会計数値だけで表記されるべきものになります。よって、自身の営業活動に基づき、個別売上高が計上され、その個別売上高を自身の成績とするために犠牲にした経済的価値、すなわち個別費を差し引いたものが貢献利益となります。

管理会計(基礎編)_貢献利益

一般的に、各セグメントの経営活動により、自身の管理下にある収益と費用で貢献利益を計算する際、費用については、「変動費」と「固定費」に固変分解できるものとされています。よって、まず「個別売上高」から「個別変動費」を差し引いて「個別限界利益」を計算した後、「個別固定費」をさらに差し引いて「貢献利益」を算出することになります。

この時、いちいち分かりきった「個別」の名称が煩わしいので、何の前置き、説明もなく省略して表記しているのが通説の貢献利益表の表記法になります。ただし、売上高の発生に比例しないコストは、「個別費」と「共通費」とに厳密には分けられます。それゆえ、「個別固定費」「共通固定費」という区分が残っているのです。

(参考)
⇒「固定費の配賦の目的をきちんと認識していますか? -共通費と固定費の違い
⇒「限界利益の使い方の誤解を解く - 固定費があるから変動費がある。コストを固変分解する所に限界利益あり!

 

■ 貢献利益(Contribution margin)の算出に配賦が必要か?

前々章にて、セグメントAの全社利益稼得に対する貢献度を「17.1」と表現して説明した部分があったと思います。この時の「17.1」は、単純に、全社利益と各セグメントの貢献利益の構成比から算出した数字です。管理会計にかぶれている(おっと口が滑りました(^^;))人は、固定費(=共通費)の配賦を正しく各セグメントに対して行うことで、真のセグメント別の貢献利益が分かるのでは、と考えるはずです。

「共通費」を「配賦」した後の利益はもはや「貢献利益」ではありません。「貢献利益」の意味は、その独立したセグメントにおけるビジネスからの収益がどれくらいの「全社利益」創出に貢献しているか、配賦などという元のビジネスの収益性を分からなくする経理操作前のピュアな利益貢献度を測定するためのものです。それゆえ、共通費の配賦後利益は、貢献利益の下で、やりたい人はやってください。

それは、ある一定の配賦基準で配賦されたコスト(全社共通費)を回収(上乗せ)した後でも、利益がプラスになっているか、つまり、固定費回収能力の評価、という別次元の損益管理のお話となるのです。

実際に、コンサルティングの現場で、貢献利益を算出するのに、適切な配賦基準を聞かれたりするのですが、その場合は、「貢献利益」という言義をまず確認してから、適切な段階利益を意味する用語に置き換えてもらうことから始めています。(^^;)

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