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原価計算基準(33)材料費計算のルールの全体構造 記録と記帳方法、単価の決定、消費量の把握、材料費の範囲

管理会計_アイキャッチ原価計算(入門)
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材料費計算の相対的重要性について

さすがに、ハードウェア全盛期に設定された「原価計算基準」ですので、費目別計算の中でも、材料費に関する記述が労務費と経費に比べて圧倒的にボリューミーです。現代の製造業では、半導体産業にみられるように、製造設備に関する製造間接費(減価償却費)やR&D費用のほうが金額的重要性が高い傾向になります。

しかしながら、費目別計算→部門別計算→製品別計算の原価計算の基本3ステップのトップバッターを務めるだけの存在感はまだ十分にあると思われます。製造業ではまだまだ相対的に材料費の金額的重要性は捨てたものではありませんので。

まずは、「原価計算基準」では、基準11が「材料費計算」として規定されているのですが、これが、(一)から(五)と重厚に配置されているため、この全体構造の把握に努めることから始めたいと思います。かなりの長文になっています。眺めるだけです。最初は。

材料費計算の全体構成

まずは、原文を確認します。眺めるだけですよ。初見で解説無しで規定を読んでも、語句の意味以上のものを得られることは滅多にありませんので。^^)

一一 材料費計算
(一) 直接材料費、補助材料費等であって、出入記録を行なう材料に関する原価は、各種の材料につき原価計算期間における実際の消費量に、その消費価格を乗じて計算する。

(二) 材料の実際の消費量は、原則として継続記録法によって計算する。ただし、材料であって、その消費量を継続記録法によって計算することが困難なもの又はその必要のないものについては、たな卸計算法を適用することができる。

(三) 材料の消費価格は、原則として購入原価をもって計算する。

同種材料の購入原価が異なる場合、その消費価格の計算は、次のような方法による。

1 先入先出法
2 移動平均法
3 総平均法
4 後入先出法
5 個別法

材料の消費価格は、必要ある場合には、予定価格等をもって計算することができる。

(四) 材料の購入原価は、原則として実際の購入原価とし、次のいずれかの金額によって計算する。

1 購入代価に買入手数料、引取運賃、荷役費、保険料、関税等材料買入に要した引取費用を加算した金額

2 購入代価に引取費用ならびに購入事務、検収、整理、選別、手入、保管等に要した費用(引取費用と合わせて以下これを「材料副費」という。)を加算した金額。ただし、必要ある場合には、引取費用以外の材料副費の一部を購入代価に加算しないことができる。

購入代価に加算する材料副費の一部又は全部は、これを予定配賦率によって計算することができる。予定配賦率は、一定期間の材料副費の予定総額を、その期間における材料の予定購入代価又は予定購入数量の総額をもって除して算定する。ただし、購入事務費、検収費、整理費、選別費、手入費、保管費等については、それぞれに適当な予定配賦率を設定することができる。

材料副費の一部を材料の購入原価に算入しない場合には、これを間接経費に属する項目とし又は材料費に配賦する。

購入した材料に対して値引又は割戻等を受けたときは、これを材料の購入原価から控除する。ただし、値引又は割戻等が材料消費後に判明した場合には、これを同種材料の購入原価から控除し、値引又は割戻等を受けた材料が判明しない場合には、これを当期の材料副費等から控除し、又はその他適当な方法によって処理することができる。

材料の購入原価は、必要ある場合には、予定価格等をもって計算することができる。

他工場からの振替製品の受入価格は、必要ある場合には、正常市価によることができる。

(五) 間接材料費であって、工場消耗品、消耗工具器具備品等、継続記録法又はたな卸計算法による出入記録を行わないものの原価は、原則として当該原価計算期間における買入額をもって計算する。

原価計算基準(原文)

これらを一枚のチャートにまとめると次のようになります。

材料費計算の全体構成

材料費計算の基本構造

材料費の基本計算式は、

材料費 = 実際消費量 × 消費価格

とすることが定められています。

ただし、この計算方法を採用できる条件は、ひとつひとつの材料の実際消費量を把握しておくことが大前提です。そこで、材料の中にも、倉庫から払い出したり、逆に外から購入して倉庫に納める数量に対して、いろんな事情から、きちんと記録を取るものと取らない材料があることを原価計算基準は想定しています。そうした出入記録を取る材料に関しては、上の計算式で材料費を計算することを原則としたのです。

実際消費量の計算と記録方法

では、ひとつひとつの材料の実際消費量の出入記録を残す手段はというと、

  • ・継続記録法(原則)
  • ・たな卸計算法(認容)

の2つを認めますよ、ということです。

消費価格の計算方法

材料の使用してしまった数量の方は、具体的な目に見えるモノの移動を、倉庫から出た、入ったを観察すればある程度分かります。それをどういう記録手段をとってログに残すかは前段の(二)で決めました。(一)によりますと、材料費の計算のためには、実際消費量のほかに、消費価格がいくらであったかを知る必要があります。

自然に考えると、通常は、購入原価がそのまま消費価格として構いません。しかしながら、同種の原材料を複数原価計算期間、平たく言うと、石油会社が原油を輸入するたび、石油化学メーカに卸すたびに、それがいくらで買った原油なのか把握することは技術的に無図郭なります。だって、同じタンクに後から買ったものを注ぎ足すんですから(同種の油種の場合に限ります)。

こういう場合に備えて、「原価計算基準」はある種の仮定計算を行って原油の払出価格(消費価格)を決めることを認めてくれています。これがよく耳にする「先入先出法(FIFO: first-in, first-out method)」「総平均法(total average method)」です。筆者はこれだけで飯が三杯食えますが、ここでは控えておきます。^^)

そして、必要ある場合には、予定価格等を用いることを認容してくれています。ここには2つの重要ポイントが隠されています。

ひとつは、消費価格に予定価格を適用しても、消費数量が実際である場合には、あくまで実際原価計算の範疇に入れることができるということです。

ふたつには、実際価格と予定価格等に乖離が生じたさい差異さい(ここはしっかり駄洒落なんですが)は、「価格差異」として認識して、適切に実際原価に合わせに行くことが前提になっていることです。

この辺りを詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。

購入原価の計算方法

個人的には、(三)と(四)の順番が逆ではないかと思わないのでもないんですが、改めて、購入原価の定義がここでなされています。

  • 購入原価 = 購入代価(‐値引き‐割戻)+外部副費
  • 購入原価 = 購入代価(‐値引き‐割戻)+外部副費+内部副費(一部)
  • 購入原価 = 購入代価(‐値引き‐割戻)+外部副費+内部副費(全部)

材料副費(外部副費と内部副費の総称)は、細々としている分、100社あれば100通りのお作法があると思います。実情にできるだけ合わせられるように、「原価計算基準」ではできるだけきめ細かく例外と選択肢が説明されています。

まず、購入代価に加算する場合は、予定配賦率を用いて予定価格を配賦することも認められています。

次に、購入代価に加算したくない(できない)場合は、間接経費に回すか、全体として材料費にひろく配賦することが許されています。間接経費に回した場合は、原価計算プロセスの第2ステップである部門別計算にて、製造間接費として、製品に配賦されていくことになります。

そして最後に、購入原価には、予定価格、複数工程から製品を作っている場合は、他工場から振り替えられて、自工程における原材料の購入と経済的には同じ状態である場合、その受入価格(=購入価格)に、正常市価を採用することも認められています。

もちろん、これらの予定価格や正常市価が実際原価から乖離した分は、何らかの適切な原価差異項目を通じて、適切な実際原価になるように調整されることが前提です。

間接材料費の計算方法

より正確には、間接材料費であって、かつ、払い出しの記録を取らない材料に関して、当期支払った金額をそのまま全額、当期の原価にしてもいいですよ、という容認規定があります。

工場消耗品、消耗工具器具備品等、いちいち在庫棚卸をするのも手間だし、金額的重要性があまり感じられず、毎期間あまり買わない金額が発生している場合、会計の世界の伝家の宝刀、「重要性の原則」でバッサリ全額期間費用にしてしまう、というやつです。

原価計算基準の効果的な学習態度

どうでしたか。これまでは「原価計算基準」の条文(規定)を用いて、原価計算の概念(Why/What)について解説してきましたが、前回から、どうやって原価計算するか(How)の話に突入しています。

Howを学習するにあたり、初学者が必ず苦しむのは、きめ細かく設定されている、例外、認容規定、複数ある選択肢のすべてを網羅的・構造的に理解しようとするあまり、個別撃破を図って、個別に撃退される事態を招くからです。

迷ったときには、2つの原価計算に対する視点を忘れないようにしてください。

  1. 制度会計(財務会計)の目線で、決算期末時点の期末棚卸資産評価額と、売上原価を峻別し、当期の期間損益が知りたい
  2. 管理会計の目線で、この製品の生産・販売は本当に会社にとって儲かるビジネスなのか、製品単位当たりの製造原価が知りたい

そのためには、材料費はどのように計算されると、上記の二つの視点から製造原価(売上原価)を確認できるのか、という原価計算の基本姿勢を常に忘れないで、原価計算(の問題)に取り組むことが肝要かと。^^;)

みなさんからご意見があれば是非伺いたいです。右サイドバーのお問い合わせ欄からメール頂けると幸いです。メールが面倒な方は、記事下のコメント欄(匿名可)からご意見頂けると嬉しいです。^^)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、過去及び現在を問わず、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

原価計算基準(33)材料費計算のルールの全体構造 記録と記帳方法、単価の決定、消費量の把握、材料費の範

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