■ 誰かを助けたいというのは、自分の中の傲慢がなせる業なのか!?
人は一人で勝手に助かるだけ。誰かが誰かを助けることなどできない。
(忍野メメ|化物語 ©西尾維新/講談社)
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次から次へと、主人公が関わっていくヒロインの怪異を解決していく忍野メメの言葉。
ずいぶんと開き直りというか、達観している。私はまだこういう心境に到達できない未熟者なのかもしれません。(^^;)
なぜ、今日この言葉を取り上げたかというと、最近、コンサルティングの現場で、なかなか、コンサルタントの言葉に耳を傾け、会社を良くしようとしない、言ってみれば、前例踏襲または無難な方法を採択し、リスクを取ろうとしないクライアントに忸怩たる思いを持った自分への戒めとして書きました。
岡目八目という言葉があります。他人の会社だから、外から比較的冷静に分析できるからこそ、見えるものもあります。
「自分の会社のことは自分たちの方がよく知っている!」
そう、嘯くクライアントもいらっしゃいます。じゃあ、社内のリソースだけで、改革は成し遂げられてきたのか?
コンサルタントは、クライアント企業から何らかの支援を仰ぎたいとして招聘されるのです。それが、自社にはない知恵を授けてほしいのか、一緒に汗をかいてくれる伴者を求めているのか、力強く背中を押してくれる勇気づけが欲しいのか、相手が求めているものを与えることができるのがコンサルタントというものです。
決して、短期的に、自分のアドバイスを受け入れてくれないと、へそを曲げたり、不平不満をいうのがコンサルタントの仕事ではありません。クライアントの成功のために、辛抱強く変革の方法を解き、変革の必要性を腹落ちしてもらう。変革のための実行と意志決定のための権限はクライアントの手にあるのです。そこを勘違いしてはいけません。
クライアント企業の業績がよくなっていくのは、クライアント企業で汗をかいている自社の人達の頑張りによるもので、コンサルタントはその促進剤とか触媒にすぎないのです。いわば黒子の存在。黒子が、舞台の上に立っている役者が自分の言う通りに動かないと不平不満をいうのはおかしいでしょ!
コンサルタントが自分の剛腕や知恵でクライアント企業を立て直したというのはおこがましいにも程があります。誰でも、どの企業でも勝手に自分で良くなったり悪くなったりするのです。
コンサルタントにできることは、よくなる確率を上げるお手伝いと気づきを仄めかすことだけ。後は、クライアントが自然と気づき、自分で腹落ちして、納得した上での改革案でないと、中長期的にその取り組みを進めるのはしんどいし、そもそも長続きしない。担当者の器以上に大きい組織やシステム、改善プログラムはこの世のどこにも存在しないのです。
⇒「 ブラック・ジャック(1)これだけは きみもキモにめいじておきたまえ。医者は人をなおすんじゃない。人をなおす手伝いをするだけだ。- 本間丈太郎」
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