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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(55)自分の中に上手に引き金を作る 物理的装置を活用する場合

経営コンサルタントのつぶやき_アイキャッチ 本レビュー
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君子危うきに近寄らず

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

外部リンク  G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページ(英語)

引き金が有効であるためには、タイミングが完璧でなくてはならない。遅すぎれば問題のある行動にもうのめり込んでいることになるし、早すぎればもうちょっとのところで、また忘れてしまうかもしれないからだ。

G.W.ワインバーグ著「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」(P107)

何かの問題に直面した際、もう少し早めに気づいて、回避行動を採るか、その問題発生の根源を断つことができたのになあ、と感じることは多くないですか? 私は生来の粗忽者なので、そう感じることがしょっちゅうです。

「君子危うきに近寄らず」

この論語から引いた言葉の意味は、「教養があり、分別が付く大人(君子)は、行動が慎み深いから、自ずと危険な物事から自分の身を遠ざけられるものである」というものです。

https://career-picks.com/business-yougo/kunnshiayaukinitikayorazu/

残念ながら、そういう意味では、私は120%君子ではないので、危ない物事をすぐに察知する手段を喉から手が出るくらい欲しています。

ワインバーグ氏は、私みたいな粗忽者のために、自分の頭の中に「引き金」をあらかじめ用意しておいて、窮地に陥る前にそれに気づくための仕掛けづくりを提唱しています。

それが、ノーザン天然ガス株式会社からのクリスマスプレゼントだったり、ポテトチップスの袋の注意書きだったりするのですが、そうして物理的装置の準備の仕方についての留意点が今回のテーマとなります。

早期警報システムはクーリングオフ制度と同じ機能を果たす

本書で取り上げられている友人シッドは、ダイエットに苦心しているワインバーグ氏の同志です。彼は、大好きなアイスクリームをつい食べ過ぎる自分を制御するために、冷蔵庫に自転車用のチェーンと錠前を取り付けました。

チェーンと錠前は、シッドに対して、冷蔵庫からアイスクリームを取り出すことを完全には防いでくれません。彼がアイスクリームを食べたいと思ったら、二階の自分の部屋に置いてある鍵を取りに行けば済むことなので。

でも、彼の部屋まで鍵を取りに行くというところがキーなのです。なぜなら、階段を上がる途中で、シッドに過去二度にわたる心臓発作のことを思い出させることがしばしばあったからです。

冷蔵庫からアイスクリームを取り出す前に、ちょっとした、この例ですと、二階の自分の部屋まで鍵を取りに行く、という手順を組み込むだけで、ふと我に返るチャンスが生まれるわけです。いわゆる、特定商取引(時には詐欺まがいの販売)に対するクーリングオフ制度のような機能を果たすわけです。

クーリング・オフ(テーマ別特集)_国民生活センター

ベルシステムが作動するタイミングは遅からず早からず

ただし、その警報が頭の中に鳴らされるタイミングは実に絶妙である必要があります。

同じく、シッドの例を見てみましょう。彼は、お客様をお迎えした時に、冷蔵庫にチェーンと錠前が取り付けられているのを見られることを少々気恥しく思いました。そして、チェーンと錠前の代わりに、冷蔵庫を開けようとすると、「やあ、よく召し上がりますね」としゃべるスピーカーを取り付けたそうです。

これなら、リビングダイニングにお客様をお迎えしても、それほど恥ずかしい思いをする必要がなくなります。しかしながら、このスピーカーは、思ったほど、チェーンと錠前よりシッドのダイエットには効果はありませんでした。

なぜなら、スピーカーが応答するタイミングがあまりに遅すぎたからです。シッドがアイスクリームを食べたいと思い、冷蔵庫の扉を開けようとしたその瞬間にスピーカーは話し始めます。最後の言葉を聞き終える前に、もう冷蔵庫の扉は開けられてしまっています。そこから、再び心臓発作の思い出を思い浮かべる前に、アイスのカップに手が届いてしまいます。

シッドがアイスのカップを目にしたタイミングに警報を鳴らしても時すでに遅しです。そこから思い直してアイスのカップを再び戻すことは大変な困難が伴います。

彼にとって、アイスクリームを食べるために、必ず二階への階段を上がるというルーティーンがダイエットに必要不可欠だったわけです。

これに近いお話が、デール・カーネギーの著書には何回か登場します。あの 第16代アメリカ合衆国大統領のエイブラハム・リンカーンの配達されない手紙のお話です。

リンカーンが部下の不始末を難詰する手紙をいったん書いた後、それを机の袖にしまいます。そして、送信する直前になってもう一度読み返します。本当にこれは書いて相手に送ってよいものかどうか?

後年、リンカーンは全くと言っていいほど、相手を非難したり、問い詰める手紙は送らなくなったそうです。どこかの誰かがすぐに、ツイート するのとは真逆ですね。^^)

何かを思い立って、すぐに行動することは立派なことです。まずはやってみるべし。だけれど、冷静になって、もう一度だけ複眼的に勝算や適切性を分析して見せる。その余裕が成功の秘訣かもしれませんね。到底私には実現できるビヘイビアではありませんが。。。^^;)

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